第二十六話
わたしが手を伸ばすと、ラヴィリオ皇子殿下がわたしの手に触れた。
導かれるように触れたラヴィリオ皇子殿下の肌はとても滑らかだった。
シュッとした顔の輪郭は、天使のような少年時代が嘘のようだった。
唇は薄く、鼻梁は高く、とても美しい顔立ちが想像できた。
触れた睫毛は長く、眉はキリリとした印象だった。
髪の毛は短くも長くもない長さだと分かった。
首はわたしよりも太くて、突起があった。
これが喉ぼとけと言う物だろうか?
胸板は前に触った時も思ったけれど、筋肉が付いていて厚みを感じた。
絶対にわたしよりも胸囲がある……。
腕もわたしより全然太くて硬かった。
こうして、改めてラヴィリオ皇子殿下の近くにいると、彼の匂いがとてもいい匂いだと感じた。
甘い果物のような、そんな香り。
つい、スンスンとその匂いを嗅いでしまった。
そしていると、またしてもラヴィリオ皇子殿下にぎゅっとされてしまう。
「くすぐったい……。それに、そろそろマズイから、今日はこのくらいにしてくれないか?」
何が不味いのか分からなかったけれど、確かにべたべた触りすぎたかもしれないわ。
「申し訳ございません……。これで十分分かりました」
「いや、ティアリアに触れられるの好きだ。寧ろもっと触れて欲しいくらいだが、これ以上は初夜のお楽しみということでだな」
「しょやですか?」
しょやとはいったい何のことだろう?
でも、ラヴィリオ皇子殿下のいうしょやなるものがあれば、もっと触れてもいいのね。
ならわたしの返事は決まっているわ。
「はい。わかりました。しょや、楽しみです」
「ぇっ? そ……そうか! ああ、最高の初夜を共に過ごそう」
最高のしょや? はっ! 分かったわ。さっきのパンみたいな美味しいものを二人で食べるってことね。
あっ! 特別なものを食べさせあいっこするのね!
それは、楽しみだわ。
ラヴィリオ皇子殿下に沢山美味しいものを食べてもらって、喜んでもらうなんて、なんだか楽しそうだわ。
「はい。ラヴィリオ皇子殿下には、沢山召し上がってほしいです」
「沢山!? えっ、良いのか? ティアリアの負担にならないように配慮はするが、そんな可愛いことを言われるとは……。やばいな……」
わたしの負担? ああ、確かにわたしはそこまで多くは食べられないと思うわね。でも、その分、ラヴィリオ皇子殿下に沢山美味しいものを食べてもらえれば嬉しいから問題ないわ。
「大丈夫です。わたしのことは大丈夫なので、沢山召し上がってください」
「ゴクッ……。ああ、出来るだけ優しくするが、覚悟しておいてくれよ?」
「はい。分かりました」
「はぁ……。俺のティアリアが可愛すぎてヤバいのだが……。こんなに積極的で……。ああ、俺の可愛いティアリア。愛してる……」
ラヴィリオ皇子殿下は、わたしの返事を聞いた途端に何かを呟いていたけど、その内容を聞き取ることは出来なかった。けれど、伝わってくる感じは、嬉しさのような気配だったので、きっと問題はないでしょう。




