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ミッドサマーと夜に駆ける

作者: 尾田里佳子

ミッドサマーに夜に駆ける。

素敵なワードだ。

きれいな言葉に隠された不穏さを感じ取れるタイトル。


ありがちな最近流行った映画に最近流行った歌。

でも、それはどちらも究極的な男女の死の話。


暗い話が好き。

だって、自分がどんなに不幸でも、もっと下の救いようのない人たちを見れば心が安らぐ。


安穏とした人生なんてないことは知っているけれど、自分がダメでダメで、でも、逃げ出すこともできないような辛い時に、少しでも死に近い物語に共鳴する人たちを見るのが落ち着く。


私だけじゃないんだ。

気持ち悪さや辛さを感じるのは世間の大多数でいるのかと思うと、えも言われぬ安堵感が先立つ。


そうして増やしていく薬の量。

心療内科に行けば、何十人と言う暗い顔をした人が待合室にいる。


こんなに何でもないことで心が壊れかけたことは初めてで、人として何かが欠陥している機能不全なのではないかと思う。

でも、これだけいれば、私だけじゃないんだと思える。


この先、明るい未来が待っているとは限らないことに少しだけ穏やかな気持ちになれる。

今が最悪ではなくて、もっと先の最悪が待っていることの暗示だから。



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