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第3章 第4話 交渉と突破

  ドワーフの族長バザーム。

 ドワーフとは洞窟に入ってから見た多くの者達を見ても、低くどっしりしている。

 バザームは背こそドワーフ並だが、一見して細い印象を受ける。

 一族の長というには威圧や覇気が感じられない。

 

 

「なるほど……山を渡るのに我らの国を通り抜けたいと申すか」

 

「はい、人間の国コンゴールが動いたとなれば魔王国に動きがあったということ。

 真偽を確かめ先んじて動かねば大陸全体に災いをもたらします」

 

「はてそれはどうかな? 我らにはへースティア様の加護がある。

 人間や魔獣どもが争って覇権がどうなろうとも関わりはない。

 人間に手を貸すとして、我らに何の利益がある?」

 

「時間がないのです! 事が収まればボクにできることならなんだってする!」

 

 

 バザームは呆れた顔をしてバツが悪そうに勇者から目をそらす。

 アックスヘッドたちにもその様子は手に取るように理解できた。

 求めてる答えじゃないと。


 ドワーフ達に取ってみれば人間も魔王も関係ない。

 炉の神へースティアと精霊たちで精霊窟は回っている。

 人間から見れば国境を越えるのは大変な事だが、通り抜け自体は要求として無理難題ではない。

 

  

「バザーム様、発言してもよろしいですか?」

 

「おう、人間。 発言を許すぞ」

 

「バザーム様は他のドワーフと筋肉の質が違いますが、技工士なのでしょうか」

 

「おおわかるか! ハンマーで剣を叩くだけがドワーフじゃねえ。

 細工や技工が仕上げの肝なんだよ。

 この建物の中心の柱の彫刻、ありゃわしの傑作でな?

 ん? おいそこの女戦士。

 その斧凄いな? 何で出来てるんだ?」


「ひゃ! あたし? あーなんだっけ炭をつけて焼入れがコツとかなんとか」

 

「あー、あれか……ふーむ、素材の出来はいいが無骨すぎるな」

  

 

 勇者の訴えを無視する形で族長席を立ちあがる。

 アックスヘッドたちの近くに座り込み武器装飾談義を始める族長。

 側近たちはバザーム作の武具を取りに行かされ品評会になって行った。

 

 

「おほん、ちょっと熱くなりすぎたな。

 勇者の申し入れの件、条件付きで受けよう。

 武具を全て預け仕上げ装飾をまかせること」

 

「は? あの、いやボクの剣は神剣なので「いやお前のはいい」

 

「人間には人間の神がいるからな、神器はいじれまい。

 だが他の者はどれも装飾が足りぬものばかりだ、仕上げをさせろ」

 

 

 冒険者たちの使っている武具には基本的に装飾などはない。

 やっているとすれば貴族や騎士たち、王族などだろう。

 ドワーフ達にはそのどちらも許せないらしい。

 加工する道具にはその道具に相応しい意匠というものがある。

 

 精霊窟を通る者、仕上げた武具を身に纏い去っていくというのが礼儀であろう。

 

 

_/_/_/_/_/

 

 茶色いたてがみ……リマと兄たちはみな同じたてがみの色だった。

 

 

『そういえば、リマのおにいさんたちの名前を聞いてなかった』

 

 

 険しい岩だらけの急な斜面を事も無げに進みながら話しかける。

 サリョウの親父さんは見上げるほどデカかった。

 リマは たま と同じくらいの背丈で、兄たちは一回り大きいくらい。

 

 

『何をいってるの? にいや達はにいや達。

 一族を次ぐ にいや だけは長兄と喚ぶことはあるけれど』

 

『そうだな、リマは神の使徒として銀鬣ギンリョウだった事があるから名付けされたが』

 

 

 え? 銀のたてがみって一時的なものなの?

 リマのたてがみって茶色だもんね。

 

 

< ゴゴゴゴ ゴゥン! ズガァァァン! >

 

 

 突然、大地が大きくゆれ何かがぶつかり砕ける重底音がひびいた。

 大岩の影に隠れ、崩れる岩がないかどうかしっかり確認する。

 どうやら音は峰の向こう側のようで安心してすすむ。

 正体はすぐに判明した、大岩よりでかい人型の岩がお互いに殴り合っていたのだ。

 

 

『あれはイワオだな。

 普段は岩肌に一体化して動くことはめったにない。

 まして闘っているのを見るのは初めてだ』

 

『同じイワオ? いえ一方はうっすら黒く汚れていますわね』

 

『黒く?』

 

 

 たま は嫌な予感がしてイワオ達を注意する。

 イワオたちはずうっと下の方にいる、なのにてっぺんは見上げてもよく見えない。

 距離感を取りづらいから気付かなかったけどイワオとは遠く離れているんだ。

 

 ……間違いない、黒っぽいほうはあいつらだ。

 

 

< ズズズズ…… バッガァァァアン! >

 

 

 戦いに夢中で見つかるということはなさそうだ。

 でも殴り合ってるだけなのに岩の破片があちこちに飛んでくる。

 地力は黒っぽいやつの方が上だけど普通のイワオもケンカセンスで負けていない。

 山のような巨体で上半身逸らせて半身回しパンチしたり、下へ潜り込んでかち上げパンチ繰り出したりと見せるケンカである。

 

 

『このあたりから岩蜘蛛の危険地帯だ、小さな洞穴に注意して』


『猛毒を持っていてとにかく数が多いの、魔王のお気に入りらしいわ』

 

 

 猛毒なのにお気に入りとか、まおうって変わってるなあ。

 ん? 蜘蛛ってアレか……えええ!?

 多くない? これ見つからずに行けるの?

 あ、イワオ同士のケンカの余波の破片にめっちゃ潰されてる。

 

 巣でもあるのかと思ったらあちこちの山肌にびっしりと蜘蛛がへばり付いていた。

 どこに進んでも蜘蛛の複眼から逃げられる気がしない。

 リマたちはちゅうちょなく疾走り抜け、必死についていく。

 殴り合って喰い殺されるなら仕方ないけど、毒で死ぬのはいやだなあ。

 

 

『あなた、失敗やらかすかと思ったけど意外とやるわね』

 

『だなあ。 隠密行動もうまいしこんだけの強行軍でも音を上げないのは凄い』

 

『よく食べてよく寝てますから』

 

 

 何で褒められているのかよくわからないからとりあえずどや顔してみた。

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