【097話】総司令官の願い
*****ミーナ城*****
鎮圧も無事終えミーナやアイリも回復し、数百名いたはずの鎮圧部隊は負傷者を含めわずか数十名しかいなかった。
その負傷者もミカの治癒により完全回復していた。
だが都市は後からなだれ込んできた反乱軍により壊滅され、生き残った魔族はいなかった。
「かなりの部隊の方々、それに都市の全ての魔族の方々が犠牲になってしまいました。総司令官様は私の事が気になり戦闘に集中できなかったご様子でしたので、全て私の責任です。皆さま本当に申し訳ございません。」
全員が回復し落ち着いた時にミカが突然そんなことを言い出したのだ。
「ミ、ミカ様!なにをおっしゃられるのです!全てはこの私ミーナの失態でございます。」
「いえ違います!このアイリが隣の都市の鎮圧からすぐに戻ってこなかった為に招いた結果でございます!」
「アイリ!何言ってるの?ここは私の領土よ、あんたは黙ってなさい!ですからミカ様全ての責任は私がとります。」
「いや、ミーナ。私はミカ様の警護を担当していたにもかかわらずすぐに戻ってこなかったんだから全て私の責任なのよ!」
「ミカ様の警護に関しては私が指示したのよ!だからそれも含め全ての指示を出した私に責任があるのよ!」
「ミーナ様、アイリ様、あなた方の使命はこの魔界の治安を維持することであって、私などの警護ではありません。そのようなお気づかいをさせてしまった私に責任がございます。お二人に責任は一切ありませんのでこの話は終わりです!」
おとなしいミカに強い口調で言われた為、それ以上2人が言い争う事はできなかった。
現在都市にはミカやミーナ、アイリの3人と部隊の生き残りが数十名しかいなかったためとても静かだった。
だがなにやら気配を感じる。かなりの魔力が押し寄せてきているように感じる。
「この魔力は。。」
「今頃きたのか…」
だがその正体はすぐに判明した。
「ミーナ様!アイリ様!ご無事でしょうか?」
ミーナ領に所属する副司令官だった。その後ろには他の領土から応援にかけつけた副司令官の姿も数十名見える。
「何事だ!しかも他の領土の副司令官まできているとは!」
「しかも今頃来るとは。」
駆けつけた副司令官達はミーナやアイリの傍まで来ると全員跪いた。
「はっ!ミーナ様の領土内で発生した反乱軍の数が魔界史上類を見ないほどの大軍でございまして、各領土総司令官不在の為我ら副司令官で応援部隊を結成し駆けつけた次第でございます。」
「大軍だったと?おおげさな!どう見ても数千ほどしかいなかったではないか!」
「それに駆けつけただと!都市内にはそのような部隊はみかけなかったぞ!」
「そ、それが都市内へは瞬間移動が不可能で、さらに都市を取り囲む反乱軍の数は数十億に達しており必死で応戦しておりましたが都市内へは中々入ることができませんでした。」
「な、なんだと。数十億だと。」
(そ、そんなにいたのか。)
(数十億に達していたなんて。)
アイリが都市内に入った後、各地で待機していた反乱軍が一斉に集結したらしく、しかも都市外を取り囲んでいた為全く気が付かなかったのだ。
「ですが、突然反乱軍のみが突如発生した金色の光に飲み込まれそのまま消滅してしまったため、我らも都市内に入る事が出来た次第にございます。」
(するとミカ様は数十億の反乱軍を浄化させてしまわれたのか。)
(駆けつけた鎮圧部隊は応戦していたはずなのに反乱軍だけを消滅してしまわれたってことなのか。)
副司令官からの報告を聞き、ミカの能力がとんでもない事を改めて思い知らされる。
「そうか、すまなかったな。だが全てここにいらっしゃるミカ様が反乱軍を鎮圧、いや消滅させてくださったのだ。」
ミーナがそう告げると、その場にいた副司令官は言葉を失ってしまった。
新たな反乱軍が発生している恐れがある為、その場に集まった副司令官に元の領土に戻るように伝え、各副司令官は都市外で待たせてあった部隊を引き連れ各自の領土に戻って行った。
ミカが数十億の反乱軍を消滅させてしまったことは、各領土から集まっていた副司令官から魔界全土に知れ渡る事になる。
副司令官も引き上げ、生き残った部隊を他の部隊に預けこの場にはミカ、ミーナ、アイリ三人だけが残った。
総司令官である2人は魔王に続く地位にもかかわらずある決意する。
「ミカ様、どうかわたしを配下にしてくださいませ。助けていただいたこの命ミカ様に捧げます。」
「私もどうかミカ様の配下にしてくださいませ!お願い申し上げます!」
ひれ伏し、必死でお願いするミーナとアイリ。
「私は魔王ミサの妹であり魔界での地位は一般の魔族の方々と同格ですですから総司令官であるお二方を配下にするような恐れ多い事はできません。ですがよろしければお友達になっていただけないでしょうか?」
「それはなりません。いくらミカ様がそうおっしゃれましてもそれは無理でございます。」
(やはりそうなりますよね。ならば…)
「ではこうしましょう。この姿の時は配下となっていただいて、普段の人間界の姿の時はお友達ということでよろしいでしょうか?もしこれでも無理なようでしたらこの話はなかったことに…」
「わ、わかりました!ミカ様の配下にしていただけるならば我らは従います。」
「ミカ様、今後ともどうかよろしくお願い致します。」
とりあえず天使の姿の時だけは配下にしてもらえたの喜ぶ2人だった。
「それとお2人にお願いがございます。」
「はい、なんなりとお申し付けくださいませ。」
「ミーナ様と、アイリ様は今後仲良くしていただけるとお約束下さればそれだけで結構です。」
「それでしたらミカ様、私は今回ミーナに謝らなければなりません隣の都市を鎮圧後すぐに戻らずそのせいでミーナを危険な目に遭わせてしまいました。ミーナ本当にごめんなさい。」
「アイリ。私もあなたに警護を押し付け鎮圧にもくわえさせず、そしていままであなたに対して酷い事ばかり言ってしまい、ごめんなさい。」
こうして2人は手を取り合い、今後は2人協力し合うことを誓う。
ミーナとアイリはすっかり仲良くなり、魔王軍の魔族達にもその噂は広まり、その2人の仲を取り持ったミカは癒しの天使ミカ様とまで呼ばれるようになっていた。
*****アイリ宮殿(半年後)*****
最初の半年間をミーナ領で過ごし、ほぼ毎日にように発生する反乱軍の鎮圧に加わり、最後尾の救護部隊で治癒にあたる日々を過ごした。
ギルタスの件以来ミーナも小規模な反乱だけだはなく大規模反乱にもミカを伴い鎮圧にかけつけ、その度にミカは治癒を施しミーナ領土内の魔王軍に所属する魔族達でもはやミカの存在を知らぬ魔族は皆無だ。
そして修業の地を新たにアイリ領土内に移し、さっそくアイリの拠点へと案内される。
ミーナ同様、アイリも領土内にいる副司令官や大将軍にミカをお披露目するため拠点である建物から少し離れた広場に瞬間移動してきていた。
その広場にはすでに待機していた副司令官や大将軍が目の前に整列し跪き、その後方には物凄い数の将軍や都市の責任者などが勢揃いしていた。
「皆の者よ!こちらにおられるお方が魔王様の妹でいらっしゃる天界の聖天使ミカ様だ!」
大きな声でミカを紹介するアイリ。
ミカも笑顔で自己紹介し軽くあいさつをした後、ミカの要望もありお披露目自体は簡単に終わらせた。アイリは副司令官に命じ集まった魔族を各部署に戻らせる。
そして拠点となる建物がよく見える場所まで近づくとアイリが跪き話しかける。
「ミカ様こちらが私の拠点とする宮殿でございます。」
アイリ拠点は城ではなく宮殿だった。
他の司令官とは違い、物凄い太い柱で立てられた立派な門の奥にとんでもない大きさの宮殿が建っていた。
「こ、これは。なんて美しい。」
女子高生の姿に変えたミカが、その宮殿の美しさに見蕩れてしまう。
「アイリ様は宮殿にお住まいなのですね。」
「そうなんですよアイリはこんなに男勝りの性格なのにかなりのお嬢様思考なんですよ」
ミーナが困ったような顔でミカに報告する。ミカは聖天使の姿ではない為、その場合は普通に会話するように言われている。
「ミーナ。誰が男勝りだって!」
「それそれ、そういうところよ」
(すっかり仲良くなられたみたいですね。)
ミカは犬猿の仲だった2人が楽しそうに話してるのを見て微笑んでいる。
ミーナとアイリは背が高く170センチくらいあるがミカは現在人間界の姿の為150センチだ、なので2人の方がお姉さんに見える。
実際にはミーナとアイリの年齢を足してもミカに到底及ばないほどミカが年上なのだ。
「ミーナ様もアイリ様も背が高くスタイルも抜群なのに、いつも軍服姿なのですね。」
ミカが突然そんな事を言い出すと、何故かアイリは顔を赤くしなにやら言いたそうにしている。
「あ、あの、私何かお気に障る様な事を言ってしまったのであれば謝ります。」
アイリの様子が変な為、そう言うと慌てたようにミーナが話し出した。
「ミカ様、違うんですよ。アイリは…うぐぐぐ…」
ミーナが何か言おうとするとその口をアイリが塞ぐ。
「ミーナ私がお願いするからいいよ。ミカ様お話を聞いていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「はい。」
未だに顔を真っ赤にしながらもじもじしているアイリ。ミーナがさっさと言えとばかりにけしかける。
「そ、その。さきほどおっしゃられた服装なのですが、私に似合う服がございましたら選んでいただけないでしょうか?」
「え、ええ。そのようなことでしたらいつでも構いませんが。」
服を選んでもらうのに顔を真っ赤にしながら話すアイリにミカは不思議そうな顔をしていた。
「ミカ様、アイリは昔からお嬢様に憧れてるんですよ。ですからミカ様のようなお嬢様になりたいとお願いしてるんです。でしょ?アイリ。」
「は、はい。その通りです。どうか私もミカ様のような気品溢れる姿に近づけるようせめて服装だけでもと。。」
「そうなんですか、だとしたらアイリさんならすぐに解決できる問題ですよ。アイリさんやミーナさんはかなりの美女なんですから。」
「はい?美女?ですか?」
「アイリはともかく私なんて論外ですよ。」
アイリは聞きなれない言葉に困惑し、ミーナはアイリの容姿はたしかに美人ではあるが、自分は問題外だと思っていた。
「でしたら今から一緒に出かけましょう。魔界にも美容院といったお店はございますよね。それに都市内には女性服専門のお店もございましたし。」
「まあたしかにございますが、私は一度も入った事がありません。」
「わたしもありませんねえ。」
おしゃれなどしたこともなかった2人なので当然だろう。ミカは喜んで引き受け2人を伴い都市へでかけることにした。
「あっ、そうそう都市の皆様には、普段どおりの振る舞いをするようにお伝え願いますか。それに少々の事で消滅させたり叱ったりしないようにしてくださいね。」
「はい!ミカ様。」
配下を名乗る以上ミカからの命令には絶対服従である。なので2人ミカの言葉に素直に従った。
この2人は気が短いので、すぐに怒り出す可能性があるため前もって釘を刺しておいたのだった。
*****アイリ領土内の都市*****
2人の総司令官を伴いアイリの領土内で最も栄えている都市へ瞬間移動してきたミカはその街並みをまたもや驚いた表情で眺めている。
街並みがまるで洋風であった。いやまさしく洋風である。
レンガ作りの建物や彫刻、噴水などが見える。
「先程の宮殿といいこの街並みといい、これもアイリ様のお考えでしょうか?」
「はい、こういった感じがとてもステキかなと思いまして。」
「おっしゃるとおり素敵な街ですよ、魔界に来て以来初めて見る風景です。アイリ様は美術に長けていらっしゃるのでしょうね」
「ミカ様、あまり褒めると調子にのります。」
ミーナが少しスネた表情でそう言い出した。
「いえいえ、事実ですよ本当に素晴らしいです」
さすがに褒められっぱなしは恥ずかしいので、アイリもミーナのいいところを話す。
「ミカ様、実はあの彫刻ミーナが作ったのをいただいたのです」
アイリは噴水に周辺にまるで美術館のように並べられた立派な彫刻を指差す。どれもなにかの鉱石を掘って作られた魔族の像である。
「えええっ!そうなんですか!それは凄いです。あのようなすばらしい彫刻をミーナ様も自らプレゼントされるなんて、お二人は本当は仲がよかったんですね」
犬猿の仲と言われていたはずの2人が彫刻をプレゼントするような仲だったと勘違いしたミカが嬉しそうにそう話す。
「いえ…ミカ様。あの彫刻はアイリに盗まれたんです。彫るたびに勝手に持っていってしまうので、転売しているか嫌がらせかと思っていましたがまさかこのように飾られているとは…」
どうやらミーナも自分の彫刻が街の装飾になっているとは、思ってもいなかったようだ。
「そ、そうだったんですね。アイリ様これからはちゃんと購入してくださいね」
「はいミカ様今後はきちんと購入いたします。。それにごめんねミーナ。この噴水に飾る像みたいなのがないかって探してたら部下の一人があんたの都市にたくさん並べてあったって聞いたからさ。」
「いいのよアイリ、私もこんな素敵な場所に自分の掘った彫刻が飾られてるなんて思ってもみなかったからとても嬉しいわ。これからは自由に持って行っていいから。」
「ミーナ…ありがとう。」
ミカはそんな2人のやりとりを見て微笑み、ミーナもアイリもとても嬉しそうだった。
そんな会話をしながら都市内を歩き、まず最初に美容院へ向かう。
もちろん領土最大の都市でもある為、魔族も大勢いる。
総司令官が2名、さらに魔王の妹であるミカまでが訪れる事は知っていたが、この3人を普通の魔族として接するようにと伝達されている為、跪く魔族は皆無だった。
なるべくこの3人の通る場所へは近づかないようにすることが暗黙の了解となっていた。
たまにすれ違う魔族にしても、普段目も合わすことすらできない総司令官が視界に入ると緊張のあまり歩き方がおかしくなっていたりした。
(どうやらうまく伝達していただいたようですが、皆さまなるべく遭遇しないようにしてらっしゃるようですね。)自分達のせいでいらぬ気を使わせてしまった事を反省するミカ。
そしてようやく目的地である美容院に到着する。
「ここが美容院にございます。ミカ様。」
「なんておしゃれなお店なんでしょう。レンガ風の建物に大きな窓。すばらしいですね。それにここにも小さな彫刻が飾ってありますね。」
「あら、これも私が掘ったのだわ。まったくアイリ、一体いくつ盗んだのよ。」
「あはは、ごめんね。街の建物全てに一つづつ割り当てるようにいろんな彫刻をとってきちゃったから。」
この都市にきてからミカは夢のような街並みに褒めまくることしかできなかった。アイリもミーナも物凄く嬉しそうな表情だ。
そしてミカは先に美容院の中へと入って行く、照れながらその後ろを着いて行く2人。
「すいません、失礼します。」
「いらっしゃいませ!」
「えっとカットをお願いしたいのですが。」
「はい、今のお客様が終わり次第とりかかりますので、そちらの椅子でお待ちいただけますか。」
「はいわかりました。」
女子高生姿のミカだったので普通の客と勘違いした店員は、その後ろから入ってきた2人を見た瞬間固まってしまった。
(そ、総司令官様が、こ、こられた。まさかうちの店に来られるとは…だが決して意識しないようにと連絡がまわってきているが、ど、どうすれば。)
すでにパニック状態に陥る店員。
「ミーナ様、アイリ様、今別のお客様がカットなさっていますので順番がくるまで椅子に座ってお待ちいたしましょう」
「はいミカ様。」
ミカがそう言うと2人はおとなしく椅子に座った。
この2人の行動は魔界では非常識、非現実的であり恐ろしいことである。
総司令官2名が揃って美容院のカットの順番を待っているのである。
さらに普通の女子高生のような女の子に椅子に座るようにと命令され素直に座っているのである。
店員はふと外の通りが見える大きな窓に目が行った。
そこには副司令官が数名、さらに魔王軍の精鋭部隊の魔族が恐ろしほど待機していたのだ。しかも魔力を最大限に抑え込み決してミカ達に気づかれないように。
しかもこの都市は恐ろしい数の魔王軍により包囲されていたのである。
なぜこれだけの魔王軍が集まっているのかには理由があった。
犬猿の仲であるはずの2人が揃って同じ都市を訪れるなどありえない事態であり、さらに仲の悪い二人が喧嘩でも始めたら都市は一瞬にして滅んでしまうかもしれない。その為、副司令官自ら喧嘩が始まったら止めに入らなければならなかった為である。
ミーナの領土内ではすでにミーナとアイリの仲が良好になったことは知れ渡っていたが、アイリの領土内では犬猿の仲のままだと認識されているからだ。
さらには魔王の妹であるミカもその場にいる為、見守る副司令官達は常時緊張しながらも監視を続けていた。
窓の外の魔王軍の軍勢を目のあたりにした店員はどうしたらいいか解らず固まっていた。
ミカは自分達のせいで固まってしまった店員に気が付き声を掛ける。
「突然の訪問申し訳ございません。先に来られましたお客様のカットが終了致しましたら、あの2名のカットをお願いします。それまで椅子で待っていますので準備が整い次第お声をおかけ下さいませ。」
「は、は、は、はい。かしこまりました」
「ミーナ様、アイリ様、笑顔でお願いしますね。怖い顔でカットすると間違って変な髪形になっちゃいますよ」
笑顔で、2人に告げるミカ。
「はいミカ様。このような表情でよろしいでしょうか?」
「アイリ…それかえって怖いわ。」
「あははは、アイリ様って面白いですね。」
笑い声が響く店内だったが、3人以外は誰一人として笑うことすらできず緊張しまくっている。
そして順番が回ってきたのでまずはアイリが先に座る。
ミカが店員にこうゆう髪型でお願いしますと告げアイリはショートカットにした。
アイリが終わると続いてミーナも席につき、ミーナはくせ毛だったのでストレートのロングヘアーにしてもらった。
美容院で髪型は変わったが軍服姿だったので、次に女性服専門店へ立ち寄り何十着も試着した後、数枚の服を購入しアイリの宮殿へ直接届けさせた。その後、ミカが化粧品や装飾品などを購入し3人は用事が済むと宮殿へと瞬間移動した。
宮殿へ戻ると、先程購入した化粧品や服などでミーナとアイリの変身が始まった。
「や、やはり、お二人ともすばらしいほどお綺麗ですね。」
とても魔王軍の凶暴な総司令官には見えない2人。
「ミーナ、あんたすごい美人だったんだ。」
「ア、アイリ?アイリなの?もう別人じゃない?」
その場で着替えを手伝っていたメイドの魔族達もその変わり様には驚いていた。
「ミカ様本当にありがとうございます。夢が叶いました。」
「わたしまでこのようにしていただき、本当に嬉しいです。」
アイリはショートヘアーで、ミニスカート、脚が長く人間界で例えればトップモデルのようなスタイルである。
ミーナはロングヘアーにロングスカート、まるで外国映画にでてくるような美貌だった。
どちらも長身な為、ミカが選んだ服がとてもよく似合っていた。
「では今度は違う都市へ参りましょうか?」
「え?また出かけるのですか?」
「はい、今回はこっそり出かけましょう。それに魔力も最大限に抑えれば誰も総司令官だとは気が付きませんよ。先程のように都市内で魔王軍の方々が大勢いらっしゃっても困りますし。」
(さすがミカ様、お気づきだったのですね。)
(やはりこのお方は恐ろしい。全て見透かされていらっしゃったのですね。)
「わかりましたミカ様。では都市の入り口にこっそり瞬間移動いたします。」
こうして3人は瞬間移動し都市の入り口に辿り着く。ミーナとアイリは魔力を抑え込み、総司令官だと解らないようにする。
都市内を3人で歩いていると、先程までの雰囲気とはまるで違い魔族が街に溢れかえっていた。
(やはりこれが本来の都市の姿だったのですね、とても活気がありよい都市ですね。)
しばらく歩いているとアイリとミーナの様子が少しおかしくなった。
「ミカ様、なんか恥ずかしいです。なんだか視線を感じます。」
ミーナやアイリの姿があまりにも美しいため、すれ違う魔族がみんな振り返りその姿を見つめているのだ。
「仕方ないですよ、だってアイリ様やミーナ様があまりにも綺麗でいらっしゃいますから。」
聞きなれない言葉を言われた二人の表情は真っ赤だった。
さらに都市内にいる魔族はあいさつを交わし接してくる。誰も怖がったりしない。
「普段はこの街はこんな感じだったんですね。」
自分の街の住人がとてもいい雰囲気だったことに喜ぶアイリ。
「わたしも領土に戻ったら街を歩いてみます」
ミーナも笑顔でとても喜んでいた。
こうして、新たに訪れたアイリの領土での最初の日を過ごした3人は明日から始まる修行を頑張ることにした。
すでに聖天使となってしまったミカは残りの半年間はいままで通り魔王軍に同行し、治癒を担当しする。
そして週に何度かは3人で街へ出かけ領土内の巡回という名目で買い物に行ったり遊びに行ったりしていた。
おそらく変わり果てたミーナとアイリをカオスが見たら、さぞかし驚くだろうと思うミカであった。




