【094話】魔王軍入隊
○天地ミカ 高校3年生年齢17歳
人間界では青色のロングヘアー 身長155センチ。
身長も伸び少し大人っぽく見える。学園ではマキと並んで最高の人気を誇る。特徴としてマキに関わる事でヤキモチをやいたりマキに対して悪口を言うものには容赦なくいじめ倒す。
○天使ミカ(後に聖天使ミカ) 推定年齢数万歳?
天界の天使、大天使長ミカエルの娘。幾度かの転生を終えた後聖天使になることが期待されている。
天使の姿では金色のショートヘアー 身長160センチ
聖天使になった場合、魔王に並ぶ能力もしくはそれ以上の能力を宿すこととなる。
*****ミーナ城*****
現在、ミカは魔王軍総司令官であるミーナの城に総司令官であるアイリと訪れていた。
城門手前に瞬間移動するともの凄い数の魔族が一斉に跪いてミカ達を迎え入れる。
(ミーナ様のお城も物凄い立派で大きな城だわ。)
天使の姿のミカだったが、その天界独特の能力にどの魔族もさからえば浄化されてしまうだろうと恐怖していた。
ミーナを先頭に数名の副司令官を護衛につけミカを取り囲みその後ろにアイリが続く。
なぜかアイリはものすご不満そうな表情だ。
その理由はここに来るまでに大変な騒動があったからだ。
ミーナとアイリのどちらの領土をミカの修業の場所にするかで2人のミカ争奪戦が魔王城内ではじまったのである。
その場はミカにより半年ごとにそれぞれの領土へ訪れることで2人は納得し一旦収まるが、今度はどちらが先にお招きするかの争いが始まり結局くじ引きをすることでミーナが先アイリが後ということで話がついた。
ミカは今回の修業により『聖天使』になろうと思っていた為、初日から頭の痛くなる展開となってしまったのだ。
「ミカ様、ようこそ我が魔王軍ミーナの城へお越し下さいました。」
ミカを部屋に通し跪いたミーナは嬉しそうに話しかける。
「いえ、私こそお招きいただきありがとうございます。魔界には魔王軍と魔王新鋭隊とございますがやはり領土内ではなにか違いはあるのでしょうか?」
ミカは親衛隊が人間界で例えれば警察で、魔王軍はそのまま軍隊と認識していたため質問してみた。
「はい、ミカ様。親衛隊と魔王軍は共に治安維持の為に作られています。親衛隊に関しましては各都市での取り締まりや些細なトラブルの対処などが主な任務となりますが、魔王軍に関しましては異世界からの侵略の阻止や反乱軍の鎮圧などが主な任務となります」
「解り易くご説明いただきありがとうございます。反乱軍が存在するとは驚きましたが。」
「これだけ広大な魔界ですから反乱は後を絶ちません。情報の伝達も末端までに伝達されるにはかなりの年月が必要になりますし途中で伝達事項が変わったりと広さゆえの行き違いなどがございます」
「なるほど、そうした行き違いや間違った情報を鵜呑みにして反乱が起きる事が多々あるということですね。」
「はい、おっしゃられる通りでございます」
魔界がいくら魔王により統治され、総司令官、副司令官、大将軍、将軍と各地を分担していても多少の漏れはあり元々の魔界の人口から考えるとその多少でも莫大な人数となってしまう。
つまりその多少の漏れの中には魔王がいないとか、魔王は弱いとか、異世界に魔王城が乗っ取られたとか、訳のわからない情報を信じ今がチャンスと徒党を組み反乱を起こし身近な都市を攻撃したりといった事が日常茶飯事らしい。
「魔王軍の方々は日々お忙しい毎日を送っておられるのですね」
「いえ、部隊を分けていますし我軍の魔族は皆強大な魔力を持っていますのでどうってことはありません。」
ミーナはミカが考えるほど大変ではないと答える。
だが、ミカはそんな重要な任務に就く総司令官である2人を自分のレベルアップの為だけに付き合わせる事が申し訳なく思っってしまった。
「あの、ミーナ様にアイリ様。わたくしからお二人にお願いしたいことがございます」
「はい?どうなされました。ご遠慮なさらずなんなりとおっしゃってくださいませミカ様」
ニーナとアイリはなんだろう?とミカの方を見る。
「今回の私の修業の件ですが、魔王軍のお手伝いをさせていただきたく存じ上げますがいかがでしょうか?」
ミーナとアイリは驚いた。自分達が最も憧れる高貴で気品あふれるミカ様がたかが軍の手伝いなどといいだしたのだから当然だ。
「ミカ様、それだけはお許しを。」
「ミカ様のような方にそのようなお手伝いをしていただくわけには…。」
申し訳なさそうに断るミーナとアイリ。
「そうですか、やはり私では皆さまの足手まといになりご迷惑をおかけすることになりますから当然でしたね我がままをいいました申し訳ございません」
総司令官を遥かに凌駕する能力の持ち主が、目の前で頭を下げていることに焦る2人。
魔界では決してありえることではないのだから。
さらに足手まといになるから断ったと勘違いされてしまっている。
「ミ、ミカ様が足手まといになるようなことがあるわけがございません。ミカ様にもしもの事があれば我々も困りますので、もっと安全な修業をお願いします」
アイリは動揺しそう伝えるがその発言が墓穴を掘る。
「アイリ様、安全な修業ですと修業になりません。それになにも自ら鎮圧しようとは思いません。私にできる分野でのお手伝いで結構です軍の方々がお怪我をされました際に私の治癒の能力で治す程度のことで結構なのです」
「なるほど治癒ですか。」
「それならミーナいいんじゃないか。」
「そうね。ミカ様、わかりました。では軍の最後尾に位置します救護部隊に同行していただくこととなりますがよろしいでしょうか。」
ミカの治癒の能力なら最後尾で守りを固め安全な状態で軍に同行するくらいは大丈夫だろうとミーナもアイリもそう思い、了承した。
「ではミカ様は私と常に行動を宜しくお願いします」
アイリは自分が警護すれば安全だろうと判断しそう答えたがミーナが噛みついた。
「おい、アイリあんたバカか?ここは私の領土よ?なんであんたがでしゃばんの」
「でしゃばる?はぁ?お前みたいなバカにミカ様をお預けできないからに決まっているだろう」
(まるでマキちゃんが2人いるみたいだわ。)
「なんだと貴様!」
「なんだ?やるのか!相手になってやるよ!」
また喧嘩が始まってしまった。この2人は本当に仲が悪いようだ。
「あの…お二人ともおやめください。アイリ様ここはミーナ様の領土ですからミーナ様の指示に従いましょう。」
「は、はい。ミカ様申し訳ございません。お見苦しい所をお見せいたしました。」
「ミカ様のご配慮感謝致します。ミカ様の護衛にはアイリに担当させます。それに先程はミカ様の御前で暴言の数々お許しください。」
ミカに喧嘩を止められ、あわてて謝罪する2人。とにかく仲が悪かった。
その後ミーナは各地で起こっている反乱場所から危険な地は避けなるべく鎮圧しやすい場所を選びミカを同行させることになった。
アイリはミカの護衛として嬉しそうにしていた。
数カ月間毎日のように起こる反乱、それを鎮圧しにいく魔王軍。
(魔界の広さから考えるとこれでも少ない方なのかもしれないわね。)
鎮圧の仕方は毎回同じで、想像を絶する酷く残酷な処刑の仕方だった。
ミカは鎮圧に同行する度にその鎮圧の仕方に疑問を感じていた。
(いくら魔界のやり方だとしてもこのようなやり方は。)
余計な口出しはしたくないのだがあまりにもやり方がひどすぎるのだ。
ある日、反乱軍の鎮圧を終えミーナ城へ引き上げた時にミカはおもいきって尋ねることにした。
「あの、ミーナ様。鎮圧後の処刑は毎回このような形を取られているのでしょうか?」
アイリもそのやり方が気に入らなかったらしく口を挟む。
「やはりミカ様もお気づきでしたかこの野蛮魔族のミーナのやり方は本当にひどいですからね。反乱軍を捕らえ両手両足を斬り裂きそのまま魔物のエサにするなんて頭がおかしいとしか思えませんよね」
(なにもそこまで言ってませんが、まあアイリさんはまともなようね)
ミーナの顔色が変わった。
(ミーナ様お気を悪くされてしまったかもしれませんわ、やはり余計な口出しはするべきではなかった。)
ミカは余計な事を言ってしまったと反省するがどうやらミーナはアイリに怒っているようだ。
「おいアイリ、あんたにだけは言われたくない!あんたは反乱軍を同じように切り刻み動けなくし、何百年も晒したまま放置し続けてるじゃない!それならいっそ殺してあげる私のほうが数倍マシよ」
(どうやらどっちもどっちのようね。)
「なんだって!魔物に食われるほうが酷いにきまっているだろ!」
「あ?ならお前も魔物のエサにしてやろうか!」
こうしてまた喧嘩が始まってしまった。その原因を作ってしまったことにミカは反省する。
だが2人はそれ以上言い争いをせず、ミカにどちらが正しいか意見を求めた。
「ミカ様、どちらの方がよろしいと思われます」
「どちらというわけではなく、どちらも正しいのではございませんか?魔界の治安を守る為に行っていることですから。」
「なるほど、そうですよね。」
「ミカ様がおっしゃるのならどちらも正しいってことで。」
と、うまいことごまかした、2人はその言葉に納得し嬉しそうだった。
会話をするたびに喧嘩になる2人にミカはこの先不安でしょうがなかった。
この2人の仲の悪さは軍では有名で知らないものは皆無だった。
その為、反乱軍に目をつけられてしまうこととなる。




