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てんせい☆  作者: MAKI
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【086話】悪魔と神2

【天界の門】の復活までは、あと数カ月から数年かかるらしく、前回の堕天使が破壊した時よりもっと酷く破壊されている為、それだけの日数がかかってしまうのであった。それまで天界、魔界では、悪魔に備えて個々の能力を強化していた。



一方人間界では2人の神を仲間に加え、これ以上強い転生者はいないだろうと他の転生者を捜索はやめてミキ達3名いろんな事を話しあっていた。


ミキは悪魔化もできず洗脳もできていない2人の神が、なぜ自分の仲間になっているのかまだ信じられず、もう一度念を押し聞いてみる。


「私はあんた達2人を悪魔化し、そして悪魔にしてあいつらと闘おうとしていたし、それに私が天界を攻撃するのは単なる逆恨みなのよ、なのに何故仲間になるの?」


「それに元は大天使だし、あなたた達より下位に位置するはずよ。」


「ミキ様は面白いお方ですね、そういうところです。そうやって包み隠さず正直にお話になられるそんなところも素敵だと思います。」


「神だからえらいとか悪魔だから悪いとかそんな考えはありませんよ。ミキ様だからお仕えしたいのです。」


テミスとアースは笑顔でミキを見ていた。何を言われようがミキには忠誠を誓うようだ。


ミキはいきら自分の力がかなりあると確信していても、神2人相手にかなうわけはないと思っていたので意外な答えに驚いた。


「まあ、意味わかんないけど、わかった。もうこの事は聞かないわ」


「ミキ様、一応私達の力を知っていてもらいたいのですが、言葉で説明するより実際見て頂いた方がよろしいかと。」


ミキもそれは願ってもないことだった。神の力がどれほどのものなのか全く解らなかったし、実際見たいとこちらからお願いするのもプライドが許さなかった。


「そうね、じゃあ参考までにやってみせて」


仕方ないから見てあげる、という表情でそう答える。


(ラッキー、こっちから言う手間が省けたわ。)内心喜んでいたミキ。


「では、わたしからやってみますね」


アースは『戦士』ということで、一つの技を披露する。


現在3人は海の上にいた。海上だと破壊するものもなく好きなだけ能力を発揮でき威力も解りやすいからである。

さらに神としてむやみやたらに人間界を破壊するわけにもいかなかったからである。


ミキにしてみれば人間界が破壊されようがどうでもいい事であるが、仲間となった以上多少なりとも気を使っていた。


アースは『戦士』だから剣を使うのだろうと思っていて見ていたミキだが想像通りたしかに剣を使用するのであるが使い方が想像を超えていた。


アースの繰り広げた技は、上空に現れた無数の剣が雨のように海面に突き刺さっていく。その数はまさにどしゃぶりの雨のようにそして鋭く海面に突き刺さり速度を落とすこともなく海の奥深く突き刺さっていくのだ、しかも目に見える海面全てに。


「これが、戦士である神の技ね…。」


内心凄いと思っていたがあえて表情にはださないミキ。それを見たテミスはミキの事を凄いと思っていた。


『パチパチパチパチ』


「すごいわアース!」


拍手をするミキ。笑顔でとても凄い技だと褒める。アースは凄い嬉しそうだった。続いてテミスの技が披露される。


アースよりさらに恐ろしいその技を目の前で見せつけられた。


時間が止まっている為動きが無い海だったが、テミスの能力により海面に亀裂が生じる。次第にその亀裂は大きくなり海が真っ二つに斬り裂かれ海底が露出する。幅数百メートル長さは目で見える範囲全てが斬り裂かれていたので相当な距離だろう。


(こ、この2人。これほどまでとは、テミスに至っては破壊というレベルじゃないわね)


『パチパチパチパチ』


「テミスもすごいわ。」


また拍手をするミキ。表情は笑顔を保っているが内心は相当焦っていた。


(しかし無茶苦茶だわ。どうしよう。私もなんか芸を見せないとしめしがつかないわね。)


困ったミキは神よりたいした技でも仕方ないとあきらめ、自身の持つ力を披露することにした。


「じゃ、じゃあ次は私の番ね。」


だが、神である2人は慌てて止めにはいった。


「ミキ様、悪魔であるあなた様の力を発揮してはなりません。」


「え?見なくていいの?2人の見せてもらったし。」


2人は笑顔だった。そしてテミスが答える。


「ミキ様のお力を見せて頂くと、この人類、いや全ての生物が滅びてしまいます。それは私達にとってはとても困る事ですので、それにミキ様は転生から現在に至るまで、一度もそんな事をなされておられません。」


どうやら、2人はミキがいつでも世界を滅ぼせる立場でありながら、現在に至るまでこの世界において一度も能力を使っていない事を、すごいと思っていたようだ。


(うーん、私は人間界に恨みがあるわけでもないし、そういう考えは確かにおきなかったわね。)


「ですから、ミキ様の能力を使わずとも、我らの力でミキ様と敵対する者は滅ぼします」


「ミキ様は悪魔らしくない悪魔ですよね」


テミスもアースも笑いながらミキにそう言う、そしてミキも笑顔で、どういう意味よ!と返す。


「しかし2人共すごい能力の持ち主ね、やっぱ神ってスケールが違うわね」


「そんなことはありません、我々からすれば、ミキ様の方がすごいです。」


見た目は美少女3人だが、秘めた能力は恐ろしいほど強大である。これなら勝てると確信したミキだが、気がかりが一つだけあった。


「ミキ様、我らの敵となりうる異世界の転生者にはどんな者がおられるのでしょうか?」


「うんとね、魔界の魔王に天界の大天使3人と聖天使になりかけの1名、それに氷の女王、闇の王、それに…魔女ってとこね」


とりあえずマキの正体がわからないので、魔女と言ったが、やはり神にも突っ込まれた。


「魔女?ですか。そのような者は初めてお聞き致します。」


「だよね、実は私も正体が掴めてないのよ。しかもこの人間界では実の姉ときたもんだから。」


アースとテミスは驚いた。姉妹が転生者だったことに。


「その、よろしいんですか?人間界での実のお姉様を敵に回されても。」


「かまわないわ、向こうもその気だしね。」


笑顔でそう言うミキ、どうやら本当にそう思っているように見えたテミスは、わかりましたと頷く。


「ですが、正体が掴めないのはやっかいですね。」


「そうなのよ、現時点でもかなりの力をもっているし、もし本当の記憶が戻れば魔王に匹敵するかもしれないのよ」


「魔界の魔王ですか、やつもかなりの魔力がありそうですね、おそらく異世界では敵になる者はいないと思います」


アースは戦士だったので、強いと噂される者の事は把握していた。


「神がそういうんなら相当だわね、でも3人で力を合わせればいくら魔王でもどうにかなるわよ」


「そうですね、ただ問題はミキ様のお姉様ですね。転生者であるはずですが、正体が解らないというのは謎ですね」


「まあ、そのうち解るんじゃないかな。とりあえず私達は敵を迎え撃つ作戦を練らないとね、向こうは私だけがこの人間界にいると思ってるから始末しにくるでしょうし」


「しかし大天使は許せませんね、恩を仇で返すなんて。」


テミスが拳をぎゅっと握り締める。ミキはその手を両手で覆い、ありがとうと告げる。そしてアースの手も取り3人で敵を倒すと誓い合った。


「それより、あなたた達の敵は誰になるの?私ばっかり聞いてもらってじゃおかしいでしょ」


テミスはやはり笑顔だった。悪魔らしくない悪魔にどんどん惹かれていくアースとテミス、そして語りだす。


「我々の敵は、ルメスと言います。最大の武器が嘘であり、真実を述べない為、この神の発言にはかなりの信ぴょう性があります。その発言により、我らは裏切り者とされ、幽閉されてしまいました。」


「なるほど、じゃあそのルメスってやつが、テミスとアースは裏切っていないとか言ったわけね」


「さすがミキ様、おっしゃる通りです」


2人声をそろえてそう言った為、バカにされた気分のミキだった。


「あんたたち、わたしを馬鹿にしてるでしょ!」


ほっぺたをふくらませて怒ったミキに、ごめんなさいと謝る神。


「しかし、そんな言葉を信じて何千年も閉じ込めるなんて、本当にひどいし、許せないわ。そんなやつこそあの暗闇に放り込めばまともになっちゃたりするんじゃない」


「それはいいお考えですね、ミキ様はやはり頼もしいし、どうぞこれからも宜しくお願いします。」


どうやらすっかり悪魔に心酔してしまった神であった。



そしてこの3人は、天界の門が復活するまでの間、ずっと行動を共にし、ますます絆を深めることとなる。



天界にいる大天使、魔界にいるミサキ達は悪魔の仲間に神が加わったことなど夢にも思っていないのである。

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