【080話】悪魔討伐
*****天界の門*****
マキとミカエルは天界の門付近に転移してきたはずだったが、そこには破壊された天界の門が。
「天界の門が破壊されておる。」
2度目の門破壊。門周辺には天使の姿が見当たらない。
「ええっ?また破壊されているんですか?」
マキには天界の門が見えない為、ミカエルに問い直す。ミカエルは無言で頷く。
「破壊による時空の歪みがそこに発生しとるからな。」
ミカエルの見た方を見ると、たしかに以前見た時空の歪みと同じものがあった。
「ミカエル様、天界で何か起こっているのでは?」
「とりあえずワシは宮殿に戻る。魔女さんご苦労じゃったの。ミカの事これからもよろしく頼むよ。」
ミカエルは笑顔でマキにそう伝え宮殿へ戻ろうとしていた。
「宮殿までお送りして、そこから転移します。ここから転移するのも宮殿から転移するのも同じですから。」
「そうか、なら一緒に行くか。」
嫌な予感がしたマキは宮殿まで付いていくと言った。
天界の門から宮殿へと向かう2人は、すぐに異変に気がついた。
「先程から誰とも会いませんね。」
「そうじゃのう、これはちと厄介な事になっておるかもしれんのう。」
マキが言う通り、この道中全く天使を見かけないのだ。ミカエルの表情も次第に変わっていった。
「魔女さんもし危険を感じたらすぐに転移し、魔界へ逃げるんじゃ。」
「は、はい。」
ミカエルは真っ直ぐ前をみたまま真剣な眼差しで何かを見ている。
「あ、あれは。」
宮殿が小さく見えるくらいの所まで着いた時に、宮殿をものすごい数の天使が取り囲んでいた。
「ミカエル様、やはり宮殿で何かあったようですね。」
マキはただ事では無いことを悟り、ミカエルの後を付いていく。
ミカエルの姿を見つけた1人の天使が、血相を変え飛んできた。
「ミカエル様!宮殿が悪魔に占拠されました。」
突然の天使からの報告に、驚くミカエルとマキ。
「悪魔だと?何故悪魔が天界に。宮殿内にいた天使はどうなったんじゃ?」
(なんで悪魔が魔界に?)マキもわけがわからない。
「詳し事は解りかねますので、大天使アリエル様とルミエル様がおられますのでそちらへご案内いたします。」
報告に来た天使は大天使達が待機する場所へミカエルとマキを案内した。
大勢の天使のいる中で、一際目立つ羽をもつ天使がいた。ミカエルと同じ大天使であるアリエルとルミエルだ。
(この2人も大天使なんだ。なんか強そう。)
「おお、ミカエル無事だったか」
「アリエル、ルミエル、悪魔が天界にいるとは一体どういう事だ?」
アリエルはこれまでの出来事を事細かく説明する。自分の宮殿で起こった出来事と、今ミカエルの宮殿で起こっている事を。
「すると人間界に偵察に行った者ばかりが悪魔になっているということか。」
「見た者によれば、だんだん肌の色が黒くなり、体格が変化し、羽も変化し、最終的に目が赤くなるという事だった。」
「しかし、ワシの所へ報告に来た時には特に変わった様子は見られなかったのだが。」
「では異変が起こったのはその後だろう。もしかしたら偵察に行った時になにかされたのかもしれん。」
(やはり全員で仮眠してたとか報告を受けたが、それが原因じゃろな。)
現在いる悪魔になった天使は、全て人間界に偵察に行った天使であることから、そういう結論に達した。
「ミカエル、そこの方はどなたかな?」
アリエル、ルミエルはマキの方を見ていた。
「天界の門が破壊されておってな、天界に帰れんようになってしまって、それで魔女さんに天界まで連れて来てもらったんじゃ」
「マキと申します。私にできる事がございました、なんなりとお申し付けくださいませ。」
ペコリと頭を下げ自分も協力すると告げるマキ。
「私はアリエル、隣にいるのがルミエルです。ミカエルを無事天界まで連れて来ていただいてありがとうございます。」
「嬉しい申し入れ感謝致しますが、これ以上ご迷惑はお掛けできません。ここは我々で対処致します。マキさんは絶対にこの場所から動かないでください。」
大天使アリエルとルミエルからそう言われ、頷くしかできないマキ。
これからどうするか大天使が相談していると、悪魔数体が宮殿から出てきて、取り囲んでいる天使に襲いかかっていた。
マキも悪魔を見るのは初めてで、その姿、殺傷能力の高さは、いままで見てきた異世界の者達とは比べ物にならないくらいおぞましい。
「あ、あれが。悪魔。」
小さな声で呟くマキ。宮殿から出てきた悪魔に一方的に狩られ朽ち果てて行く天使達を見て茫然としていた。
(な、なにあれ。むちゃくちゃ強いじゃん。)
「やはり、天使だけではどうにもならんか。」
ルミエルは急いで悪魔が出てきた所へ向かう。
悪魔は大天使ルミエルと数体の上級天使を見たが襲ってこずに宮殿へと引き上げた。
「これだけ天使がいたところで、悪魔に対処できる天使は皆無に等しい。我々3人と上級天使くらいか。」
悪魔は100体いるため、数では天使が遥かに多いのだが、実際悪魔と対等に戦える天使は、上級天使と大天使しかいない。
「ミカエル様、私も戦いに加えて下さい。魔法なら遠距離からでも攻撃可能です。」
戻ってきたルミエルとアリエル、ミカエルは相談し、マキに応援をお願いすることにした。
「マキさん、では遠距離からの援護をお願いします。」
マキにもしもの事が万が一にも起こってはならない為、遠距離からならと念を押す。
ミカエルが総指揮を採ることとなり、宮殿前にいた天使達を一旦後退させ、代わりに大天使自ら先頭に立ち、その後ろに上級天使それに囲まれ守られるようにマキがいた。
そしてミカエルは宮殿内にいる悪魔に向い叫ぶ。
「悪魔どもよ、ワシが大天使長ミカエルだ!宮殿内にいる天使を返してもらおう。」
宮殿内から、1人の悪魔が出てきた。
元天使のハデスだった。今は天使だった頃の面影は全くない。
「大天使ミカエルか、貴様なぜ天界に戻れた?まあいいどちらにしろこの天界は我らが頂いく。」
ハデスは笑いながら言い放った。そして全天使達が凍りつくような事を続けて話す。
「宮殿内にいた天使なんぞ我らのエサになっておるわ、はっはっはっはっは。」
マキを取り囲んでいる上級天使達、その後方にいる天使達の殺気がひしひしとマキに伝わってくる。
(エサって。もしかして天使を食べちゃったってこと?)悪魔の言動に驚くマキ。
だが、大天使3名は極めて冷静であった。
「そうか。では宮殿内にはもう生き残った天使はいないのだな。」
ミカエルがハデスに尋ねる。
「何度も言わすな。今頃は我らな腹の中で溶けておるわ、はっはっはっはっは」
ハデスは、高笑いをする。
ミカエルはルミエル、アリエルに目配せをする。おそらく宮殿内にはもう生き残った天使はいないから遠慮はいらないと。
マキは目を疑った。つい先程目の前にいたはずの大天使3名がいない。
(え?ど、どこに。)
一瞬にして宮殿から出てきたハデスを3名の大天使が取り囲んでいた。
そしてハデスはミカエルの聖剣により両手、両足を瞬時に斬られそのまま後から来た上級天使に捕らえられた。
大天使3名は、宮殿内に入り、残りの悪魔を僅かな時間で片付けてしまった。
大天使3名は、宮殿内に天使が囚われていると思っていたため様子を伺っていた。
だがハデスは天使を殲滅した事を自ら自慢気に語った為、それが命取りとなった。
ハデスはあまりにも天使が弱く手応えもなかった為、悪魔の数がこれだけいれば大天使にも勝てるだろうと過信していた。
マキは大天使3名は魔王に匹敵するくらいの力があるのではないかと感じていた。
大天使達は、一旦アリエルの宮殿へ向い、人間界を再度調査する話し合いをすることにした。マキには同行してもらった。




