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てんせい☆  作者: MAKI
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【008話】真欧学園編3

ミカは、背はミサキより10センチほど低くく、髪は青色、瞳も青色。ミサキの赤と同じく、色はハッキリしている。なんの混ざり気もない綺麗な青。


(この子がミカちゃんね、写真で見るよりはるかにかわいいわ。)


「あ、あのーミサキせんぱい、わたしになにかご用でしょうか?」


今にも泣き出しそうな瞳でミサキに話しかけるミカ。それを見てミサキは今すぐにでも抱きついてそのまま家まで持って帰りたくなった。が、思いとどまった。


「あのねミカちゃん、ちょっとお話が聞きたくて、少しいいかしら?」

ミカが泣き出しそうなのでとびきりの笑顔で話しかけるミサキ。だが、ミカはさきほどまでと何ら変わらぬ表情だった。


(あれ?この子まだ泣き出しそうなままだわ、わたしの言い方が怖かったのかしら、それとも表情が怖いのかしら…。)


ミカの表情が全く変わらず返事もないのでもう一度話しかけてみた。


「ミカちゃん。お姉さんとお話しするの嫌かな?少しだけでいいのだけど、時間がないのなら、後からでもいいよ」


ミサキは誰にも見せたことのないような笑顔でミカに話しかけてみた。


さすがにこの笑顔にはミカも耐えることができず、ようやくミカにも笑顔が見られるようになった。


「は、はい。ミサキせんぱい!わたしもミサキせんぱいとお話しができるなんて夢のようです!」

ミカは瞳をキラキラさせそう答えた。


笑顔を連発させ、しかも二度目は誰にも見せた事のない笑顔まで見せてしまったため、このAクラスの全員が恍惚とした表情で、教室の床にへたり込んでしまっていた。


(それにしてもミカちゃんて、かわいい。)


ミサキはすっかりミカの事が気に入ってしまったのだ。そして話を聞く為にミサキとミカは風紀委員室に向かっている。


普段ならミサキが廊下を歩くだけで、教室にいる生徒が一目見ようと飛び出してくるのに、何故かそれはない。すんなりと風紀委員室に辿り着いた。


そして、風紀委員室内の椅子にミカを座らせ、ミサキは部屋にあるティーセットを取り出し紅茶を入れてミカの前に置いた。


「あ、ありがとうございます!ミサキせんぱいが淹れてくださった紅茶が飲めるなんてミカはもうこの世に未練はありません。」

ミカは本気で喜んでいた。あの全生徒の憧れの的ミサキから紅茶を淹れてもらえたのだ。


「おおげさね。ミカちゃん」

笑顔で答えるミサキ。だが、ミカの反応は変わらない。


「で、話なんだけど、ここんとこ一年生の間で、トラブルが多発しているのはミカちゃんも知ってるよね?」

ミサキは優しく問いかける。


「は、はい!存じ上げております!」

少し緊張気味に答えるミカ。憧れの存在であるミサキと会話できることなどこの先ないかもしれないので、ちゃんと自分からも話しかける。

「トラブルが、発生する度にミサキせんぱいが現れ、全て解決するお姿をいつもいつも拝見できて、ミカはとても楽しみにしてるんです!」


「え?楽しみにしてるの?」


「はい!今日もトラブルが起こらないかなーっとか、今日はミサキせんぱいどんなお姿で解決にいらっしゃるんだろうとか。」


「そ、そうなんだ。あはは」


「でもね、ミカちゃん、わたしは風紀委員長として、この学園はみんなが仲良くできる学園にしたいの。だからトラブルなんて、本当は起こってほしくないの。」


ミサキが少し困った顔をしていると、ミカがその表情を察して話し出した。


「あ、あの。せんぱい。わたしがせんぱいを困らせてしまってたのかもしれません」


「え?ミカちゃんどういうこと?」


「実は、わたし。せんぱいの姿が見たくて、以前せんぱいが駆けつけて解決したそのお姿がとても素敵で、それで今日その子達が仲良く話してるのを見てると『また仲悪くなっちゃえ』って思っちゃったんです。そしたら。。」


「そしたら?」


「そしたら、急に2人の表情が変わって 何故か言い争いが始まってしまったんです。」


「それに、この風紀委員室に向かうまでの道中、『誰にもわたしとミサキせんぱいの邪魔をされませんように』って、思いながら歩いてきてたんです。そしたら誰にも邪魔されずにここまでこれました。」


(ミカちゃんなんてかわいらしい愛らしい子なんでしょう。私の姿が見たいからって。もう私ダメかも。いますぐ連れ去って家に監禁したいくらいだわ。)少し危ない事を考え出したミサキであった。


(でもここは先輩として、なんとか解決する方法を探さないと!)と、いつものミサキに戻った。


(でもどうすればいい?ていうか、なんでミカちゃんがそう思っただけでトラブルが発生しちゃうわけ?よく考えれば謎だらけよね。)

ミサキは黙り込んでしばらく頭の中を整理していた。


黙り込んだミサキを見てミカは自分が嫌われてしまったと判断した。


「わ、わたしは…なんて、なんて最低な人間。ミサキせんぱいを困らせていただけなんて。もうせんぱいに嫌われても仕方ありません。それに嫌われたことが分かったので、もうこの世に未練はございません。」


ボロボロと泣きながら、はっきりとミサキに自殺宣言までしてしまった。


「ちょ、ちょっと、まってミカちゃん。今ね少し頭の中を整理してたのよ。私がそんな事でミカちゃんを嫌ったりするわけないよ。それにミカちゃんは何もしていないのだから責任を感じる必要もないから、泣かないで!」


「ミサキせんぱぃ。。。こんな汚れた心を持つわたしを嫌ったりしないなんて・・・」

今度は嬉し泣きに変わったミカであった。


ミサキは頭の中をもう一度整理した。

(ミカちゃんは私を想うばかりに、無意識のうちになんらかの能力が働いてしまったのかも。でもそれほどまでにこんなかわいい愛らしい子が私の事を想ってくれてたなんて…今すぐ…)っと、また変な妄想に走りかけたがなんとかとどまった。(そう、想いが強すぎてしまったが為に起こった。なんの能力が働いたかわかんないし、とりあえずそういうことにしておきましょう。)と適当なミサキであった。


「ミカちゃん安心して、これからは私がミカちゃんだけのお姉さんになってあげるから、だから安心して。でもみんなには内緒よ」


「ほ、ほんとですか。ミ、ミカはうれしいです!」

ミカは感動しすぎて泣き出した。何を言っても泣くようだ。


この日以降一年生間で起こっていたトラブルは一切起こらなくなった。


とりあえず問題は解決したのであった。

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