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てんせい☆  作者: MAKI
74/230

【074話】姉妹

*****闇の世界*****



調査も兼ねて闇の世界へと降り立った6人。



マキ、メアリー、ミカ、ユキ、そして総司令官であるカオスとディオ。


ここからはメアリーの瞬間移動で暗黒の壁まで移動する。


「そういえは、どうしてカオスさんとディオさんまでここに?」


「はい、魔王閣下から念のため行動を共にするようにと、しかし我々がいたところでなんのお役にも立てそうにないのですが。」


「そんなことございません。カオス様にディオ様のような魔界の重鎮である方がお側にいらっしゃるだけで心強いですわ。」


「そうだよぉ、気にしなくてもこの先、危ないとこがあれば盾代わりになってもらうしぃ」


「ユキひど。。」


「そうですよね、盾代わりだなんてひどいです。暗闇の壁に吸い込まれそうになったらその身代わりになってもらうほうがいいのでわ。」


「メ、メアリーまで。。」


(メアリーこわっ、冗談なのか本気なのかわかんない。)


「ユキ様メアリー様、当然そのつもりです!」


カオスとディオは真剣にそう答えた。


「おいおい、冗談が通じてないからユキもメアリーもその辺にしときなさい!」


マキが注意する。ユキはえへへと笑って、メアリーも舌を出していた。


「で、メアリー。暗闇の壁に一番近いこの闇穴からどれくらい歩けば辿り着くの」


「そうですね、徒歩ですと速ければ10年以内には…。」


(徒歩だと10年て…。距離的にもっとかかりそうだけど。)


「ならやっぱ瞬間移動していこっか。」


「はい、でわ参ります。」


メアリーと共に全員瞬間移動した。



*****暗闇の壁付近*****



移動した先から数百メートル離れた場所に地面から天井まで黒一色で覆われた壁らしきものが見えた。魔界の果てと同じような感じだった。ただ違うのは空がない点である。


「たしかに黒い壁だ。」


「吸い込まれそうな黒さですね。」


「上の方は魔界の底部分でしょうか、あそこは暗闇に覆われていないのですね。」


「覆われたら魔界までなくなっちゃうよ、ミカちゃん。」


「これじゃ調査のしようがないね。」


辺りを見渡すとあちこちに光る鉱石があるのだが、マキはそれを拾い黒い壁めがけて投げた。


なにかにぶつかる音もせず、放物線を描いて壁の向こうへ消えた鉱石は、地面に落ちた音さえしない。吸い込まれるように消えた。


「あの壁の向こうはなんにもないのかなー?」


「ぶらっくほーるってやつですねぇ」


「みんなあの壁に向かって攻撃してみよっか」


マキがそう言い出したので、なんでも試してみたほうがいいと皆賛成する。


「ではワシら2名で、やってみます。」


カオスとディオが最初に魔力をぶつけてみた。


凄まじい魔力だ。ミカ達のいる地面が魔力によりヒビが入る。


カオスとディオの魔力は暗黒の壁に解き放たれているのだが、壁に全く変化はなかった。


「ダメですね、吸い込まれるっていうより、吸収されてる感じがします」


(いまの魔界で使ったら凄い事になってたんだろうな。)あまりにもの魔力の凄さに驚くマキ。


カオスが感覚的に魔力では無意味だと告げると、今度はユキが女王ユウキとなり挑む。


(うわっ。ユキ本気だな。凍らないように魔法かけとかないと。)


「壁もろとも凍らせてみせましょう!」


ユウキの姿で凍らす力は半端ないくらい凄かった。


冷気も凄まじく薄暗い世界は一瞬にして真っ白になる。

マキ以外はそれぞれの能力で凍らないようにしているがマキは魔法で防いだ。


だが、黒い壁は表面すら白くならず、ユウキの力を吸い込んでしまう。

ダメだと思ったユウキはユキに戻った。


「うにゃぁぁ。だめでしたぁぁぁぁぁ。ミカねぇ様、お願いします。」


「カオス様達でもユキちゃんでもダメなのに、私なんかもっとダメだよ。」


だが、この6人で一番可能性のあるのはミカだ、天界の能力は計り知れないものがあり、さらに暗闇には対照的な光がある。


ミカは天使ミカに姿を変える。薄暗い闇の世界が一気に明るく照らし出される。


「ミカちゃん綺麗だなあ。」


「ミカねぇ様、がんばってぇ。」


「こ、これが天界の能力ですか。もの凄いです。」


「まぶしい、やはりミカ様はすごい輝きをもっていらっしゃる。」


カオスが目を細めそう呟く。


ミカは聖剣エンジェルソードを取り出し、その剣に光を集め、黒い壁に向かって光を解き放った。


「えいっ!」


聖剣から出された光線により、暗黒の壁に穴が開いた。


「うわぁぁぁ。すごい!ミカちゃんやったよ!」


「あ、あの壁に穴が開くなんて。」


「ミカねぇ様すてきですぅ。」


「こ、これがミカ様の天界の能力ですか。もはやワシらの魔力など比べものになりませんな。」


全員がミカの能力に見蕩れていたが、やがて光線も消えると、暗闇に開いた穴は元に戻った。ミカ自身も女子高生に姿を変える。


「やっぱりだめですわね。」


「そんなことなぃよぅ、すごかったよぅ。」


「だよね、光があればなんとなりそうな感じだったし、ずっと光っていればその先には壁が進めないんじゃないかな」


「なるほど、そうかもしれないですね。」


「しかし、あれだけの光はミカ様しか築きあげれないのでは。」


「だよね、メアリーは、なんとかできそう?」


「わたしは過去に何度も試しましたが、全て黒い壁に阻まれ、どうにもなりませんでした。」


「そっか、じゃあわたしも色々やってみるね」


マキは光に関連した魔法がなにかないかと術式を思い浮かべる。


「ちょっと危険かもだから、結界張っとくね」


「マキちゃんの魔法どんなのだろ。」


「マキねぇちゃん、またすんごぃ魔法つかぅのかなぁ。」


6人は結界に包まれた。かなりやばそうな魔法を使うらしい。


四角い魔法陣が壁に張り付くように構築された。


そして魔法陣の壁ができた。


「こ、これはすごい。」


「準備完了!いくよー。」


そしてマキ以外の全員が見守る中、魔法陣から魔法が発動された。


真っ白な光だった。白熱灯のような白い光。暗闇を照らし黒い壁を吸い込むくらいまぶしく明るい光が魔法陣から発光される。


「壁が……、溶けてる?」


ミカが呆然としながら呟く。


「ひぇー、暗黒の壁がぁ、あっちにもどされてますぅ。」


白い光にたしかに押し戻されているようにも見える。


実際黒い壁が押し戻されていたのである。


「すごぃ、これなら闇の世界がもとの状態にぃ。」


「あっ。。。」


ユキが喜んだのもつかの間だった。


たしかに壁は後退したのだが、そこには地面がなくなっていた。


「なんてこと…。」


「これじゃあ、壁がなくなったとしても意味がない。」


「あの黒い壁は大地まで吸い込んでしるのですね。」


どうやら壁をどうにかしたところで、なくなってしまった大地は元に戻らないようだ。


「どういうことなんだろ、このまま黒い壁が闇の世界を吸い尽くしたら、魔界は浮島のような状態になってしまうってことなのかな?」


地底である闇の世界がなくなると結果的にそういうことになるのだが。


「いえ、ここは魔界の地底というわけではありません。魔界とつながる柱はありませんし、闇の世界も魔界も最初から浮いた状態です」


メアリーがそう話す。言われてみれば天井に闇穴が空いているだけで、柱というか、天井と地面を繋ぐものはなにもないのだ。


「ほんとだわ、これって一体。」


「どうやって浮いてるんだろう。」


「異世界同士が接近したとしか、考えようがありません。」


メアリーがそう話す。もうそれしか考えられないとみんな頷く。


だが、マキは納得がいかないのか、自らを結界で包み込み、魔法陣を結界の外側に張り巡らせ白い光を解き放ちながら、黒い壁に突っ込んでいってしまった。


「え?マキちゃん。。。」


「マ、マ、マキ様!!!!」


「マ…キ…姉様。。。。」


5人はもうどうすることもできず、どうしたらいいかも解らずただ無言で暗闇の壁を切り裂きながら進んでいくマキを目で追うことしかできなかった。


そしてマキは完全に暗闇に消えてしまった。


「マ、マキ、マキちゃん。。。」


消えてしまった事でミカの表情から血の気が引く。


「イヤァァァ!マキちゃん!マキちゃん!もどってきてー!」


ミカが半狂乱になり、暗闇に進もうとするミカ。


「ミカねぇちゃん!ダメ!」


「ミカさん!壁へ行ってはなりません!」


ユキとメアリーが必死で止めるが、ミカはその二人の制止を振り切り壁へ進む。


「マ、マキちゃんが、マキちゃんが。」


表情には血の気がなく、いつも冷静なミカではなくなっていた。


「ミカ様!だめです。それ以上進んではなりません」


「ミカ様、落ち着いて下さい!マキさんは帰ってきますから、待ちましょう」


カオスとディオも、取り乱すミカを止めに入り、なんとか落ち着きを取り戻した。


「そ、そうよね皆様ごめんなさい。」


カオスもディオもひとまずほっとした。


だがユキは落ち着いたミカをみて、今度は暗闇の壁を睨みつけるように見つめる。


しばらくするとマキが帰ってきた、どうやら無事だったらしい。


いつもの笑顔で平然と話す。


「この先全て暗闇で、天井はあるけど地面はないし、無限に続いてるような感じもしたよ。」


ミカの先ほどの事をしらないマキがさらりとそう言う。



『バチンッ』



静かな闇の世界に、響き渡る渇いた音。



ユキがいままで見せたことのない怒った表情でマキを叩いたのだ。


「えっ。」


マキは頬を手で押さえユキを見る。なにが起こったのか全く解らなかった。


「マキねえさん、いいかげんにして!どれだけみんな心配したと思ってんの!ミカさんなんか、あの壁にねえさん追いかけて飛び込もうとしてたんだよ!」


「ユキちゃん、あれは私が取り乱したせいなの、マキちゃんは、マキちゃんは悪くないから、怒らないで…。」


ミカは自分が取り乱したせいでユキが怒り出したと思ったので、マキをかばう。


「ミカさんの気持ちを知っててあんな行動取るなんてどうかしてるよ、こんなバカな姉なんかもういらない!勝手にすればいいのよ!」


ユキは我慢の限界だったらしい。ミサキからあれだけ注意されているのにも関わらず、マキの身勝手な行動は許せなかった。


マキは、いままで見たこともない表情と、言われたこともない言葉を浴びせられ、自分がしたことの愚かさに気が付く。


「ユキ。ミカちゃん、みんな。ごめんなさい。勝手なことばかりしてしまって。本当にごめんなさい。」


マキは顔を上げれず、ただひたすら下を向いたまま涙を流し謝っていた。



この様子を見たメアリーは、この3人の絆は本当にすごいと思った。


カオスとディオは、自分たちもこんな仲間同士になろうと、改めてこの3人を見習わないとと思った。


「ユキちゃん、マキちゃんも謝ってるから、ゆるしてあげて。」


「許すもなにも、マキ姉さんがいなくなったら、私は…私はどうやってあの時の恩を返せば…そう思ったら許せなくて…。」


今度はユキがミカに抱きつき泣きまくった。


ユキはミカと同等、いやそれ以上にマキが大事な存在なのである。

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