【006話】真欧学園編1
○真欧ミサキ
現在『真欧学園』に通う高校2年生17歳。赤い髪に赤い瞳を持つ美少女。身長155センチ。真欧財閥の一人娘。
○真欧学園
ミサキの両親が建てた学校。自分の会社の宣伝も兼ねて名前はミサキの本名でもある『真欧』から名付けた。お嬢様学校でもあり、優秀な生徒ばかりを選りすぐったエリート女子高でもある。優秀といっても勉学はもちろん、スポーツやその他能力に長けている者でも入学が可能。卒業後は『真欧大学』にそのまま進学し、将来真欧グループ企業で活躍している者がほとんどである。
この学園の高等部は1学年150名程で1クラス30名~40名で構成されている。
現在ミサキは2年A組 超エリートクラスだ。容姿もさることながら頭脳明晰、スポーツ万能、クラス委員長、時期生徒会長候補と全てを兼ね揃えた完璧女子高生である。下級生や同学年の生徒から絶大な人気を誇る。
現在は風紀委員長を務めている。
風紀委員長になったきっかけは、ミサキが1年生の頃の出来事が原因である。
○風紀委員長になるきっかけとなった出来事
A組の生徒達は特別に優秀であり、待遇もかなりいい。なのでそれを妬む者も少なくはない。B組~E組の生徒達はA組の生徒を目の敵にした。※このクラス分けは入試時の成績、面接などで振り分けられる。
入学時は特別の差がわからなかったが、何カ月も経過するとA組と他のクラスの差が明確になってきたのだ。
学校としては、その差を見せつけることによって向上心を持たせようとしたのだが、それが一部の新入生には逆効果であった。
A組の生徒は胸にAの形をしたワッペンを付けている。もちろんミサキもだ。
このワッペンが目印となり、A組の生徒が狙われた。
ある日の放課後、クラス委員の仕事が遅くまでかかってしまい、帰宅しようと廊下を歩いていた、そして階段手前にある女子トイレの前を通り過ぎようとしたときに、中から怒声が聞こえた。
「おいテメー頭いいからってすかしてんじゃねーよ」
「そうよそうよ!勉強以外取り柄もないくせに!」
「ほんと見下した目しやがってさー」
「お前らA組のヤツばっか贔屓されちゃってーほんとなにそれってかんじー」
「う…うぅ。ご、ごめんなさい。わ、わたしはそんなつもりは。」
こんなやりとりが聞こえてきた。そして
「お前なんてこーしてやるよ!」
『バキッ!ビリビリ!パチンッ!』
「やめてーおねがい…やめて、…うう…」
おそらく制服を破られ、蹴られ殴られされているのだろう。涙交じりの声が聞こえた。
ミサキはなんの戸惑いもなく女子トイレに駆け込んだ!
そこにはA組の女子生徒リサが服を破られ、水びたしで顔を腫らし泣きながら座り込んでいた。それを取り囲むように5人のA組以外の生徒がいた。
「あなたたち、なにをやっているの」
ミサキからいつも笑顔が消え、睨みつけるようにその5人に言い放った。
本来なら
『なんだ!お前もA組か、こいつと同じ目に遭わせてやる』とか
『でしゃばってんじゃねーよ!ブスは消えろ!』
と、こいった返答が返ってくるはずなのだが。
ミサキに睨みつけられた5人は顔面蒼白で何故か今すぐ殺されるかもしれない恐怖に陥った。この内2人は恐怖のあまり気を失いそうになっていた。
それを見たミサキは今度は笑顔でこう言った。
「みんな同じ学校なんだから仲良くしてね。」
その言葉を聞いた瞬間、5人の表情は明るくなり、さきほどまでいじめていたリサに近づきそしてかなり反省した表情になり、リサに謝罪しだした。
「ごめんなさい、わたしったらなんてひどいことを。」
「わたしもごめんなさい、誤って済む問題じゃないので、わたしにもあなたにしたような苦痛を与えてくだい」
「ほんとうにすいませんでした。殺されても文句いいません。あなたの気が済むまで殴ってください」
突然の豹変ぶりにリサは何が起こったのか全くわからずただただキョトンとしていた。
ミサキはリサをぎゅっと抱きしめ『もう大丈夫だよ安心してね。』と囁いた。
するとリサはさきほどまでの苦痛が嘘のように無くなり、顔の腫れも引き、破られた制服も元通りになり、5人に対する理不尽な仕打ちの恨みさえ消え去ってしまっていた。
不思議な事に制服が元通りになっていることや、リサの顔の腫れがひいていることに誰も気がつかない。
「リサちゃん、この子達も反省してるみただから、ネ」
「うん、もうなんとも思ってないよ。わたしもAクラスだからといって、少しいい気になっていたのかもしれないし…こちらこそごめんさい。」
リサも5人に対して謝り、そして5人と仲良くなりその日からリサはその5人と友達になり次のクラス編成には同じAクラスになる約束を交わし、共に勉強するようにまでなったのだった。
そんな出来事が他にもたくさんあり、全てにおいて、ミサキが解決し、今ではAクラスを妬む生徒はいなくなってしまっている。
そんなミサキの活躍を見た生徒会長がミサキを次期風紀委員長に指名したのであった。
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