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てんせい☆  作者: MAKI
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【005話】転生

○転生大全集

【魔力を消費すれば記載されているものにならなんでも転生可能。しかし魔力の消費は転生するものにより異なる。】


(【転生大全集】この本で転生したことには間違いないだろう。しかし魔王様は一体なにに転生されたのだろうか?)


考えてもしょうがないと思い、とりあえず【転生大全集】に目を通して行った。


(何か手掛かりは。魔王様のなりそうなもの。なんだろう…まったくわからないわ…)


ア) アリ アメ アメンボウ アメーバ アフリカゾウ…


イ) イヌ イワ イワシ イカ イノシシ イヌワシ…


普通の辞書のようにア行から記載されていた。ただ、辞書と違う点は、『アリ 消費魔力:極小』と記載されているところだ。転生したい名前の下には必要になる消費魔力が記載されていた。しかしこの魔力というのはやっかいで、数値化されていないので、どれくらいの魔力が小さいのか大きいのか全く解らない。


(どれよ、どれなの?魔王様は一体なにに転生されたの?)


ペラペラとページをめくっていくとある文字に★印がついていたのだ。


「あった!あったわ!これよ!この★印がついてる文字だわ!間違ないわ」


ミサは喜んだ。そして喜びのあまりまた泣いてしまった。


しかしそう甘くはなかった。


「これって。。。なにこれ。。。なんていいかげんな。。。」


ミサはその文字を見て愕然とした。そうその文字とは


オ)オクラ オダノブナガ ★オマカセ オケラ… 


★マークが付いている文字は『★オマカセ』であった。魔王らしいといえば魔王らしい、この世界の統治もミサにまかせて、魔王の座さえまかせてしまったくらいなのだから。


なにはともあれ手掛かりは見つかった!あとは実行するのみなのだが。ミサは転生方法が記載されているページに目を通した。


○転生方法

転生呪文と魔力消費で転生できます。転生呪文は『カイミトニ○○○○』で、○の中に転生先を唱えれば転生できます。魔力が不足している場合は転生できません。その場合消滅します。予めご了承くださいませ。


意外と簡単であった。しかし問題がひとつ『魔力が不足している場合は転生できません。そのかわり消滅します』だ。


「消滅するって…。」


しかもこの 『オマカセ』 はいいかげんな転生魔法のくせに 『オマカセ 消費魔力:膨大』 と記載されてある。


○魔力の大きさ

【この世界で魔力の大きさとは、己を高め集中し魔力を増長させる方法が一般的であるが、敵を倒し魔力を吸い取る方法もあり、そのほうがより魔力を大きくすることができる。】


ミサは困った…もともと魔王は計り知れないほどの魔力の持ち主。この転生の為に消費した魔力が魔王をもってしてもギリギリだったと仮定すれば自分など転生できるはずもないからだ。


しかしミサもこの数千年でかなりの魔力を得ている。この世界を統治するために各地に飛び回り逆らうものは容赦なく粛清していき魔力を大きくしていった。


もうミサの足元にも及ぶような魔族はこの世界では存在しないくらいに。だがそんなミサをしても魔王の足元にも及ばないと。そう考えると魔王は一体どれほどの魔族達から魔力を吸い取ってきたのだろう考えただけでも恐ろしいことである。


あの数十万の大軍さえ一瞬で消滅させるほどの力。


さらにその魔力をそのまま吸収している。やはり想像を絶する魔力の持ち主である。


だが、そう思っていたのはミサだけであった。


ミサはすでに魔王の魔力を遥かに超えていたのだった。


(考えている暇はないわ!もう手掛かりはこれしかないのよ!)


ミサは転生することを決心した。


「魔王様に会いたい。会ってずっとおそばにいたい。」


そう言ってミサは立ち上がり魔力を最大限に高めた。たとえ消滅しようとも、もう二度と会えないのであれば同じことならば一か八かでやるしかないと。


そして呪文を唱えた。


「『カイミトニオマカセ』!!!」


呪文を唱えると、ミサの体が白い光に包まれ、やがて消えていった。転生が成功しても、失敗しても結局は消滅してしまうのでどうなったかは謎であった。


その場に残された【転生大全集】。呪文の下には小さな文字で『※注意!転生後は転生前の記憶と能力が一切なくなってしまいます。』と書かれていた。


その後、ミサの後を追うように【転生大全集】は消滅した。

文字数:1810字

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