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てんせい☆  作者: MAKI
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【049話】謎の洞窟

*****空き地*****



マキとカオスとメイドの3人は、かつて魔王により滅ぼされた領土にきていた。到着するとすぐに目に付くところに、例のモノはあった。



『総司令官募集中:魔王ミサ』とかかれた看板である。


「お姉さん、めちゃくちゃだ。」

マキは少し違う意味で驚いていた。


「しかし、まさか本当に看板立ててあるとは。。。」


「マキさんここで何かなさいますのですか?」

カオスはマキが何かをする為にわざわざ何もない領土に来たと思っていた。


「ん?しないよ。看板が本当にあるのか見に来ただけだよ。」


「そ、そうでしたか。。」

(まさか本当にそれだけの為にここに来るとは。)


「じゃあさ、カオスさんおすすめの場所に連れてってよ。」


「それでしたらいい場所がございます。ではご案内いたしましょう。」

少し考えどこかを思い出したカオス。そして再び瞬間移動する。



*****謎の洞窟前*****



カオスが統治する領土内にたどり着いた。


「マキさん着きました。この大きな穴の開いた場所が『謎の洞窟』と呼ばれる魔界でも結構有名な洞窟でございます。」


「へえーそうなんだ。この洞窟のどこが謎なの?入って出てきたら昨日だったとか?」


「マキさんは面白い事をお考えになりますな、残念ながらそうではございません。実は一度入ると出られなくなるのです。」


「はい?こんなに大きな入り口なのに?」


「そうです、入ると解ります。」


(出られなくなる洞窟なのに入ればわかると言われても…。)


信じないわけでわないが、入ればわかるといわれれば入るしかないので、マキは洞窟に入った。


「さすがはマキさん。」

嬉しそうなカオス。マキに続いてカオスとメイドも洞窟へ入る。


中は真っ暗で何も見えない、マキは魔法で洞窟内を照らす。


「これは、すごい。」

あまりの明るさに驚くカオス。


「で、この洞窟のどこが…あっ。」

どこが謎?と言いかけたマキ、すでに入り口が無くなっていた。


「そうなのです、足を踏み入れるとこのように入り口もそして出口さえもなくなってしまうのです。」


「なるほど、たしかに謎ですね、どうやってでるかは自分で見つけ出せって事ですね。」


「はっはっは、そうですそうです。その方がマキさんも楽しめるでしょう。」

カオスは笑いながらそう言う。マキを楽しませる為にここを選んだようだ。


とにかく進んでみることにしたマキ。しかしいくら進んでも同じ景色だ。しかも無風なので、どうやら空気の流れもないように感じる。


「むむむむむ。困った!全然わかんないいい!」


カオスは困った顔をしているマキがとてもかわいらしく見える。


「マキさん降参なさいますか?まだ数時間しか経っておりませんが。」


「なにがあっても絶対に降参しません!」


カオスはわざと『数時間しか経っておりません』と言ったようだ。マキの性格上そう言えば絶対にあきらめないと返事がくると思ったからだった。


とりあえず進みながら考える事にしたマキ、するとなにやら気配を察知したカオスが突然叫びだした。


「誰だ!そこにいる者!出てこい!」

カオスは構える!マキも魔法の発動準備は随時できている。


カオスが言ったとおり、たしかに誰かの気配を感じる。冷たい気配、空気まで冷たくなってきている。どこかで同じ気配を感じたことのあったマキはふと我に返る。


「この感じ…もしかしてユキ?」


「その声、マキおねぇちゃん!?」


洞窟内の大きな岩陰に隠れていたのはユキとメイドであった。話を聞くといきなり洞窟内が明るくなりそこに3つの影が見え、慌ててユキに付いていたメイドに灯りが漏れないようにしてもらいちょうど近くにあった大きな岩の陰に隠れていたらしい。


ユキはユキで、メイドを守るため、いつでも凍らせる準備はできていたのだ。なのでその異様なまでの冷気をカオスが感じ取ったということだ。


「うわぁぁぁぁん!こわかったよぉぉ!」

マキに抱きつき泣きだすユキ。さきほどまでの異様な冷気の持ち主とは思えない程の変わり様にある意味驚くカオス。


「なんであんたがここにいるの?」

ユキはここいる経緯を話す。カオスはそれを聞き、もし自分がここにマキを連れて来なければ、永遠にユキ達はこの洞窟を彷徨うことになっていただろうと告げユキを益々怖がらせる。


「じゃあ、カオスさんはユキの命の恩人だね。」


「カオスさぁん!ありがとぅございますぅぅぅ!えーん」

ユキは泣きながら礼を言う。


「いえいえ、私はなにもしておりませんよユキ様、それより今、マキ様とこの洞窟の謎解きをしている最中でしたので、ユキ様も一緒に謎を解かれてはいかがかと。」


「うんうん、それは名案だ。ユキ、この洞窟は一度入ると出られないらしいんだけど、どうもおかしいんだ。だから一緒に出口を探そう。」


「マキおねえちゃん、ユキもう何時間も歩いたけど、出口なんてなさそうだょ。」


「うちもだよ、魔界の広さから考えると、何千年もかければ出口ってパターンもありそうだけど、この場合は違うようだし、入口もなくなってるしまってるから。」


「ええ?そうなの?それはわかんなかったぁ」


(いや、すぐわかるだろ、ってことはひたすら前進してたのかコイツは…)


立ち止り考えるマキ、その様子を見てニヤニヤするカオス。


笑みを浮かべるカオスを見て、なにか思いついたらしくマキが質問をする。


「ユキはたしか、瞬間移動ができないって言ってたので、ここでは魔力は使えないのですか?」


「はい魔力はつかえません。」


「なるほど、わかりました。ここは洞窟でもなんでもないただの大地ですね。」


「さすがマキさん、よくおわかりになられましたね。」


ユキにはさっぱりわけがわからなかった。


「どうゆうことなの?マキおねえちゃん。」


「うーん、説明するより実際に洞窟から出ればわかるかも」

そう言うと何故か、ユキをスライムに変えるマキ。


これにはカオスも意味がわからなかった。


マキはスライムを掴んで壁におもいっきり投げつけた。


(ちょっと。な、な、なにをするのこのバカ姉はぁぁぁぁ!壁にぶつかるううう)と思われたが、スライムにされたユキは壁を突き抜け外に出た。


そしてマキも壁に向かい歩き出し、その後ろを『バレたか』と言わんばかりの表情でついてくるカオス。2人のメイド達もその後ろを訳がわからないまま着いて行く。


そして4人は壁すり抜け、外にすんなりと出ることができた。


「やっぱりそうだったんだ。」


「この洞窟は洞窟に見えて実際はなんにもないのです。ただ平坦な大地に、魔力の塊のような物が形となり、洞窟のように見えるようになったというわけです。」


「だけど、入り口はあったよね?すぐ消えたけど。」


「あれは魔力を使いここまできたので、その為にできた穴のようなものです。ですから外からならこの洞窟の形をした魔力は簡単に壊せますが、中からだと魔力が取り込まれてしまい閉じ込められたと錯覚するわけです。」


「なるほど。自然にできた不思議な洞窟ってことだったんだ。」


「なので、我等もはじめて迷い込んだときには、いかなる魔力を使ってもビクともしない洞窟に絶望し、諦め、壁にもたれようとした際にそのまま外に出られてしまった、とゆうわけです。」


(まあ、よく聞けばまぬけな話だわ。最初に壁を調べれば出られただけのことだったんだ。)


「でもユキたちを見つけたとき永遠に出られないとか言ってたけどあれは?」


「あれは演出のためについた嘘です。そのほうが感動的な再開ができるかと思いまして。」


(カオスさんなかなかやるじゃん。なんか面白い人だなあ。)


「マキさん、そろそろユキ様を元に戻されたほうがよろしいかと。」


「あっ、わすれてた。」


スライムから元に戻されたユキは恐ろしい程の冷気を撒き散らし、マキに向かって文句を言う。


「マキおねーちゃんのばーか!しんじゃえぇぇぇ!」


そしてマキを一瞬で凍らせ、凍ったマキを抱え上げ、洞窟に向かって放り投げた。ユキはそのままメイドと共に瞬間移動し、どこかへ行ってしまった。


その様子を見ていたカオスは、ユキの能力もかなり恐ろしいものだと思った。


しばらくすると洞窟内からマキが戻ってきた。


「いきなり凍らせるなんて、わたしじゃなきゃ死んでたよ。ユキめおぼえてろ。」


マキはそう言っているが、そもそもユキが怒ったのはマキがスライムに変身させたことが原因なのである。


「そういえばマキさん、何故洞窟でユキ様をあのような姿に変身させ、そして投げたのでしょうか?」

カオスはあのときのマキの行動が理解できずに尋ねる。


「まあ、その、自信はあったけど、確信がなかったので、ユキで実験してみたの、あはっ。」


(恐ろしいお方だ、ユキ様のような方を実験のためにあのような姿に変えたとは。)

カオスは自分の魔力のおかげで、マキの変身魔法が効かなくてよかったと、思ったのであった。

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