【046話】魔王城
魔界の果てから乗り物を使わず、ミサキの瞬間移動で『魔王城』へと案内された3人。
「あの、ここはどこでしょうか?」
「ああ、ごめんね。ここはさっき説明した魔界の中心にある魔王城の城内のどこかの部屋よ。」
「どこかって。。。」
「うーん。この魔王城に関しては、広すぎて説明のしようがないから許して。」
「そ、そんなに広いんですか?それに乗り物ではなく瞬間移動でここにきたのもなにか理由があるのでしょうか?」
先ほどいた魔界の果てから、なぜか瞬間移動して魔王城まできたことに疑問を抱くマキ。
「あはは、マキちゃん。それはね乗り物だといくら速く飛んできても魔界の果てから魔王城までは1年くらいはかかるからなのよ。」
「え?あのロケット並みの速さの乗り物で1年ですか!」
「マキせんぱぃ、ここわぁ魔界なんだよぉ。あたりまぇだよぉ」
「マキちゃんたら魔界なんだから、あたりまだよー。」
(ユキとミカちゃん、壊れてしまってる。。。)
「まあ、そういうわけだから、とりあえずここで待ってて。」
ミサキはそう告げると三人をとんでもない広さの部屋に残し、瞬間移動でどこかに行ってしまった。
「あれ?いつのまにかソファーがあるし。とりあえず座ろうか。」
「うんうん、すっごぉい。このソファーふっかふかだょ。」
「あっ、ほんとだあ。すごいね。」
もうユキとミカは耐性がついたのか思考を停止したのかは不明だが、多少の事では驚かなかった。
(ある意味この二人は適応能力が半端じゃないのかも。)
そんなことをマキが思っていると、突然誰かが瞬間移動で現れた。
「魔王様からお客様方のご案内を承りました。魔王城の副指令官でございます。」
「マキです。よろしくお願いします。」
「天界のミカと申します。よろしくお願い致します。」
「ユキですぅ。よろしくおねがぃしますぅ。」
副指令官と聞いて、かなり高い地位とわかっていたので三人は立ち上がりそれぞれ自己紹介をする。
「マキ様、ミカ様、ユキ様のことは魔王閣下からお伺いしてございます。別室にお着替えが準備してございますのでどうぞこちらへ。」
(着替え?はて。どういうことだろう。魔王城内専用の服でもあるのかな。)
別室へと案内された部屋にはメイド服を着た魔族が数名いた。副司令官の姿が見えると皆跪く。
「これより魔王閣下のお客様方の着付けをお手伝いせよ。」
「はっ!」
跪くメイドに指示を出し、部屋に掛けられた恐ろしい程の数の衣装の中から好きな衣装を選んでくださいと告げられる。
「すごい数だわ。このとんでもなく広い部屋にこれだけの衣装って。」
「だよね。選ぶにしても、どれを着ればいいのか。」
「ユキわぁメイドさんにぃ選んでもらぃますぅ。」
自分では迷いも生じる為、メイドさんに選んでもらえるなら、そうしてもらおうと三人はそれぞれ別々のメイドさんに衣装を選んでももらい、着替えを手伝ってもらう。
衣装を着る目的は、魔王閣下のお客様を、魔界で魔王の次に地位の高い7名しかいない総司令官にお披露目する為だと聞かされた。
なのでそれぞれが異世界での姿に戻り、衣装を着替えることとなった。
天使ミカ 160センチ ゴールドのドレス
背中からは大きな羽が、ドレスとピッタリで思わず見蕩れてしまうほどだ。
女王ユウキ 165センチ 透き通るような鮮やかな水色のドレス
肩が露出しているが、透き通るような肌なので、こちらも見蕩れてしまう。
魔女マキ 145センチ お人形さんのような緑をベースにしたドレス
森の妖精といっても過言ではないくらいかわいらしい。
ミカとユキの衣装選びを担当したメイドはあまりの美しさに、言葉が出ず、魅入ってしまっていた。
「ミカちゃん、ユウキ。めちゃくちゃキレイ。」
(ううう、二人とも背があんなにも高いし。)
「マキちゃんもかわいいわ。ユウキさんは人間の姿のユキちゃんとは別人になっちゃうわね。」
「マキさんは本当にかわいらしいですね。ミカさんの美しさはまぶしすぎます。」
「いいなぁ。二人共背が高くて。」
そんな会話をしていると再び副司令官が現れた。ミカとユウキのあまりにもの美しさに驚いた様子だった。
「お着替えになられましたようですので、魔王閣下、総司令官がおります謁見の間へご案内致します。」
そう告げると、三人を連れ瞬間移動した。
移動した場所は、謁見の間がある扉の前だった。
扉を開けた副司令官は、中に入ると跪き報告する。
「お着替えを済ませ、ご案内致しました。」
「うむ、ではこちらへ来るように伝えよ。」
「はっ。」
扉から出てきた副指令官は、中に入るように促し、自らは扉の向こう側で待機していた。どうやら副指令官は入室できないらしい。
扉の向こうには立派な椅子が7つ置かれ、それぞれの椅子に軍服のような服装で座っている後姿が見える。
魔王であるミサは、こちらからも姿がよく見える壇上の立派な椅子に腰掛けていた。
三人は並べられた椅子の間を通り抜け、壇上にいる魔王の正面まできた。
「こちらまで上がってくるがよい。」
壇上の端の方に階段があったため、三人はそこから壇上に上り、ミサの両サイドに並べられた椅子に座った。
魔王ミサ、天使ミカ、女王ユキは誰がどう見ても美しく、さらに身に宿している能力は計り知れないのが雰囲気からしても解る。マキはただかわいいお人形さんのように足がとどかない椅子に座っているだけにしか見えなかった。
壇上の下には総司令官が勢ぞろいし椅子に座っていた。総司令官は3名が女性で残る4名は男性の魔族だった。
魔王が立ち上がると同時に、総司令官全員が即座に跪いた。
(この人たちが総司令官なんだ。なんだか怖そうだ。)
マキは魔王の次に地位の高い総司令官にビビってしまっていた。
「お前達に紹介する。この三名はこの魔界では私の妹、天界の天使ミカ、氷の女王ユウキ、魔女のマキである。」
『天界』と聞いて騒がれると思ったが、誰も騒がない。
「見ても解るであろう、我が魔界最高位である総司令官のお前達よりも我が妹達が強いことを!」
(ユキやミカちゃんならともかく私は論外ですよ。ねえさん。)
「見てもわからぬ者は、今すぐ勝負を挑んでみるがよい。」
(なんて、なんてとんでもないことをいうんだ。真っ先に狙われ消し去られるのはわたしじゃないか!)マキは挑まれたらどうしようと焦る。
7人の総司令官達は発言力があるらしく発言も自由であった。
「魔王閣下!とてもではございますが、我等7人で挑んでも勝利できません。」
「私達も同意見でございます!」
(そんなはずないだろ!)と突っ込みたくなったマキである。
「ほう、お主等も少しは見る目ができたようだのう。」
そして7人の総司令官達は、3人に対して忠誠を誓った。
どうやら真の目的はこれが狙いだったようだ。
「これにて、我が妹達の顔見せを終了する。」
と、あっさり終了してしまった。魔王はめんどくさがりなので、用事はさっさと済ませるのだ。終了と同時に総司令官はそれぞれの任務に戻ることを告げて瞬間移動していった。
そして謁見の間には魔王と三人だけが残され、それぞれが姿を女子高生の姿に変えた。
「ごめんね、堅苦しくなっちゃって、一応最高位のあの七人には紹介しとかないといけないって思って。」
「いえいえ、とんでもございません。お気遣いありがとうございます。」
「なんかぁこわそぅな人ばっかりだったよぉ。」
「私なんか勝負挑まれたらどうしようって真剣に考えちゃったよ。」
「あははは、ほんと面白いわね。あいつらから見ればユキのことがよほど怖かったと感じてるわよ。マキにしても余裕で勝てると思うわよ。」
ミサキはそれぞれの能力を把握している為、仮に勝負を挑まれたところでこの3人に勝てるような魔族は一人も存在しないことが解っていた。だからあのような発言をしたのだった。
「ユキやミカちゃんならともかく、私なんて一瞬で消されちゃいますよ。」
「雷竜をたおしちゃったマキせんぱぃですから、だいじょうぶですょ。」
「そうよ、ユキちゃんのいうとおりよ。総司令官だって全員で討伐にいっても倒せる竜じゃないのよ。」
「マキちゃんて普段こんなにかわいらしいのに。魔法はえぐいもんね。」
「そんなことないもん。もう、みんなひどい。」
会話ははずんだが、あまりにもの緊張ですっかり疲れきった3人。とりあえずくつろげる部屋へと移動した。
3人は魔族と違い眠らないといけないのだが、用意されたベットには数分間横になるだけで、12時間の睡眠と治癒の効果があるらしく、元気を取り戻した。
「じゃあこれからこの魔王城を案内するわね。私はちょっと用事があるから総司令官に案内させるわ。」
どうやって呼び出されたのかはわからないが、総司令官の一人が部屋に現れたのだ。
「魔王軍総司令官カオスでございます。これより魔王閣下の命により魔王城のご案内をさせていただきます。」
カオスと名乗る総司令官は、跪いてそう告げる。
「じゃあ、カオス後はよろしくね。」
「はっ、おまかせくださいませ。」
そう言ってミサキはどこかへ行ってしまった。
(魔王閣下だもんな、忙しいよね。なのに案内なんて役をさせてしまってたなんて。)将軍、副指令官、総司令官と順番に見てきたマキは、この広大な魔界の頂点に立つ魔王にとんでもないことをさせてしまったのではないかと思っていた。
「あ、あのカオス様、ご案内などお願いさせてしまい申し訳ございません。」
どうやらミカも同じ考えだったようで、魔王に次ぐ地位にある総司令官に魔界観光ツアーの案内をさせられてしまっていることを申し訳なく感じる。
「いえいえ、わたくし自らご案内しますと申し出たのでございます。どうかそのようなお気遣いは。」
(んなわけあるかい!)と突っ込みたくなったマキ。
「そのように言っていただけて光栄です。お気遣い感謝いたします。」
(さすがミカちゃん、こういった対応はミカちゃんに限るな。ユキなら『よろしくぅ』とか言ってしまってそうだし。)
「ではさっそく参りましょうか。」
『魔王城』を徒歩で案内すると約数千年かかるらしい。
途中で死んでしまう恐れがあるので、今後何度も訪れることになる魔界なので、要所要所だけを瞬間移動しながら案内してもらうこととなった。
「では、最上部へご案内致します。」
そう告げると瞬く間に広大な城で最も高い場所に案内される。
窓から見える景色はとんでもなかった。これだけの高さから見下ろしても魔王城の屋根しか見えないのである。
(どれだけ高いんだこの場所。それにこの城の大きさって滅茶苦茶だ。)
「現在最下部よりの高さは10キロメートルくらいあります。今も尚、高さを積み上げております。」
「10キロですか。。。なのにこの場所広いですね。。」
「人間界で例えると丸いビルが上に10キロ伸びているような感じだね。」
「驚いていただけたようですね。はっはっはっは。窓から見える景色ですが、おそらくどの窓からも城の屋根の部分しか見えない思います。」
(おおーカオスさんが笑った!まさに混沌!)
「これって全部屋根だったんだぁ。すごすぎますぅ。」
見える景色が同じな為、次の場所へ移動すると告げるカオス。
「では次の場所は。あっそれは着いてからのお楽しみにしましょう。」
(なんか好感がもてるなあカオスさん、ほんといい!)
そして次の場所にたどり着いた。
「こ、ここは?城壁のようにも見えますが。」
「そうです。ここは魔王城を取り囲む外壁にございます。」
カオスが案内した場所は『魔王城』を取り囲む外壁の上だった。
外壁の高さは数百メートルあり、そこから見える城外の景色がすごかった。
外壁からは見渡す限り都市で構成され、建物から見える街明かりが絶景なのだ。
「キレイ。。」
ミカはすっかり見蕩れてしまった。
「すごいですぅ、ぜっけぃぜっけぃ」
ユキははしゃいでいた。
「この場所は、あまり知られてないですよ、たまにここに来てこの景色を眺めてます。」
「カオス様、ってロマンチストですね」
ミカがそう言う。
「いえいえ、なにか落ち着くといいますか、魔族が平和に暮らせてると感じるじゃないですか?だからでしょうね。」
(カオス様の口から平和とかいわれると…)
「これが魔王閣下の目指していた魔界なのです。かなりの時を重ね、幾戦もの闘いの結果です。」
「あのう、カオス様、差し支えありませんのでしたら、少しお話を聞かせていただきたいのですが。」
「全然構いませんよ、では場所を変えお話ししましょう。」
そしてまた瞬間移動した。
文字数:3256字




