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てんせい☆  作者: MAKI
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【039話】魔界見学

*****秘密基地内会議室*****



出発準備も整い、一週間かけて魔界の見学へ行くこととなり、それぞれが家に連絡し、合宿という名目で外泊許可をもらった。


ただ一つ問題があった。ユキのいる氷の世界と、今4人がいる人間の世界での時間の流れは同じであるが、魔界や天界では少し違うかもしれないということだ。


ユキのいた氷の世界の属性は天でも魔でもなく、無の属性である為、向こうで1日過ごせばこちらも1日が経過する。


しかし魔の属性の場合、魔界での1日はこちらの世界では少なくとも数カ月~数十年、もしくはそれ以上の時が流れる可能性があるということだ。実際に行ったことはないので、あくまで憶測である。


そうなると、魔界へ行って1泊してもどってきたら、人間界では数千年が経過していて、この人間界が滅んでいる可能性もあるかもしれない。それは天界へ行ったとしても同じかもしれない。


このことはあくまで憶測ではあるが、4人はなにか方法がないかと考え、マキはユキの世界の事を思い出した。


「ユキがこの世界の時間を凍らせちゃえばいいんだ!」


「そうね、たしかユキちゃんは時間まで凍らせることができるんだよね。」


「はぃ、いょいょわたしのでばんですかぁ。」


ミサキも賛成し、ユキも乗り気だった。


「マキちゃんそれはちょっと。。」

ミカは賛成できなかった、守護する立場としては確実でない方法だからだ。


「ミカちゃん、大丈夫だよ。実際ユキちゃんのいた氷の世界も無事だったんだし。」

ミサキもマキと同意見でそれしか手段はないし、人類を凍らすわけでもなく、時間だけを凍らせるので問題はないと説明しミカも了承した。


「お姉様がそうおっしゃられるならそれに従うまでです。」


「ミカちゃんだいじょうぶ、人類が滅んでしまったら、ミカちゃんまで消えちゃうし、それは絶対こまるからネ」


「うんうん、ミカせんぱぃが消えたら嫌ですぅ。」


「マキちゃん、ユキちゃん。ありがとー。」


2人にいなくなったら困ると言われ、ミカは上機嫌になり先ほどの事など忘れてしまっているようだった。


「じゃあユキ外いって凍らせてきて!」


「はぁい、いってきますぅ」


そして5分後、3人の時計が一斉に止まり、ユキが戻ってきた。


これで安心してゆっくり魔界見学ができるようになった。


「あとは各自、姿は元に戻さず、そのまま行きましょう。元に戻すとマキがかわいそうだし、それにこの姿でも能力はそのまま発揮できるのだし。」


これにはマキも喜んだ。元の姿に戻るとマキ以外みんな背が高くなるからだ。


「じゃあ行きましょうか、マキちゃんお願いね。」


「はい。では出発しまーす!えいっ」



四人は人間界から消えた。




*****魔界*****



4人が到着したのは、果てしなく広がる平坦な大地だった。


見渡す限り見事になにもない。空に広がる雲は赤くその先は暗闇に包まれている。見るからに魔界と呼べる雰囲気だった。


平坦な大地の中に、ポツンと四人がいるだけだったので、とりあえず空に目がいった。


「みてみてユキちゃん、雲が真っ赤だよ。」


「ほんとだぁ、でもくものむこぅは、真っ暗ですぅ。」


「で、ここが魔界なのでしょうか?」


「だれもいませんねぇ、みんな地下にぃるのかなぁ。」


「あちゃー、ここにでちゃったのね。」

ミサキがしまったといわんばかりの顔でそう言った。


「記憶で一番印象深いところが目的地になっちゃいますからね。」


「お姉様、見渡す限りなにもありませんが、なぜこのような場所が印象に残ってたのでしょうか?」


「ここはね、かつてお慕いしていた魔王様がこの大地を埋め尽くすほどの魔族を消し去った場所なの。」


「こ、この大地って、相当な範囲ですけど。」


「そうね、数百万の魔族を集めたから、かなりの広さがあるかもね。」

それを聞いた3人はまさしく凍りついた。


「まあ、かなり昔の話だし、今じゃその魔族もいないし、気にしないでいいからネ。」

笑顔で話すミサキ、魔界なので魔力を使えば瞬間移動ができるらしく、4人は一か所に固まった。


○瞬間移動

魔力を使用し魔界内なら瞬時に移動が可能である。だが魔族個人の魔力に応じ移動できる範囲は限られてくる。移動する人数が倍になると魔力も倍必要になる。


魔王であるミサキの場合、魔族の魔力とは規格外の魔力を持ち合わせているため、複数でも魔界全土を瞬時に移動することが可能である。



*****魔界第4都市*****



とりあえずミサキは先ほどの場所から一番近かった都市へと瞬間移動してきた。


「ついたわよ、ここなら今の魔界の状況がわかるはずよ。」


3人は驚いた、空の色以外は、先程いた人間の世界と代わり映えのない魔界に。


ここは魔界の第4都市らしい。都市のあちこちに『第4都市』と表示されていた。


魔物からの襲撃を受けないように、都市は高い壁に覆われている。都市の中にはその壁以上の建物がたくさん立ち並んでいる。


「すごいです!ここが魔界なんですね。まるで人間界の大都会のような光景です。」


「人というか魔族の皆さまもたくさんいらっしゃいますね、見た目は私達と変わりないのですね。」


「そうよ、私の元の姿見てるからわかるでしょう。」


「そういえばそうでした。」


「この都市には一体どれくらいの魔族の方々が住んでいらっしゃるのですか?」


「そうね、1億人くらいはいるんじゃない?わかんないけど。」


(1億人て、いやそんなことよりあなた魔王でしょ、把握してないんですか。)と突っ込みたくなったマキだったが怖くて言えなかった。


4人は都市内をウロウロしている、おかしな服装に魔族はチラホラ見てくるが、あまり気にもされていないようだ。


(ああ、そっか今は魔王の姿じゃないから誰も気がつかないんだ)そう思ったマキであった。


さらにミサキは、魔力を完全に抑え込んでいる為、今のミサキの姿を見ても誰も魔王だとは気がつかない。


ところどころに目つきの鋭い衛兵のような魔族が立っている。きっと治安を維持するための警官みたいなものだろう。


ミサキは視線を気にも留めず前に進みながら、ここはこういう所で、あっちには何があってとか、ニコニコしながら嬉しそうに案内をしている。


だが、どこの世界にも変な奴らはいる。どうみても悪者にしか見えない悪者が数人立ちふさがった。


「おいおい、ちょっとあそんでいかねーか?」


(うわぁお決まりのセリフだし、キモっ)マキはおもわず吹き出しそうになった。


4人はもちろん無視して先を急ごうとする、すると悪者っぽい奴らの一人がミカの手を掴んだ。


それを見たミサキは、顔色一つ変えずに悪者数人を一瞬で消し去ってしまった。しかも魔力はほとんど使った形跡はない。


「はい?なにが起こったのでしょうか?」

一緒の出来事に戸惑うマキ、思わず聞いてしまった。


「うん?なにかな?なにもなかったわよ、さあいきましょう」

ミサキは笑顔でそう告げる。


「はい、姉さん何事も無かったです。」

ミサキが何事もない。と言っているので、これ以上聞くわけにもいかず返事をするマキ。


(あんな悪そうな魔族を一瞬で消しちゃってるのに。。。まあこの先何事もなければ問題ないか。)と思っていたら、やはりそうはいかなかった。


先程のやりとりを見ていた衛兵らしき者が、あやしい4人組がいると、都市の兵隊に報告し、あっとゆうまに取り囲まれてしまった。


「そこの者たち!止まるんだ!」


「先程の魔力、何者だ貴様!それにそこの3人は魔界の者ではないな!どこから来た!」


ミサキはどこか遠くを見ている。視線の先には都市名が表示されている看板があり、その下には責任者の名前が書いてあった。


【魔界第4都市 隊長ローズ】と。


「ここ第4都市は、たしか…ローズが取り仕切っているはずだったな、わたしは知り合いだからあやし者ではない。」

看板をそのまま読んで話すミサキ。


(ミサキ姉さん、あの看板見て言ったのかな。だとしたらめちゃくちゃだ。)マキの想像通り、ミサキはローズになど会った事もない。


「貴様、ローズ様を呼び捨てにするとは、とにかくそこから動くでない!」


(ほらあ、やっぱり逆効果だったみたいだ。)マキは生きた心地がしなかった。


兵隊たちは先程の一瞬で消し去る魔力を持っているミサキがどれほどの魔力を他に持っているのか分からない為、とりあえず知り合いかどうかを確認すると伝え、この都市の第4魔王新鋭隊隊長ローズの元へ瞬間移動で飛んでいった。


報告を受けたローズは『そのような背の低い魔族に我を呼び捨てにされるような覚えはない!』と怒り、自らが始末すると言って、ミサキ達の前に瞬間移動し突然現れた。


「お主らか、我が名を呼び捨てにした愚か者どもは!」

どうみても、ブチキレて飛んできたようにしか見えなかった。


(うわ、怒ってるよ。完全にキレてる。)

さすがにマキもミカもユキもその形相に恐怖していた。


だが、ミサキは姿をあえて元に戻さず、そのまま女子高生の姿で、ほんの少し魔力を引き出した。すると、その魔力の大きさや、波動に身に覚えがあったローズは何かを思い出したかのような表情になる。


「あ、あなたは、ま、ま、ま魔王ミサ様ではご、ございませんか?」

ローズと名乗る怖いお姉ちゃんは、頭を地面にこすりつけ、ガクガク震えだした…。


そのままの姿勢で今度は

「も、もうわけございません、ま、まさか魔王様がこのような僻地へお越しくださるとは、気づかぬ私を含め、兵士、兵隊がとりました失礼な無礼の数々、わたくしが全て責任を取り、どのような処罰もうける覚悟でございます。」

恐怖で震え、まるで死を覚悟したかのような話し方だった。気がつくと他の全ての魔族はいつのまにか両膝をつき頭を地面につけていた。この周りにいるだけで数千人はいる。


(ええええ!?なにこの変わり様。)今度は違う意味で驚くマキ。


「頭を上げろ、この者達は任務を遂行したまでであろう、それはかまわん。ローズよ、もう少し冷静な判断力を身につけよ!」


「ははー!我ら第四魔王新鋭隊これまで以上に精進いたします!」


「うむ、では我らは魔界を我が友に案内せねばならぬので先を急ぐ、この領土の責任者共と魔界の全領土に伝達しておけ、それと私が用がある以外は決して姿を見せぬようにとな。!」


「はっ!わかりました!」

必要最低限の返事をし、目の前から一瞬でいなくなった先程のローズという魔族に周りにいた兵士も兵隊もいなくなっていた。


「さあ、次にいきましょっか。」

ミサキは先程と同じく、何事もなかったかの様に3人に言った。


しかし、ユキは気絶し、ミカもマキもその場でへたりこんでしまっていた。

文字数:3181字

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