【037話】真欧祭2
*****真欧祭2日目*****
真欧祭2日目も初日同様長蛇の列ができあがり、開演を待つ人で溢れかえっていた。
今日はミサキとマキの現生徒会会長と次期生徒会会長の2人が一緒に校内を見て回る番だ。
2人は1年生の教室から見て回ることにしていた。
ユキがいるA組へと向かうのだが、2人揃うととんでもない騒ぎとなってしまう。2人が廊下を歩くと1年生の目はハートになり、見蕩れて立ち止りキャーキャーいっている。
騒がれるのが慣れてしまった2人は他の生徒は気にもせずにユキのクラスへ向かう。
ユキのクラスの催しものは、そう、お化け屋敷でありそこに現れた学園No1のミサキと、もはやNo2のマキが来たことで昨日のミカ同様、驚かすはずの生徒が驚かされていた。
「お化け屋敷なのに、お化けが驚いてますね。」
「あはは、そうね、でも雰囲気でてるわね。」
薄暗い古びた民家のように教室を改造し、今にもなにかでてきそうな怖い雰囲気にミサキは感心していた。だが先程同様、脅かす為に出てくるお化けが驚いているので、もはや怖いというより面白いにかわっていた。
だが、2人が近付いてくるのを今か今かと待ち望む一人のお化けがいた。
そうユキである。
ユキは雪女役でマキ達が来るのを待っていた。
相変わらず聞こえてくるのは脅かす方のお化け役の悲鳴。
(なんで脅かすほうが脅かされてるんだろう。)
ユキは隠れている間そう思っていた。
そしてミサキとマキが、いよいよ雪女に化けたユキがいる部屋に辿り着く。
さっきまでとは違い、背筋がぞくっとするほどの寒さに襲われる2人。
「ミ、ミサキ姉さん、この部屋さっきまでと雰囲気ちがいませんか?」
「そうね、これこそお化け屋敷って感じよね。」
ミサキはやっとお化け屋敷らしくなったと思っていたが、マキは違ったらしい。
部屋を進むと、突然薄暗かった灯りが消え真っ暗になった。
「キャアアアアア!」
灯りが消えただけだが、マキが叫ぶ。
だがすぐに薄暗い灯りが点いた。
「あはは、マキちゃん大丈夫よ。」
灯りがついた事に安堵した、マキであったが、明らかになにか違和感を覚える。
真後ろに何か気配を感じるのだ。
「ミ、ミ、ミ、ミサキねえさん、う、う、うしろにひ、ひ、ひとが。」
「え?。」
ミサキが振り向くと雪女に扮したユキが、どう見てもお化けにしか見えない姿で立っていた。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
さすがのミサキでさえ驚いて部屋から逃げ出そうと走って逃げた。マキは怖くて振り返ることができず、すぐさまミサキの後を追って行こうとした。
(え?なにこれ…うごけない。体が…うごかないよぅ。)
ミサキはすでに部屋を脱出したが、マキはその場から動けず、恐怖のあまり声も出せず、立ち尽くしたままだった。
実は、これはユキの能力により、マキの足元を凍らせ逃げられなくしたのである。普段のマキならすぐに気がつくのだが、今は恐怖によりそれどころではなかったのだ。
後ろには人の気配、その気配はだんだんとマキの方に近づいてくるのがわかる。マキの恐怖は最高潮に達した。
『どこへ…い…く…ん…だ。』
冷たく言い放たれたその声に、遂にマキは気を失ってしまったのだ。
「あちゃぁー、やりすぎちゃいましたかぁ。」
「あらら、気絶しちゃったわ。」
頃合いを見計らって戻ってきたミサキ。気絶したマキを背中にしょいこむ。
「ミサキ姉様、すぃません。まかさきぜつしちゃぅなんてぇ。」
「あはは、いいのよ。それだけユキちゃんの演技がすごいってことだから。じゃあこの調子でこの後も頑張ってね。」
「はぁいです。」
ミサキは気絶したマキを背中に背負って廊下に出た。
廊下に出るとすぐ気がついたマキ。
「めちゃくちゃ怖かったです、えーん。」
そう言ってミサキに泣きついていた。
それを廊下で見ていた生徒達が、あのマキ先輩が怖がるほどすごいお化け屋敷らしいと噂が広まり、その後お化け屋敷は長蛇の列ができることとなった。
そして気を取り直して2人は他のクラスを順番に回る。もはや1年生のクラスはミサキとマキの訪問でえらい騒ぎになっていた。
1年生の他のクラスの催しものは、飲食系が多かった為。マキは視線を全く気にせず、とにかく食べまくっていた。
そして2年生の校舎へ移動、今日はミカの番であるコスプレカフェである。昨日以上の長蛇の列、その理由は全員ミカであった。
コスプレカフェのはずが、エンジェルカフェになっていた。
今日のA組のコスプレ姿は全員天使なのである。そして一際目立つ天使がミカであった。見るだけで癒されるのだが、もっと間近で見たいという人達で学園史上初の長蛇の列になったらしい。
「うわ、やばいですよミサキ会長、本物が混じってます。」
「だよね、あれは反則よね。」
「この列ヤバくないですか?最後尾2時間待ちとか書いてます。」
「店内に入るのは無理そうね、仕方ないわね、他をまわりましょう」
ミサキとマキはA組には入れそうにもないので、2年生の他のクラスを回った。
2人はその後、演劇を見たり、音楽を聴きに行ったり、さらにはあまり流行っていないクラスへ行って、お客さんを誘導したりとおおいに真欧祭を盛り上げたのだった。
そして2日目も終盤を迎え、いよいよこの『真欧祭』最大のイベントが始まろうとしていた。
グラウンドには照明とステージが設置され、大勢の観客が集まる。
いよいよクライマックスである『ミス真欧決定戦』の始まりであった。
真欧祭開催前に、生徒による投票が行われ、10名が代表に選ばれ真欧祭当日に今年の『ミス真欧』が決定するのである。ちなみにこの2年間は真欧ミサキが獲得している。準優勝はミカであった。
『本日は真欧祭にようこそお越しくださいました。いよいよこの真欧祭のメインイベントでありますミス真欧決定戦がグラウンドで開催されます。』
ミス真欧の開催が告知される。全ての催しはここで終了となり、生徒や来場者は全員グラウンドに集合となる。
○真欧祭
審査方法は予め推薦された10人が出場となり、最終3人に絞られ、審査員による1,2,3と番号が書かれたプラカードの数によって決まる。
審査員はステージ最前列に設けられた席に20人ほどが座っている。公平に審査する為、いろんな世代の人が集められている。
だが審査基準は観客の歓声となってしまう為、その差に応じて順位は決まってしまう。審査員の役割は歓声や拍手の多さが同等の場合のみに審査してもらうというわけである。
それぞれが好きな衣装を着て、どれだけ似合うかを競うような形式になるので、コスプレ大会のようなもんだ。
そして真欧祭最終イベント『ミス真欧決定戦』が執り行われた。
1年生からはただ一人支持を得た氷神ユキが出場していた。
ユキは学年が一番下なのをうまく利用し、いつものツインテールに大きなリボンを付け、ミニスカート姿で壇上に立つ。
だが、マイクを渡され話すように促されると、見た目と違い冷静に話してしまった為、最終3名の中には入れなかった。
「ふぇーん、。だめでしたぁ。」
「あらら、いつもの話し方なら残ってたかもしれないのに。」
「ユキは私ら以外と会話するときは冷めてるんですよ。」
「でもそのおかげで、私も残る事が出来ました。ユキちゃんには来年頑張ってもらいましょ。」
「ミサキ姉様、ミカせんぱぃがんばってくださいねぇ。」
「なんで私は含まれてないんだよ。」
「あはは、じゃあマキせんぱぃもがんばってぇ」
「じゃあって。。。」
結局、最終戦に残った3名は、真欧ミサキ、天地ミカ、城間マキのBIG3であった。
そして3人は最後の衣装で登場する。
登場した瞬間の拍手や歓声と、さらに自己紹介をした後の歓声や拍手で審査される。
最初に登場したミカはやはり一番似合う天使の衣装でさらに羽根までつけていた。どう見て天使にしか見えない。
「2年の天地ミカです。今日はたくさんの方がご来場くださいましてありがとうございます。」
グランドは凄まじい歓声に包まれた。この時点で優勝だと言ってもいいくらいに。
続いて登場したマキはとんがり帽子を被った魔法少女、杖まで手に持ちとてもかわいらしい。
「同じく2年の城間マキです。この2日間本当に楽しかったです。」
ミカと同様に、凄まじい歓声だった。マキ自身ビックリするくらいだった。
そしてミサキの登場である。
ミサキはなんと、メガネをかけスーツ姿で登場した。どこかのビデオに出てきそうな女教師のようにも見える。
出てきた瞬間、グランドが揺れそうなくらいの悲鳴にも似た歓声と拍手で、この時点で優勝は決まってしまった。
そしてミサキが手にマイクを持った瞬間、会場は静かになる。
「3年、真欧ミサキです。生徒会会長として本日これだけの皆様がご来場してくださった事を感謝し、御礼申し上げます。本当にありがとうございます。」
ミサキが話し終わり、深々と頭を下げると、入場してきた以上の歓声と偉大な生徒会長としての最後の姿を見れた喜びの声でグランドは包まれた。
こうして真欧祭最大のイベントであるミス真欧は3年連続真欧ミサキが受賞し、ミカとマキは歓声が同じだった為、審査員による決選が行われ、マキが11対9で勝利し準優勝となった。
イベント終了後、生徒会会長の引き継ぎが行われ、ミサキ会長から会長バッジを受け取ったマキが、真欧祭の最後のあいさつを行い、真欧祭は幕を閉じた。
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