【031話】氷の世界2
さっそく出発しようとしていると、ミサキとミカが心配そうな表情で、2人を見つめる。
ミカはマキに抱きつき、『絶対に帰ってきてね』と囁き、体全体が金色に光り輝く。しばらくすると光は消え、ミカはマキから離れた。
「じゃあ、行ってきますね。」
まるでどこか買い物にでも出掛けるかのように告げるマキ。
「マキ、ユキのことたのんだわよ。」
「マキちゃん、ユキちゃん、帰ってくるまで、ずっと待ってるからね」
ミサキとミカは2人にそう言った。
「ミカせんぱぁい、ミサキ姉様いってきますぅ。」
ユキは元の姿に戻り、準備は整った。
新魔法の為、魔方陣が構築された。二人を魔方陣から魔法が発動され2人を包み込み、二人は消えた。
*****氷の世界*****
○氷の世界
ユウキが女王として生活していた異世界。気温は絶対零度に近くとても寒い。建物は氷でできている。
二人は無事に氷の世界へ転移できた。と、思われたのだが、マキは着いた途端凍ってしまった。ユウキは慌てまくった。
凍ってしまったマキを見て、驚くユウキ。
「マ、マキさん!何故?なんで凍ってるのですか!ど、ど、どうしたら…」
焦りまくるユウキ。よく考えてみれば当然である。ユウキは元々この世界の住人であり、寒さには耐性もあるのだが、マキにしてみれば、いきなり瞬間冷凍庫に放り込まれたようなものだった。その結果凍ってしまったのである。
だが、マキは凍っていながらも意識はあり状況を冷静に判断できていた。
(そりゃ凍るわな、ユウキ慌ててやがるし、もう少しこのままでも、といいたいところだが、流石に死んでしまうわ!そろそろいっか。)
すでに絶望し、もうマキの後を追って死のうかと思っていたユウキ、だが『パキパキ』っと音が聞こえてきた。
凍ったマキの方から聞こえたように思えたその音は、紛れもなく凍ったマキから聞こえる。そしてマキの体が光に包まれる。
「マキふっかぁぁつ!」
そう叫びマキは、いつものマキの姿を見せた。
無詠唱で魔法を発動させ、自らを解凍し、さらに寒さを感じさせない魔法を発動したのである。合宿での成果がここで役に立ったのある。
(無詠唱じゃなかったら死んでたかも。)
「マキさん!よかったです。もうわたくしも死のうかと…。」
「うちも油断してたわ!まさか氷の世界とはいえ、一瞬で凍るとは…。」
「さて、これからどうすっかな。」
マキはやっと氷の世界を見れた。だが、見たら見たで言葉を失う程の光景だった。
「なんだここは…。」
恐ろしいほど広い空にはオーロラが果てしなく広がり、大地には氷の種族と火の種族が闘っている最中だろうか、どちらも凍ったまま止まっていた。まさしくこの世界の時間は止まっているのだ。
火の種族と思われる、いや、そのものもだろう。火が燃えたまま凍っていた。
「なんで燃えたまま凍ってるんだ。」
もう訳がわからなかった。
(とりあえず落ちつかなければ、そして考えるんだ。)マキは自分にそう言い聞かせる。
「ユキじゃなかった、ユウキどうしよっか。」
現在ユキは女王ユウキの姿である。身長もマキよりかなり高い。
「そうですね、元々は火の種族さえいなければ、平和な世界でしたので、火の種族をどこかに捨てるのが一番いいかと。」
ユウキもどうしたらいいのか、よく分かっていなかった。
マキは考えた。今時間が動けば、火の種族も復活してしまう。なので時間をとめたこの状態を利用しなければと。
「なら、とりあえず2人で火の種族を一箇所に固めて、そして、時間を動かし火の種族を凍らせてしまえばいいじゃん!」
「そうですね、しかし火の種族は何万といますが…。それを運びさらに一箇所に集めるとなると…」
それもそうだ。とマキは違う方法を模索する。とにかく時間が止まっているうちになんとかしなければならない。
(氷の種族、火の種族共に凍っている。てことは!)なにかを思いついたマキ。
「よし、ならこうしよう。氷の種族だけ、うちが解凍していくよ。そしたらユウキがこの状況を説明し、火の種族をどうにかしようと相談して、そこから考えよう。」
「そうですね、それならいい知恵もでてきそうですし。お願いできますでしょうか。」
解凍するのは役に立ちそうなのをユウキが選別し、マキが解凍していく、そしてユウキがこの状況を説明。それを何度も繰り返す、解凍された者は20人くらいになった。
解凍された者達は、女王ユウキの元に集合し、皆片膝をついていた。
その中の一人が、
「女王陛下!事情は把握できました。まさか、和平を結ぶ会談で我が種族から裏切り者が現れようとは…」
どうやら、女王直属の兵士のようだ。
(女王陛下なんだ。。。なんかイメージが。)
「そのことはもうよい、今はこの事態を、どう収めるかだ!」
女王ユウキが冷たく言い放つ。
「はっ!失礼しました。我々が不甲斐ないばかりに、女王陛下にこのようなことをさせてしまい…ですが陛下!ここからは我々がどうにか致します。」
兵士はそう言い放つと、部下と思われる残りの兵士達に指示を出した。
「そこで、陛下ひとつお願いがございます!そちらのマキ様のお力をお借りしたいのですが」
そう告げる兵士。女王ユウキはマキのほうを申し訳なさそうに見た。
「うちなら、そのために来たんだからお願いなんてしなくても、指示してくれたらいいよ」気軽に答えるマキ。
「ありがたきお言葉、ですが陛下のご判断がなければ我らも勝手に動けませぬので…」
兵士がマキの方を見てそう答えた。
「マキ様、申し訳ございませんが、この者達にそのお力をお貸しくださいませ。」
「はい、女王陛下さま。」
ユウキの配下の手前もあるので、そう答えるマキ。そして兵士達と一緒に出掛けて行った。
20人ほどの兵士達は、自分達の部下と思われる兵士を次から次へと運んでくる。ある程度集まればマキが解凍、それを何度も何度も繰り返し、その数は数万人を超えていた。
集まった兵士達は、それぞれの部隊に別れ、残る兵士を運ぶものと、市民達を別の場所へ運び出す者とに別れた。
(すごいな、よく訓練されてるし、なにより女王陛下への忠誠心が半端ない。うちらの世界と大違いだ)感心するマキ。
市民達の解凍は、後からお願いしますと告げられ、まずは残る兵士を一定数集まれば解凍していった。
解凍された兵士は集められ隊長みたいな兵士から説明を受け、作業に戻る。先程からこれをずっと、繰り返している。
最終的に数百万人にも達してしまった。
(どんだけおるねん!しかしこれだけの人数をよくこんな短時間で集めたもんだ。…しかし、これ全部凍らせたユウキって。)
マキもかなり疲れていた。だが、兵士達を見てると力が湧いてきた。兵士達もマキの懸命な姿を見て、頑張った。
(これってミカちゃんが抱きしめてくれた時に、なんかうちの身体に入ってきた感覚に似てる。ミカちゃんありがと。)
マキの思った通り、これはミカの効果であった。お互いを尊重することで、お互いの疲れを癒す効果があるのだった。見破ったマキもさすがである。
そして、ほとんどの氷の種族の解凍を終え、いよいよ火の種族をどうするのか、一番の問題に差し掛かった。
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