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てんせい☆  作者: MAKI
30/230

【030話】氷の世界1

ミサキの提供した場所は、現在は夏も終わり使われていない海岸沿いの別荘で、その地下に広い地下室があり、そこでマキは実験や開発を繰り返していた。


新魔法開発に取り掛かってから半日が過ぎた。なんと1日もかからず魔法を完成させてしまったのだ。



現在午前11:00

土曜日で学校は休みだった為、ミサキやミカは自宅でくつろいでいた。


『ピコピコピコン』


新魔法完成の知らせのメールがミサキに届く。


「あら、マキちゃんからメールだわ。」


送信者:マキちゃん

件名:できましたぁぁぁ

内容:おまちしてます。


「できたって…まだ1日も経ってないのに。」


まさかこんなにも早くできるとはミサキは予想外だった。


(マキは予想以上に優秀な魔法使いなのかも、そのうちわたしを超えそうだわ。)


ミカにもこの件は伝えてあるのだが、完成は3日以内としか伝えていない。

慌ててミカにもメールする。


集合は1時間後にした。




*****海岸沿いの別荘*****


「マキせんぱぃ、やりましたね!ほんとぉすごいですぅ」


「だろ!もっとほめていいよ。うち天才だし」


「また自分でほめてるぅ…でもなんで途中わたしはネコになったりスライムになったりしてたんですかぁ?」


マキは新魔法が簡単にできてしまった為、ついでにユキを使っていろいろと実験していたのである。

「まあ、気にしなくていいから。そんなこともあるさ。」


「ううう、なんかごまかされるみたいでくやしいですが、まあ、いいですぅ」


そんな会話をしているとミサキからメールの返信が届く。


「ミサキ姉さんからメールがきたよ。先にミカちゃんが、到着するみたい。」

とユキにメールの内容を伝える。


「そぅなんですかぁ、きっと驚きますよぉ。」


今度はミカからメールが届く。

「まもなく着きます。入口まできてねーって書いてる。外いこっか。」


別荘でつくろいでいたマキとユキ慌てて外へ出て、駐車場へ向かう。


すると黒塗りのベンツが5台近づいてくる。嫌な予感がしたユキはすぐにマキの後ろに隠れた。


5台のうち1台はなんとミカの父親自ら運転、その横にはミカが嫌そうな顔で乗っている。


駐車場に停まった車から、降りてきたミカ、父親も一緒に降りてきた。


「マキちゃーん、おまたせー。」


「おまたせって…ミカちゃんお父さんがいるけど?どうして?」


「そうなのよー、マキちゃんとこに行くって行ったらさ、会いたいから送って行くってきかないの。」


マキは苦笑いした。(まさかこれほど気に入られてるとは…)


「マキさーん!どうもおひさしぶりー」

笑顔でそう言う父親、マキに会えて表情はかなり嬉しそうだが、元が怖い顔の為、表現がしにくい。


「ミカちゃんのお父さんおひさしぶり、ミカちゃんをわざわざ送ってきたんですか?」


「ああ、そうだよ、なにかあったら心配だしね。」


「どんだけ過保護なんですか?うちなら怒り狂って車破壊しちゃってますよ。」


「か、過保護かなぁ…父親としてそれは当然かと…思うのだが…いや、思うのですが…」

マキのキツイ言葉で動揺する父親。しかも何故か丁寧な言葉で。


「それは心配じゃなく、信用していないってことですね。ミカさんになにかあったらって、なにかあると思いますか?こんなに人がたくさんいる昼間に一人で外出もさせてもらえないなんて、ミカさんがかわいそうです。」

じっとミカの父親の目を見つめ、話すマキ。


次から次へと説教される父親、マキに圧倒され目も逸らしてしまい、下を向き言葉もでない。


「少し言いすぎました。でも、本当に娘想いのやさしいお父さんですね。私もちょっとうらやましくて意地悪な事いっちゃいました。」


「いえいえ、とんでもない、マキさんの言う通りでした。私がいつまでも娘の事を子供扱いしてしまって…子離れできてないです。少し目が覚めました。やはりマキさんは私の見込んだ通りの方でした。」

あれだけボロカス一方的に言われたのにもかかわらず、素直に受け止め自らを反省し、これまで以上にマキを気に入る父親であった。


その様子をみた社員達『組員達』は…『あの小さい子何者だ?組長が頭下げてるぞ。』『若頭でさえ意見すらできないのに…』とか、ちらほら声が漏れていた。ちなみに、一緒に着いてきた組員達は15人もいた。


「それでは無事ミカを届けましたので、あとはよろしくお願いしますマキさん、どうかこんな私を見捨てないでまた遊びに来てください。」


深々と頭を下げ、マキにお願いする父親。もはや組長という立場よりマキという存在に崇拝しているようにも見れる。


「うん、お父さんまたね、また前みたいにミカちゃんいないときでも遊びにいくから安心してね。」


もうすっかり友達になっていたミカの父親とマキであった。ミカが留守でも入り浸って将棋や囲碁などの相手をしているらしい。プロ並みの腕を持つミカの父親にしてもマキには一度も勝てないらしい。


ミカの父親は今度は後部座席に座り、5台のベンツは帰って行った。


「マキちゃん、なんかごめんねー。それと私が言えないことまでちゃんと言ってくれてありがとー。」

そう告げるミカ。


「マキせんぱぃすごぃですぅ。」


「で、マキちゃん新しい魔法ができたんだって?」


「うん、後はミサキ会長が到着してから説明するね。」


午前11:50


ミサキはまだ来ない。外で待つ3人。外は暑くもなく寒くもない、空には雲もなくまさしく快晴でヘリが1基飛んでるくらいだった。


そのヘリがだんだん近づいてきて、3人の前に着陸した。

降りてきたのはミサキだった。


(まさかヘリで登場するとは…)


「ミサキ姉様ぁ。すごぃですぅ。へりこぷたーでくるなんてぇ。」


ユキはミサキの登場にはしゃぎまわっていた。


「おまたせ、さあ中に入って詳しい事を聞きましょうか。」


ヘリはそのまま待たせて、4人は別荘へと移動した。


別荘に入ると、4人はテーブルを囲んで座り、そしてマキは立ち上がり説明を始めた。


○新魔法ができたいきさつはこうだった。

魔法を使ってユキの記憶を辿り、その世界の風景や出来事で大体の世界を特定し、それに合致した世界を魔法で検索し、場所を特定する。あとは移動魔法と掛け合わせて使用すればOKということだった。


とんでもないことを簡単に説明するマキであった。


「魔法ってすごいねーなんでもできちゃうんだねー」

ミカは説明を聞いてもよくわかってなかった。


「マキせんぱい、ほんとすごぃ。ですが、それとスライムやネコに変身したこととの関連性はなんですかぁ?」

ユキがわざと問いただす。


「やだな、ユキ、変な夢見てたんだな。たぶん副作用かなにかかもね。」


必死にごまかすマキ、だがミカは知っていた。『魔法の世界で実の妹相手に実験をしていた事だ。』ミサキもミカから聞いて知っていたのでごまかせてはいないのだが…。


「そっかー副作用でスライムになっちゃうんだー。へー」


ミカが突っ込むとマキは滝のように汗を流しながら説明を続ける。


「で、そ、その新魔法ですが、今の状態では移動できるのは2名が限度です。」


「全員じゃいけないの?」


「今の段階では無理ですね、後1カ月くらい時間があれば4名くらいならなんとか…」


「じゃあ、仕方ないわね、今回はユキちゃんとマキちゃんで行くしかないってっことね」


「はい。そうなります。」


「うーん、でも2人だけって心配で行かせるわけには…。」

ミサキは考えた。何かあったら助けようがないので、1ヶ月後で全員でいけばどうかと、しかし、マキはユキの悩みを早く解決したかったので、自分が行きますと告げた。


「わかったわ、でも約束してね。絶対に無事に帰ってくるって!」


「はい!わかりました」


そして、マキとユキは【氷の世界】へと出発するのである。


これが転生者達にとって、転生前の世界に戻る始まりでもあった。

文字数:2989字

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