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てんせい☆  作者: MAKI
28/230

【028話】遊びに来た天使

*****真欧学園*****


11月に入り、3年生は受験勉強で忙しくなった。

ミサキは進学しないので、暇そうだが…。生徒会会長としての活動も、残るは今月開催される『真欧祭』のみ。それが終わればマキに引き継ぐのである。


「ミサキはどこの大学受験するの?」

「ちょっとなにバカな事聞いてるのよ!『真欧大学』に決まってるでしょ」

休み時間クラスメイトとそんな話題になった。


「わたしは、大学受験しないよ。」


クラス全体が静かになった。

そして一人の生徒が確かめた。


「今、わたし聞き間違いしたかも、で、ミサキはどこの大学だっけ?」

ミサキの言葉が信じられずもう一度確認してみる生徒。


「だから、大学は受験しないよ。」


「ええええええええええええええー!」

みんな驚きのあまりに絶叫した。


3年A組 クラス全員が某有名大学に余裕で入れるエリートクラス、大半は真欧大学に進学する。その中でも常に1位のミサキ。そのミサキが大学を受験しないことを知り、生徒達が騒がないはずがなかった。


「んとね、一応卒業後はこの学園の理事長になるの、大学はいつだって受験できるんだし、別に行っても行かなくてもあまり生活は変らないと思うし。」


ミサキが落ち着いて理由を説明すると、生徒はみんな納得するのであった。



*****放課後 生徒会室*****


ミサキが生徒会室でぼーっとしているとマキが入ってきた。


「会長こんにちは、お元気ですかー?」


「あっお姫様マキちゃんこんにちわ」


「ちょ、ちょっと会長、誰からそれを…ってミカちゃんしかいませんよね。。」


(ミカちゃんめ、いつかネタを掴んで仕返ししなきゃ…)


「それより魔法少女マキちゃんどうしたの?ミカは一緒じゃないのねめずらしい」


いつも2人いることが当然になっていたミカとマキであった。


「あ、その事でご相談が…。」


「あら相談て、めずらしい。どうしたのかな?」


「今日ミカちゃんが、わたしの家に遊びに来るんです。」


「うん、それがどうかした?」

ミサキには意味が解らなかった。


「だって、わたしは庶民なので、家も決して大きいわけでもなく…なのでどうしたものかと。」


「マキちゃん、ミカはあなたの家を見たいとかじゃなく、ただ遊びに来るだけでしょ?あなた達は家の大きさを自慢したりされたりする関係なの?それが友達なの?」


「いえ、そうゆうわけではありませんが、ミカさんがせっかくいらっしゃるのに、わたしの部屋、片付けましたが、狭いし、汚いし…やっぱ失礼かと思っちゃって。」


「ミカがもし少しでもそういう態度を取ったらなら、その時はもう友達でもなんでもないって思いなさい。今の言い方はミカに対して失礼だよ、マキちゃんはミカを信頼してないね。」


ミサキのきつーい一言でマキは目が覚めた。そうだった、ミカちゃんは決して家が大きいとか小さいとか、金持ちだとか貧乏だとかで人を見たりしない。やはりお姉さまには敵わないと思うマキであった。


「会長、目が覚めました!やっぱ会長に相談してよかったです。本当にありがとうございました。」

マキは笑顔で生徒会室を後にしたが、またすぐ戻ってきた。


「ここで待ち合わせしてたんでした…あはははは」

憎めないマキである。


「こんにちわー、お姉様ー。」

ミカがやってきた。ミサキに抱きつきハグ。


「お姫様先に来てたんだねー」

マキの眉がピクりと動いた…。


「ミカちゃんなんて知らない」

と拗ねるマキ、慌てて謝るミカ。


そうこうしてるとユキも来た。

「みなさんこんにちわぁ、やっぱぁこの部屋が一番おちつきますぅ」

そう言って椅子に座った。


「ユキあんた、1年生のいるところじゃあ、話し方全然違うもんね、すっごい冷たいらしいじゃん」マキが言うとユキは


「だってぇ、みんなガキですし、頼りないですし、見てるとイライラしちゃうんですよねぇ」


「その言葉そのまんま返すよ」

マキがユキにそう言い返した。見ているミサキとミカは笑っていた。


「マキちゃんはユキちゃんに冷たいねー、ユキちゃんこれからマキちゃんの事は『お姫様』って呼ぶといいよー喜ぶからー」


「そぅなんですかぁ、じゃあマキお姫様ぁ」

『ペシッ』

「きゃっ!!」

ユキは頭をぺしぺしされた。


などと騒いでるうちに下校時刻、みんな帰宅することにした。何しに集まったのだろうか謎であった。


もうそれぞれが『力』を制御し、なにかあれば自分で対処できるようになっていたので、みんな自由に登下校していたが、ミカとマキは常に一緒だった。



○マキの家

 マキの家庭は普通の一般家庭で、母親は専業主婦、家族は両親と妹の4人家族で、妹は来年姉の通う名門校『真欧学園』に入学する為、猛勉強中の中学3年生だ。


家は2階建てで、2階には部屋は2つあり、マキの部屋と妹のミキの部屋である。


部屋は散らかり、服が散乱し、足の踏み場もなかったが、ミカを家に招くためいらないものは全て処分し、嘘のようにキレイな部屋になっていた。


母親は娘がおかしくなってしまったのかと少々心配していたが、明日友達が来ることをマキから告げられ、納得しお菓子屋飲み物などを買いに出かけた。


そして当日。


「ただいまー」


マキが玄関で帰宅を告げる。

中からドタドタと走る音が…


「おかえりマキ、あら、お友達?ようこそいらっしゃい。」

あらかじめ知っていたが、あえてしらを切る母親。なぜかよそ行きの服を着て化粧までしている。


(ママはなにかんがえてるんだろ。きっとお嬢様学校だからそれなりの格好しなきゃって思ったんだろうけど、不自然すぎるし。)


「はじめまして、マキさんのクラスメイトの天地ミカです。本日は突然の訪問申し訳なく存じます。マキさんにお願いしてお立ち寄りさせて頂いた次第でございます。それとコチラつまらないもので恐縮ですが、是非皆様でお召し上がりください。」


服装はマキと同じ制服なのだが、見た目が自分の娘と違い、どうみてもお嬢様にしか見えない。


「あ…い、いえこ、こちらこそ、む、むすめが大変お世話になってございますでございます。ど、どうぞおあがりくださいませ。」


聞きなれない言葉が並び動揺する母親、もうすでに母親が壊れかけているのを見てマキ見るに見かねて話し出す。


「ミカちゃん堅苦しいあいさつはいいからあがってあがって」


「はい。」


靴をキチンと揃え、出されたスリッパを履き一礼し、『失礼致します』と声をかけ、マキと一緒に2階へ上がるミカ。


あの人がマキのお友達だなんて信じられない。としばらくその場で固まってしまっていた母親。妹も隠れて見ていたのだが、本物のお嬢様を見て、すでに石化していた。


「ミカちゃんどうぞー、飲み物取ってくるからどこでも座っててー。」


マキは1階に降り飲み物を探す。冷蔵庫にはコーラと麦茶しかなかった。



紅茶はあるにはあるのだが、いつのものかも判らないので出すわけにもいかず、とりあえずコーラでいっかと思い持って行く。


「おまたせ、はいどうぞミカちゃん。」


「ありがとー、ここがマキちゃんの部屋なんだー、ぬいぐるみとかたくさんあってかわいい部屋だねー、それにキチンと整理整頓されててさすがマキちゃん。」


廊下で聞き耳を立てていた妹の笑い声が聞こえたので、ミカに少し待ってねと告げたマキは廊下にいた妹をしばきたおし、部屋に戻る。


廊下から聞こえていた笑い声は泣き声へと変っていた。


「誰か泣いてる?みたいだけどどなたかいらっしゃるの?」

気になったので聞いてみるミカ


「え?ああ、あれね、うちの妹だよ、バカだからほっといていいよ。あははは」


「マキちゃん妹さんいるんだーいいなーうらやましい」


「そっかーミカちゃん一人っ子だったね、うちからすればミカちゃんのがうらやましいよ。」


ミカが部屋をキョロキョロとあちこち見ている。なにかを探しているようにも見える。


「どうしたのミカちゃん」


「いえ、そ、そのマキちゃん学年で一番だから、きっと部屋には参考書やら難しい本とかがたくさん並んでると思ってて、どこかなーって思って探してたんだけど、ないよね…。」


「ないよー。そんなの買ったことないもん。でも、小さい時はたくさん渡されてそれが嫌で嫌でしょうがなかったけどね。」


「そ、そうなんだ…。なんかごめんね嫌な事思い出させちゃったかな。」


「全然大丈夫、そんな気を使わなくていいからね。」


ミカは驚いた、マキは本当の天才だった。一度習ったことは頭に入り、忘れないらしい。ミカがいくら猛勉強しても勝てないわけだ。


「本当にマキちゃんてすごいよね。勉強もできて、スポーツ万能で、しかも次期生徒会会長だし」

とミカが言ったと同時に部屋の外で何かが割れる音が鳴り響いた。


『ガッチャァァァン!バリーン!』


部屋のドアを開けると母親がいた。足元にはケーキと皿が割れて散乱していた。


「マ、マ、マキが、せ、生徒会会長?、それに勉強ができる?」


ケーキを出そうと部屋の前にいた母親はミカの会話を聞き驚きのあまり落としてしまったのである。


「そ、そうですよお母様、マキさんは学内トップの成績で先月の体育祭では全生徒で2番目に足が速く、先日行われた生徒会選挙では圧倒的支持を得て来期の生徒会会長に選ばれました。」


「あ、あの。。。マキの話ですか?」


「は、はい、そうですが…」


「あ、あの。。。そこにいるマキでしょうか?」


「は、はい。」


信じられないといった表情の母親。真欧学園に通うようになってから、更正したとはいえ、今の話を聞くかぎり娘の話だとは到底思えなかった。なので確認の為にもう一度聞きなおしたのである。


母親は落としたケーキを慌てて拾い、1階へと降りていった。


「もしかしてマキちゃん、お母様に伝えてなかったの?」


「だって言ったって信じないよ、今の様子みたらわかるでしょ…」


「た、たしかに…。」


ミカは思い出した、マキがかつて『鬼畜のマキ』だった事を、そう考えると先ほどの母親の驚き方は頷ける。そしてミカは立ち上がった。


「ちょっとお母様とお話してきますね、少し動揺させてしまったので…。」


そう言って1階へ降りていった。


ミカはマキの母親に、これまでの出来事や、学園でのマキの様子を事細かく伝え、すっかり変ってしまったしまった娘に感動し、さらに、今、目の前にいる娘の友達のすばらしさにも感動し、マキの母親は泣きながらミカにお礼を言っていた。そして部屋に戻るミカ。


「お母様大変喜んでいらっしゃったわ、マキさんいいお母様がいらっしゃってうらやましい限りです。」


(そういえば、ミカちゃんのお母さんて見たことないな。聞くに聞けないけど、聞いてみよう。)


「ありがとねミカちゃん、ところで、ミカちゃんのお母さんてどんな方?」


「母はわたしが幼い頃に…」

予想通りの展開にしまったと思うマキであった。


「ごめんミカちゃん。。。」


「あはは、気にしないでマキちゃん」



その後、ゲームをしたり、妹を交えて遊んだり、夕飯を一緒に食べたりと、ミカはとても満足そうだった。さすがにこの狭い家に泊まる?とは言えずに、遅くなる前にミカは帰っていった。


(ミサキ会長の言ったとおりだった。あの人こそミカちゃんのことを一番理解してる。うちも負けないようにしないと。)


ミカが帰った後、本当に生徒会会長になったの?とか、体育祭での出来事が事実なのかとか質問攻めに遭うマキであった。


この日バレなくても妹が受験に受かれば、どの道バレる事だったので、マキも全部正直に話した。ミカが来ただけで、マキの家族関係も無事修復され、まさに天使のミカに感謝するマキであった。



ミカが家に来た時にミキは普通に接していたが、実は少しミキの様子に変化が起こった事にだれも気がつかなかった。

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