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てんせい☆  作者: MAKI
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【027話】城間マキ

*****天地邸 ミカの部屋*****


マキはしょっちゅうミカの部屋に遊びに来ていた。

マキは天地家では、出入り自由で、ミカの父親『自称社長:実は組長』はマキと囲碁や将棋などを何度か対戦している為、とても仲良くなり、マキの事を実の娘と変らない程にかわいがっていた。


部屋ではマキがミカに勉強を教えたり、ミカが料理を教えたりと、すっかり人間らしい事をして過ごしていた。


「もうなんかさ、この生活にすっかり馴染んじゃったよね。」

マキが何気なしにそう言った。


「そうだよねー。もう普通って感じがするー。」

ミカもそう告げるが、ふと、何かを思い出したようだ。


「そういえばさ、マキちゃん。マキちゃんが魔女だった頃のお話、なんか途中で終わったような気がするんだけど。」

ミカは横目で じとっとマキを見る。


「え…そうだっけ。。。あっははは。やっぱ言わなきゃダメ?」

何かマキは言いたくなさそうだった。何か隠したいことでもあるのだろうか。


「いえ、マキちゃんが思い出すと辛くなっちゃうようなら、ミカは何も聞かないし、もう言わないよー。なんか…ごめんねー」

ミカは、(きっとマキちゃんには悲しい思い出があって、それを思い出したくないんだわ。なんか悪いことしちゃった。)とうつむき加減で、反省していた。


「あああ、ミカちゃん、そんなんじゃないよ!まあミカちゃんには隠し事したくないし、全部お話するよ」

そう言ってマキは転生前の事を話出した。



○転生前のマキ


魔法の世界は大きな3つの国により成り立っていた。


ジャンヌ国 サンス国 キテラ国の3大王国である。

その国々を統括しているのが【大魔女】であった。


しかし【大魔女】は高齢であったが為、後継者を探していた。


後継者は3つの国から優れたものが選ばれる。どの国から後継者が出たとしてもその国が何か優遇されるわけでもないのだが、選出された事により国の知名度と優秀な国という位置づけ、すなわち名誉が与えられるのだ。


マキはその中でも一番大きな国ジャンヌで生まれた。


両親はジャンヌ国の国王と妃である。

つまり、マキはお姫様だったのだ!


幼い頃から、物覚えが良く、魔術幼稚園、魔術小学校、魔術高校、魔術大学全てにおいて、主席で卒業。公開されている魔法術式はすべてマスター、まさにスーパー頭脳の持ち主で、将来【大魔女】の座に一番近いと噂されていた。


しかしその反面、マキは多くの新魔法を開発し、誤って城を破壊したり、森を消滅させてしまったりと、かなりの問題児でもあった。


お姫様らしい素振りは微塵も見せず、粗暴で新たな魔法を使ってはそこらじゅうを破壊しまくっていた。普通に生活していれば誰もが認める【大魔女】にすんなりとなれたのである。


マキは【大魔女】など眼中になく、日々魔法術式の開発に専念していたのだ。


そんなマキを誰もお姫様と呼ばなくなり、【大魔女】の座には、マキの妹が即位したらしい。マキより2歳年下。マキ曰く誰がなろうと、どうでもよかった。


マキには及ばないものの、妹はかなり優秀で、よくマキの実験台にもされていた。マキは妹をモルモット代わりにしていたのである。この鬼畜行為が転生後にも現れたのであろう。


両親は名誉を手にいれたが、国には不名誉的存在の姉がおり、何とかしたかったのだが、【大魔女】以上の魔法を使えるマキに逆らえる魔法使いはこの世界にはいなかった。だが、国の名誉の為にもマキを捕らえようとする両親により刺客が送り込まれる。


マキは自分を捕らえ幽閉しようとする両親から逃げる為、森の奥へ棲家を移し、一人ひっそりと暮らす事になった。


そんなマキはある日、1冊の本を入手した。それが転生のきっかけとなった【転生大全集】である。


魔法でもできない事が記載されてる上に、魔法を使ってそれを行使できるとも記載されていた。マキは夢中になり、つい詠唱してしまい今に至ったわけである。



「ってわけで、今ココにいるんだよー。あっちじゃ考えられないくらい、今は幸せってわけかな。」

マキはそう締めくくる。


「マキちゃん!お姫様だったんだぁぁぁー!すごーい!マキ姫様ー」


(え?そこなの)


どうもミカには最初に話した『お姫様』が印象深かったらしい。


「でもさ、どうして『大魔女』になろうとしなかったの?」


「うーん。めんどくさいし、みんなから注目されるし、自由が奪われて好きなことができなくなるし。それでだろうね」


「なんかーもったいないー。まあたしかに自由を奪われるのは辛いかもねー。」


「でも、妹さんがいたことにも驚いたけど、妹さんを使って実験て。。。マキちゃん鬼だねー」


「いや、実験って言ってもあれだよ。他の生物に変えたり、透明にしたり、生命に関わるような事はしてないけどね。」

実は何度か死に掛けた妹であったのだが、言わなければバレないので黙っておく事にした。まさに鬼畜の所業。


「あと、城を破壊したって…それは一体。。。」


「ああ、それね、ちょっと魔法が大きすぎちゃって、城の半分以上がなくなっちゃって…はははは。さすがにこっぴどく怒られちゃったよ。今じゃいい想い出だよ。」


「それって、さすがに笑えない事態だよ。。。マキちゃんやっぱ怖い。」


「えええっ!だから話したくなかったのにぃぃぃ…ミカちゃーん、見捨てないでぇぇぇぇ。」

泣きそうなマキ必死にミカに抱きついていた。


「でも話してくれてありがとう。マキちゃんの事たくさん知りたかったから、なんかすごい得した気分。」


ミカは天使のような笑顔で微笑んでいた。


「うわっ、その笑顔反則!すごい癒されるぅ。」


『天』の力を制御できるようになったミカはさっそく新たに開発した天使の頬笑みをマキに発動したのだった。マキもすぐさまそれが『天』の力であると解った。


「ミカちゃんは、もう完全に『天』の力を制御できてるね、治癒にしてもそうだし、私達の守護天使だね。」


「マキちゃんだって詠唱無しで、それに魔方陣も無しで魔法を発動しちゃうじゃない!そっちのがすごいよー」


2人はお互いを認め合いそして褒めあう。


ミカもマキもかなりの成長だった。人間の姿で『天界の力』を使えるミカ、姿は魔女でも人間でも同じ魔女のマキ。ユキに関してはもともと封印もされていないので、制御する必要もなく自由に凍らせたりできるのであった。


「今度マキちゃんちに遊びにいってもいいかな?」


突然の発言に、マキは動揺した。


(うちの家はこの家に比べると小屋みたいだけどいいのかな。)


「う、うん。いいよ。」

翌日、ミカが家に遊びに来ることが決まった。

文字数:2702字

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