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てんせい☆  作者: MAKI
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【020話】氷神ユキ

ユキは転生前の事から、どうして転生に至ったのかの経緯を語り始めた。




○ユキが転生に至った経緯

 800年ほど前にこの地で生を受け、500年ほど前に氷の世界の女王に任命され、その座についたユウキ。

氷の世界は文字通り氷で覆われ、異世界からの侵略さえこの寒さのおかげで防ぐことができていた。


だが、女王になってから300年ほどが経過し、突然現れた火を操る種族による、火の世界からの侵略が始まったのであった。


何でも凍らせてしまう力を持つ氷の種族、なんでも燃やしてしまう火の種族、お互い凍らせたり燃やしたりと一進一退の攻防が100年以上に渡り続いていた。


このまま争いを続けても仕方がないとお互い不可侵条約を結ぼうと、それぞれの代表者が数名づつ集まることとなった。


当然女王であるユウキも出席することとなり、会議場へと出向いたのであったのだが、女王の座を狙わんとする者の裏切りにより、会議が行われている間、火の種族により氷の世界の氷はほとんど溶かされてしまい、氷の種族は燃やされていった。


火の種族が優勢になったところで、火の種族の代表がユウキに攻撃していることを伝え降伏せよと詰め寄るが、ユウキはそれを拒み脱出を試みる。無事脱出できたものの会議に出席していたユウキ以外の氷の種族は全員燃やされてしまった。ユウキを逃げす為に犠牲になってしまったのだ。


助かったユウキは城へ戻る途中、壊滅状態になった氷の世界を目の当たりにし、女王ユウキは怒り狂う。我を忘れ、狂気に満ち溢れ氷の世界と火の世界を全て凍らせてしまい。どちらの種族も凍らされ広大な2つの世界は1つの世界へとなってしまった。


火の種族、氷の種族、全てを凍らせてしまったことで広大な世界に自分一人となってしまった。


ユウキは自我を忘れ、やってしまった事を悔やみ反省し、100年が過ぎようとしていた頃、何故か凍っていない1冊の光り輝く本を見つけた。


その本こそが【転生大全集】であったというのだ。その本を読み、転生できるのであれば一からやり直したいと思い、転生に至ったというわけである。



***************************



「なるほどね、そんな辛いことがあったんだね。じゃあ転生後の今はわりと幸せな生活を送れてたんだね。」

ミサキが訊ねた。


「はぃ、そうですねー。記憶がもどったからこそ言えることでありますけどぉ、いまの世界での生活はすごぃしあわせですぅ。」


「しっかし、全部凍らせるなんて…すごいね、魔法でも不可能だよそんな事。凍らせる他にはなにかできないの?」

自分よりユキのが転生前も現在も年下だとわかったマキはお姉さんぽくたずねてみた。


「ほかはぁ…雪を降らせたり、ですかねぇ…。溶かすことができないんですぅ。」


「夏には便利そうだねー、かき氷とかいつで作れそう。」

ミカには緊張感とかいうものが存在しないようである。


「それはそうと、ユキちゃんも【転生大全集】で転生してきたんだよね、だったらその本に記載されていた事ってどんなことだった?」

ミサキが尋ねた。


「はぃ。えっとぉ…、たしかぁ、凍らす力を使って、呪文を唱えなえたときに、転生したいものも一緒にとなえるみたいなぁ…感じでしたぁ。他には、転生が無事終わったら本自体が消滅しちゃうって書いてたようなぁ…。それくらですねぇ」


「そう…やはり転生するとあの本は消滅しちゃうんだ。もうあきらめるしかないわね。」

ミサキはなんとなく解っていたがこれで3人が共通して同じ事を述べていたので、本が消滅する事実を受け止めた。


ミカとマキはなんとも言えない表情でミサキを見つめる。


「まあ、これできっぱりあきらめられるし、ミカとマキには先日伝えたとおりだからもう気にしないで」

表情は以前と違い明るいミサキ。やはり諦めがついたのかもしれない。


「あのぉ…ユキはこれからどうなるのでしょうかぁ?」

ユキは不安だった。先輩3人が転生者であることはわかったのだが、ほとんど登校もしていなかったので、顔と名前くらいしかこの3人の事をしらずにいた。


まして先ほどの転生前の姿を見てしまい。自分なんかは用がなくなれば消されてしまうのではないかと不安になってきたのだ。


全てを凍らせる力を持っておきながらも、ミサキやミカにはもちろんのこと、マキにさえ到底勝てないであろうと本能的にすぐさま悟ったユキであった。


「ユキちゃん心配しなくてもいいよーおねえちゃん達が一緒にいてあげるからね。でも明日から夏休みだよね。。。。」

ミカは困った。学園内ならどうにかなるが、明日から夏休みなのだ。記憶を取り戻したユキがこの先、わけもわからず過ごすのはかわいそうだったからだ。


「それじゃあ、合宿でもしましょうか。せっかく新しい転生者さんが見つかったことだしネ。詳しいことは後から連絡するからユキちゃん連絡先教えといてネ。それから今日はミカとマキが責任もって家までつれて帰ってあげてネ」


「はい、会長。」


「わかりました。お姉様。」


「うわぁい、天地ふくかいちょぅと一緒にかえれるぅ。」


こうして1学期最後の日は終わり、明日からはいつもより長い夏休みの突入となるのである。

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