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てんせい☆  作者: MAKI
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【018話】4人目の転生者

*****朝の生徒会室*****


「おはようございます。お姉様」

「会長!おはようございます!」

ミカとマキは手を繋いだまま登校し、生徒会室に入ってもまだ繋いだままだった。

マキの表情は昨日までと明らかに違っていた。


「おはよ。マキちゃんなんかいいことあったのかな?」

ミサキは大体察しがついていたので、からかってみた。


マキは『はっ』と繋いでいた手を離し、真っ赤な顔を手で覆った。

「い、いえ。そ、その、あ、あの…その……ハイ。」

ミカの方をチラっと見ながらそう答えた。


「お姉様ー、マキちゃん昨日 私の家にお泊りしてもらったんですー」


「なるほどね、それはとても良いことだわ。これからも2人仲良くネ」


「はい、お姉様」

「はい!会長。」


「まあ、朝のあいさつはこれくらいにして、いよいよ本番ね、マキの魔法が発動したら『鑑定』の方よろしくネ」


「はい!会長。」

(ああああーなんだか超はずかしいよー。昨日のミカちゃんが言ってた『距離を縮める方法』は会長直伝らしいし…きっともうバレちゃってんだろうなー)と『鑑定』のことより昨日の出来事のほうが気になるマキであった。


『生徒のみなさん、おはようございます。まもなく 修業式 が始まります。生徒のみなさんは体育館に集合してください』

朝の放送が聞こえてきた。


「じゃあマキちゃん、準備よろしくネ」


「はい?準備ですか?」


「だって今のままじゃ『鑑定』できないじゃない。『魔法少女マキ』になっていないと無理でしょ?まさか全生徒の前で変身する気だったの?」


「マキちゃんー、『魔法少女マキ参上よ!』っていいながら変身してー」


「あっ…そ、そうでした。もうしわけございません…。ミカちゃん…それだけは許して。。。」

(もうすっかり『魔法少女』で定着しちゃってるんだ…まあ『鬼畜』よりマシか。…)とマキは自分に言い聞かせた。


マキは魔女マキにならないと今の状態は人間のままで魔法は使えないのである。変身してもとんがり帽子が頭にのっかるだけなので、要はその帽子を生徒会室に預けておけばいいだけであった。帽子は特になにか効果があるわけでなく、変身すと何故か出てくるのである。


「じゃあ、私達もいきましょう」

3人は生徒会室を後にし体育館へ向かった。



*****修業式5分前 体育館*****



体育館に並べられた椅子に全生徒が座り、いよいよ修業式の始まりである。

実行委員であるミサキ生徒会会長、ミカ副会長、そのサポート役でマキ風紀委員長が生徒とは別の場所に並べられた席につく。体育館の壇上だった。そこからは全生徒が見渡せ、マキが魔法発動後、転生者を発見しやすい場所であった。


すでにマキは魔女マキに変身。見た目は普通の生徒である。だが魔法は常時使用可能である。


修業式が行われる体育館のみ空調がなく、しかも真夏でかなりの暑さだ。普通の人間にはかなり辛い状況であった。だが、壇上にいるミサキ会長、ミカ副会長は全く暑さなど感じさせない涼しい表情だった。そんなミサキ達を見ると生徒達まで涼しい気持ちにさせた。


そんな中、1人生徒だけがこの暑さに耐え切れなくなり椅子から転げ落ちたのであった。壇上からその姿が見えたミカは壇上から颯爽と飛び降り、その生徒の元へ駆け寄った。そしてその生徒を保健室まで連れていくと告げ、体育館を後にした。


一時騒然となった体育館であったが、ミカの行動の速さと、ミサキが落ち着くようにと生徒に促したため、なんとか静まった。



*****保健室*****


「しつれいしまーす。」


「あれ。誰もいないや。。。今日は修業式で早く終わるから保健室の先生はお休みなのかな…。」


倒れた女子生徒に肩を貸し、保健室まできた2人だったが、保健室の先生は不在らしく、ミカは空いていたベットに女子高生を寝せた。


「熱中症になりかけかもしれないから、飲み物とってくるね、少し待ってて」


ミカは急いで飲み物を買いに行き、保健室に戻りその生徒に飲ませた。


「ぷはーっ。天地ふくかいちょぅ、すぃませんでしたぁ。ありがとうございましたぁ。生き返りましたぁ」

べットの上で上半身を起こした状態で水分補給を終えた生徒はミカにそう告げる。


「ううん、そんなことより修業式が終わるまでここで休んでてください。それと、お名前聞かせてもらってもいいですか?」


「はぃ、1年A組 氷神ユキ ですぅ。暑さには弱くてぇ…そのぉ…ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでしたぁ。」

申し訳なさそうに頭を下げたユキであったが、表情はまだまだ苦しそうだった。


「氷神ユキさんね。冷房も効いてきたことだし、ゆっくり休んでて、わたしは修業式にもどりますので、後でまたきますね」


「はい、ありがとうございました。」


そしてミカは保健室を出て体育館に慌てて戻った。

(あんな子うちの学園にいたかなぁ…。うーん。どこかで聞いたような名前なんだけど。それより急がなきゃ、魔法が発動しちゃう)



*****修業式 体育館*****


修業式が始まり、ミカが急いで戻ってきた。ミサキとマキに先ほどの生徒は大丈夫そうだと伝え、いよいよ『鑑定』の時がきた。


「まもなく発動します」小さな声で伝えるマキ。


マキ以外にはこの『鑑定』魔法は発動してるかさえ解らない。魔方陣は昨日構築しているため、もちろん視界には映らない。


そして魔法発動!『鑑定』を始めるマキ。この鑑定魔法は魔法特有の不思議な光が発生しないので、誰にも視認することはできない。


ミサキとミカにも緊張が走る。


「どう?マキちゃん。」


「それらしい人物は見当たりませんね。」


だが、体育館内には『鑑定』による転生者の発見はできなかった。


そして、修業式も終わり、生徒はそのまま下校することとなった。ミサキ、ミカ、マキの3人は後片付けが残っているので、それを済ませた後、生徒会室へ移動した。


*****生徒会室*****


「ダメでしたねー。お姉様、今回は発見できませんでしたが、気を落とさずに。きっとこの世界には何人も転生者がいると思いますので。」

ミカはミサキを気遣いそう告げる。


「うん、ありがとミカちゃん。マキちゃんもご苦労様。それとね、たとえこの先転生者が見つからなくてもいいの。今の私には大切な仲間のミカとマキがいるからネ」


笑顔でそう告げるミサキ。


「お姉様…。」

「ミサキ会長…。」

2人は声にならない喜びで自然と涙が溢れ出した。


「ミカちゃんはもちろんですが、私まで仲間とおっしゃっていただけて光栄です、いえ、もったいないお言葉です。この先なにがありましてもミサキ会長にこの命を捧げます。」マキはミサキの今の状態(姿のみ人間だが実際は魔王)を知っている。その上でそんな言葉をかけられたのだ。心中は嬉しいどころの騒ぎではなかった。


「あはは、マキちゃんてばおおげさなんだから」

ミサキはマキにそう言うと、ふと何かを思い出した。


「そういえばミカちゃん。あの倒れた子はあの後どうなったの?」

ミサキがミカに聞く。


「あっ…。」

ミカは顔面蒼白になり、立ち上がった。


「どうしましょう、保健室に放置したままだったわ。」


「あら、ミカちゃんらしくないわね忘れちゃうなんて。」


「きっともう目を覚まして帰ってるよミカちゃん。」


とりあえず3人は保健室へ向かう事にした。



*****保健室*****


「すぅ…すぅ…むにゃむにゃ…ひひっ…」


「この子…まだ寝てる。」

先ほど倒れた生徒は保健室の冷房が効きすぎて寒いくらいの部屋で気持ちよさそうに寝ていた。


「ちょっと冷房効きすぎだよ、よくこんな寒い中眠れるね。」

マキがそう言う。


「でも、この子見たことないんだけどうちの生徒だよね?A組のワッペンつけてるし1年生かなー?」

ミサキは生徒を大体把握しているが、この生徒は全く見覚えがなかった


ミカとマキも

「そうなんですよ。わたしも見たことなかったんです。」

「そういえば、わたしもないですね。」

と2人共見覚えがないらしい。


「ですがお姉様、この子の名前には聞き覚えがあるんですよ。」


「なんて名前なの?」


「たしか、氷神ユキさんておっしゃってました。」


「氷神さんねえ。あっ!その子だわ!新入生代表であいさつする予定だった子よ。」


「そ、そうなんですか。じゃ、じゃあ子のが1年生トップの。。」


2人の会話についていけなかったマキはミカから詳しく事情を聞いた。どうやらこの気持ちよさそうに眠っている女の子が今年の新入生1位の子であると。


(どうみてもバカそうな寝顔なのに。)そう思うマキだった。


しばらく様子を見ていたが起きそうな気配は全くなかった。マキが起こそうとしたが、ミサキが止めマキとミカに話しかける。


「この子はたしか『鑑定』前に倒れたんだよね、念の為お願いできるかしら『魔法少女マキ』ちゃん」

笑いながらミサキがマキに頼んだ。


「ちゃんと『魔法少女マキ』いまから『鑑定』はじめちゃうぞって言ってね」

とミカも笑いながら頼んだ。


「…もう…2人でいじめるんだから…マキはマキは…うう…」

いまにも泣き出しそうなマキ、涙をこらえ『鑑定』を始めた。


「ミカちゃんに運んでもらった上に寝てるヤツが転生者だとは思えませんが…まあ、念の為。」


魔法術式を詠唱、魔方陣を構築そして発動!


「あ。。。こいつは。」


マキの目には明らかに転生者であることを示す何かが映っていた。

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