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010 years lateR!  作者: finale
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003

「べつのせかい」。べつのせかい、うん、ベツノセカイ。

 ちゃんと漢字で認識するまで十秒はかかった。パラレルなんちゃらのほうは……まあ最初から分かってないからどうにもできないけど。

 ……別の世界、って、なんだよそれ。

『驚くのも無理はない』

 テレビの文が変わった。まあ確かに、これは驚かないほうが無理だ。

『ここは君の住む町、国、世界、もっと言ってしまえば地球。それと全く同じ様に造られている』

『ただひとつ違うのは、そこで暮らしている人間が、全て架空の人間(以下架空人)であること』

『である』

 おいおいおい、ちょっと待て。どうでもいいけど、今文末三文字切れたぞ。

 それは別として、架空人ってなんだよ。意味不明だし、ネーミングセンスが死んでる。

『架空人には、簡単な感情は存在するが――――――――――』

『――――――体系立った意思は存在しない』

 いや長い、ダッシュが長い! どこに感動求めてんだよ。

『それらは魂を抜かれた人間そのものであり、現実世界で誰かが行っていたことをただひたすら機械的に代行しているだけに過ぎない存在である』

『だ』

『が』

『し』

『か』

『し』

『だがしかし』

 なにがしたいんだよもう。ルパンのサブタイトルかよ。

『(ちなみに今のはルパンのサブタイトルを真似てみた)』

 やっぱりか!

『冗談はさておき、この世界に存在している人間はそれだけではない』

『この世界に送られてきているのは君だけではないということだ』

『ここからが重要なのでよく記憶しておいてほしい』

『視聴者の皆様は紙とペンのご用意を!』

 おい、いい加減にしろよ。

『この世界には、架空人と君のほかに、十年後の人間が百人飛ばされてきている』

『百人の人間たちはそれぞれ大小様々な問題や悩みを抱えており、それを百個全て解決すれば、君は晴れて元の世界へ戻ることができる』

 戻れるのか。うっすら心配はしてたんだけど、そりゃよかった。

『十年後の人間たち百人のほとんどは自ら助けを求めてくるので、判別するのは難しくないと思われる』

『尚、助けたうちの五人までを、好きなように選んで君の仲間にできる。選ぶも変えるも君次第だ』

『あ、あと、十年後の人間は君からかなり近いところにしかいないから安心してね☆』

 それはありがたい、けど、なんで今口調変わったんだ。あれか、お茶目なのか、こいつ。

『なにか問題が発生した場合は、テレビ、携帯電話、鏡など、「映るもの」に念じてもらえれば、答えられる範囲で答える』

 あれ、意外と親切だ。ナビみたいなもんか。「答えられる範囲で」っていうのがちょっと引っかかるけど。

『それでは、健闘を祈る』

『以上』

 瞬間、テレビの電源がブツリと切れた。

 ……え、今ので説明終了?

 悩みを解決って……。僕のほうが悩んでるんですけど。大きく溜息。溜息をつくと幸せが逃げるとか聞いたことがあるけど、無視。どうせもう、逃げに逃げられている。

 テレビの電源はやっぱり切れていた。本当にこれで終わりらしい。あんなこと急に言われたった困る。どうしろっていうんだ、この僕に。

 二度目の溜息をついたとき、ソファーの前のテーブル(超乱雑)から本が何冊かバサバサと崩れ落ちた。。母ちゃん、片付けダメだからなあ。ほとんど弟が片付けてたもんな。え、僕? やだなあ、もちろん散らかす側だよ。

 ってかてか、そんなことはどうでもいい。僕は仕方なしに「よっこいせ」とやたらジジ臭い声を出しつつ(一応自覚はしている)、ソファーから立ち上がって、本を拾い集めた。

 で、戻した。いや、戻そうとしたけど、できなかった。

 なぜか。

 ――雑然としたテーブルの上を、見かけ人間っぽい小さなイキモノが、タカタカと歩き回っていたからだ。

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