覚悟と「神の啓示」
トウヤは、少女のそばに跪いた。彼女の灰青色の瞳は、恐怖と憎悪でトウヤを睨みつけている。
少女はか細く、しかし高貴なプライドで
「だ、誰……っ。離れなさい……! 触れたら、あなたも……不敬罪に……!」
(私に触れてはだめ! 善良な平民を、私の罪に巻き込むわけにはいかない! お願い、早くこの場を立ち去って……!)
(不敬罪? ああ、面倒だ!この子の警戒心を解くには、王国の法を超えたフリをするしかない!この子の『善意』が、逆に『命の危険』となっている!俺の現代知識を、命を救うための『道具』として使うんだ!)
トウヤは自身の安全と少女の救出という二つの目的のために、最も合理的で、最も恥ずかしい芝居を打つことを決めた。
トウヤは仰々しく語った
「貴女の言葉は、この世界の腐敗した檻の掟だ。だが、私はその掟の外側にいる…。貴女を不当に弾き出したのは、たかが一握りの貴族の都合だ…。その悪意に満ちた筋書きは、私には透けて見えている。」
彼は、少女の拘束痕が残る手首に視線を向けた。
「貴女の魂の炎はまだ消えていない。その炎が、復讐という名の力を渇望しているのがわかる。――貴女のその優しさと正義を無駄にするな。」
トウヤは、内心の恥ずかしさを押し殺し、最後の勝負手出た。
「我は、貴女の知る神々とは異なる、別の世界の理を司る者。貴女の人生の『ハズレの筋書き』を読み解き、運命の記録を塗り替える権限を持つ。力が……ほしいか? 貴女の尊厳を取り戻すために、我と契約を結ぶか、否か。」
少女は瞳に強い光を宿し、決意に満ちて
「……契約、ですって? ええ! 望むわ! 私の全てを奪った者たちに、然るべき報いを与えたい!*貴方が、その力を与えてくれるのなら!」
トウヤは、その願いを一身に受け止めた。
あいわかった。ねだるな!勝ち取れ!さすれば与えられん!これで契約はなった。貴女の過去を断ち切るため、新たな生を与えよう。」
トウヤの無能力転移者人生は、この瞬間、最も破天荒な形で動き出したのだ。




