表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
路地裏で拾った女の子が断罪された貴族の令嬢だった件  作者: jairo
プロローグ:無能力転移者と王都の片隅
1/21

異世界、チートなしの半年間

処女作なので、生暖かく見守ってくれれば幸いです。

空は茜色に染まり、中世の石畳が敷き詰められた王都の裏路地には、夕暮れの陰鬱な色が深く沈んでいた。地面からは、酒場の生ゴミと埃が混ざり合った、生理的に受け付けがたい悪臭が立ち込める。


主人公トウヤ25歳。彼の現在の肩書きは「日雇い雑用係」。その魂の正体は、半年前、何の予告も予兆もなくこの世界に放り込まれた「無能力、無ステータス、無支援の三拍子揃ったハズレ転移者」だ。


転移して半年。トウヤは、毎朝目覚めるたびに舌打ちをした。夢にまで見た「スキルポイント」や「ユニークスキル」は、今日もまた彼のステータス欄に表示されない。(そもそもステータス欄もない)与えられたのは、世界言語の自動翻訳機能という、物語の序盤で当然付与される最低限の機能だけ。あとは、この世界に半年暮らしたせいで、栄養失調気味の平均的体力のみ。


「『女神様からのチートスキル付与』? そんなものは、創作の中だけの話だ。俺には、ユニークスキル:疲労蓄積』しかねぇよ!」


彼は、小説で見たような「万能の鑑定眼」や、「無限の魔力」どころか、せめて「疲労無効」すら発現しないことに、心の底から苛立っていた。異世界生活とは、スライムを倒してレベルアップする爽快なファンタジーはなく、重いバケツと汚泥を相手にする地道な肉体労働だったのだ。彼は、チートなしの自分の人生を「壮大なロマンス」ではなく、元の世界からの「ただの厄介なリストラ」だと自嘲的に捉えていた。


故郷の清潔で便利な生活や、スマートフォン一つで世界と繋がっていた日々を失った孤独は、絶望的なまでに重かった。その埋め合わせとして与えられるはずだった「英雄の物語」は、トウヤの人生には一向に訪れる気配がない。この世界には、魔王もいなければ、勇者もいない。魔法もなければ、魔物もいない。あるのは、貴族という名の傲慢な領主と、理不尽な税、そして貧困だけだ。

この半年の辛い生活で考える暇はなく、元の世界の事など完全に吹っ切れていた。


彼は、自分の未来に「劇的な展開」など、望むことをやめていた。ただ、今日一日の労働が終わった安堵だけを胸に、重い足取りで裏路地を歩き続ける。


だが、その諦観の視線の先にこそ、運命の特異点は潜んでいた。彼が足を踏み入れたこの裏路地こそが、彼の無能力転移者人生を、王国の根幹を揺るがす愛憎劇へと変貌させる、最初の舞台となることを、トウヤはまだ知る由もなかった。


彼の平凡な人生の歯車は、まもなく、この世界の理不尽な運命に弾き出された、一人の断罪された悪役令嬢によって、唐突に、そして最も危険な形で噛み合わされようとしていた。

この世界では貴族以外、家名を持たないため主人公は苗字を名乗っていません。

舞台は一般的な中世ナーロッパの設定として見ていただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ