選抜の闇 ―“影の七人”との初遭遇―
王を守る七人の影――通称「影の七人」。
その名を口にすることすら、学園では禁忌とされている。
彼らは制度そのものの化身。
“ルールを疑う者”に対して現れ、
裁きを下すために生まれた者たち。
---
> 反王連盟に入って3日。
俺たちはまず、“校内監視塔”の奪取に向かった。
そこには、学園のあらゆる監視網――
監視カメラ、魔術探知、感応スキャンが集約されている。
(ここを落とさなきゃ、王にバレずに動くなんて無理だ)
現地に踏み込んだ瞬間だった。
---
> 「警告:不正侵入者を確認。戦闘権限、発動」
地の底から響くような機械音。
その直後――
天井を突き破って、降り立ったのは、
全身を黒い装甲で覆った“影”のような人間だった。
「……まさか、いきなり来るとはな」
アッシュが言う。
「こいつが、“影の七人”の一人――
第七影、“ノーム”」
黒い仮面の奥から、機械のような声が響く。
「反逆者。即刻、排除対象と認定」
---
> ノームの異能は、“重力支配”。
触れた物質の重さを自在に変え、
戦場をまるごと制圧する能力。
地面が割れ、空気が沈む。
俺たちは一瞬で、“動けなく”された。
それでも、アッシュが叫ぶ。
「黒牙! お前は前に出ろ!
この程度の重圧、心まで押し潰されなければ――
異能は、応えてくれる!!」
---
> 全身が潰れるような苦痛の中、
俺は拳を握りしめた。
(立て、黒牙。
思い出せ――家畜だった日々を。
這いつくばり、泣いて、歯を食いしばった“地獄”を。)
その瞬間、異能が暴発した。
重力が逆転した。
ノームの周囲だけが、ふわりと浮き、
俺の身体は、空気を裂いて一直線に――
---
> ズガァァァァン!!
拳が、ノームの胸部装甲を粉砕した。
黒煙が上がり、ノームはその場に崩れ落ちる。
「……機体、損壊率97%……
判定――敗北。
貴様、“成り上がる”つもりか……」
そう言い残して、ノームは自爆するように消滅した。
---
> 俺たちは勝った。
だが、代償は小さくなかった。
通信塔の奪取は成功したが、
アッシュの左腕は砕け、仲間2人が重傷を負った。
それでも、彼女は笑った。
「これで……“始まる”わ。
本当の戦いが」
その時、端末に通知が入る。
「……っ!
黒牙、“王の側近”の1人が――
お前に、決闘を申し込んできたわ」
表示された名は、
“第二影・ミラージュ”――
それは、あの美優の名だった。