咆哮の契約 ―決闘と“王討伐計画”の始動―
地下深く、旧校舎の闇に包まれた闘技場。
ここは、ランク制度に弾かれた者たちが互いの存在を確かめ合う“証明の場”。
誰が味方で、誰が敵か。
それを“命”で語る場所。
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> 「黒牙、だったな」
嶺岸カルマは、鋭い牙のような笑みを浮かべた。
「お前、何人殺してきた?」
「……ゼロだ」
「なら、今ここで“初めて”をくれてやるよ」
空気が爆ぜた。
カルマの周囲に、黒い炎のような“呪気”が立ち昇る。
(この異能……感情を燃やして、身体能力を増幅するタイプか)
俺は冷静に見極める。
だが、次の瞬間――
視界が裏返った。
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> 「遅ぇよ」
頭を地面に叩きつけられた衝撃とともに、カルマの声が響く。
強い。規格外だ。
だが、違う――これは“経験”だ。
こいつは、
誰よりも多く“地べたを舐めて”生き延びてきた奴なんだ。
俺は、歯を食いしばって立ち上がる。
「ようやく立ったか。で? 反撃する気あるのかよ」
「ああ――
だって、俺はもう“豚じゃない”。
ここで倒れたら、誰が美優を取り戻す?
誰が澪を守る?
誰がこの腐った世界を、壊すって言うんだ!!」
黒牙の全身が、光のような異能に包まれる。
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> 「……ほう」
アッシュが呟く。
「あれは……“感応系進化型”。
感情を介して力を引き出す、超レア属性」
「それも、“怒り”じゃない。
“決意”だ」
黒牙の拳が、カルマの顎を正面から打ち抜く。
空気が割れ、場が震える。
カルマが倒れた。
沈黙――
そして、誰よりも先にカルマが笑った。
「ああ、そうだよ。
お前は“強い”んじゃない。
お前は、折れねぇんだよ……」
彼は、手を差し出した。
「ようこそ、“反王連盟”へ。
クソみたいな運命を、ひっくり返そうぜ」
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> その夜、連盟の奥で秘密会議が開かれた。
壁にかかるのは、1枚の地図――
学園の構造図と、王の居城とされる“最上階の塔”
「目標は明確。
“王”を討ち、ランク制を廃止する。」
「だが、そのためには――」
アッシュが指を1本立てる。
「“王の側近7人”を倒す必要がある。
彼らは、それぞれ異能を極めた化け物。
そして、その中に――
“ミラージュ”もいる」
黒牙の瞳が揺れる。
「あの女……俺に生きろって言って、消えた。
でも、それが何だ。
次に会った時は――全力で、ぶつけ合うだけだ」