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学園最強  作者: かなやわ
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産まれ い出たもの

()()を目視したのは生まれて5歳の時だった。

体に渦巻く力の激流、()()は5歳の体には収まりきらず僕のふた周りの大きさまで溢れていた。


祖父が言うにはどうやらコレは魔力と呼ぶものらしい。近くにいた祖父に体に渦巻くコレは何かと聞いた時、目が飛び出でるのかと思うくらいに目を開けて驚かれた。


魔力を目視できるのは10歳からで、早くて9歳からなんだとか。5歳で魔力を目視できるのは今まで2人ぐらいしかいなかったらしく、天才だ、神の子だと、祖父はもういいとし年だと言うのに、体のことなど忘れ、それはもう飛び跳ねるほど喜ばれた。


父母からも涙が出るほど喜ばれ、その日は皆で宴会をする程だ。


そして後日、せっかく魔力が見えるならと魔力の使い方が乗った本を持って、母が魔力の使い方を教えに来てくれた。


どうやら魔力には様々な使い方があるらしく「基礎魔法」「戦術魔法」「治療魔法」と言った括りに分けられているらしい。


例えば火を出したり水を出すなど様々な事ができるのが基礎魔法、それを火の火力鉄が溶解するほど上げたり、水の出力を岩が砕ける程上げたりと攻撃性に振ったのが戦術魔法。


そして治療魔法は傷を治すことだけしかできないらしく、使える人があまりにも少なすぎるのだとか。その代わり使える人はとても重宝(ちょうほう)されるらしい。


他にも魔力を体の表面に纏わせて鎧のようにしたり、魔力自体を剣の形にしたりと色々できるようだけど5歳の頭には難しく、かっこいいことしか覚えれなかった。それを母に伝えたところ、優しく微笑み頭を撫でられた。


色々教えてくれた母は最後に「魔法を使うのは10歳になって学校に入ってからよ」と言い残し、僕の頭を撫で家の家事をしに戻って行った。


だけど僕は、母が戻ってからも、魔法の使い方が載った本に釘付けになっており、母がご飯ができたと部屋に呼びに来るまで、数時間と本を読んでいた。


その日の夜は、早く魔法が使いたくて夜も眠れなかったのを覚えている。


それから数日間、僕はずっと本と向き合っていた。


何回も何回も同じページを読み返し、自分が魔法を使っている姿を妄想するのが日課になっていた。


それを繰り返してくうち、唐突に本に載っている魔法が全て使えるような気がした。


そしてそれをまた祖父に伝えた所、祖父の見てる前でなら魔法を使っていいと、それを聞いた母に怒られながら祖父が言ってくれた。


そして───────出来た。

それも全て、本に載っている魔法が僕には使えた。


そして、魔法には修練の末使える秘奥があるのだが、漠然とそれすらも使えるという確信が僕にはあった。


全能感。


父も母も祖父も、皆僕を見て畏怖していた。まるで違う生物を見ているかのような、格が違うものを見ているような、そんな目で。


そして僕もだ。僕も家族であるはずの皆を、優しい祖父を、温和な母を、屈強な父を、まるで違う生物を見るような、格が違うものを見ているような、そんな気持ちで見てしまった。


今まで、大好きだった人からそんな目で見られて、その事実を認めたくなくて、苦しくて全てに絶望する───────ことも無く。


めっちゃくちゃ振り切れてわがままになった。


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