結婚式で肝が潰れる
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今日は結婚式当日。結婚式と言っても、身内だけの話ではあるんだがね。これがマクファウスト侯爵家の跡取りとかの結婚式であるのであれば、大々的にやるんだろうけどな。
所詮は、分家の結婚式。来ているのは、マクファウスト侯爵と侯爵夫人。次期侯爵とその夫人。それと、近隣の町の代官が数人やってきている感じだな。
服は勿論、あれだ。毒の液体を吐くあいつの糸で作られた服だ。高い金を出して作らせたからな。それはもう、素晴らしい服装に仕上がっている。
染色されても、失わない光沢と艶。そして、耐久性に優れ、丈夫で美しい。さらには毒耐性まで持っているという優れもの。これが目立たない訳がない。
「ラウレーリン、そちらのドレスは何処で調達したのだ? 素晴らしい光沢と艶を持っているが。そのような報告は聞いていないぞ?」
「お父様にも言ってはおりませんでしたからね。ここでのお披露目を楽しみにしておりましたわ。これは、ヴェノムスパイダーの糸から作り出したドレスになります。赤に染め上げましたけれど、それでもなお美しい光沢が特徴的なものですわ」
「なんと。ヴェノムスパイダーを倒せる冒険爵が多く排出されていることは解っていたが、あれの糸にこれだけの価値があるとは。こちらでも入手を考えないといけないな」
「素晴らしいドレスですもの。他家の者も持っていないでしょうね。貴方、私のドレスもこれで仕上げてみたいですわ。きっと素晴らしいことになりますわね」
「うむ。注目を攫うのは簡単だ。それが、冒険爵がもたらしたものとあっては、他家も中々真似は出来まい。それで、生産量は、どのくらいあるのだ?」
「私のドレスとハインリッヒのタキシードを作るのにはヴェノムスパイダーを1体狩るだけで良いのですよ。巣の大きさが小さいものであれば、2体は倒さなければならないでしょうが」
「それでそれだけの量を確保できるのか。それは素晴らしいな。我が領内にあるというのが素晴らしい。既に職人も何人か抱え込んでいるのだろう? それらを融通してくれんか?」
「そちらからも腕の良い職人を何人か紹介してくださいね。こちらも、職人を減らし過ぎる訳には参りませんから。出来れば、輸出産業に育てて行きたいのでしょう?」
「そうだな。まずはミッチェルハーロウ公爵に売りに行くが、ゆくゆくは派閥の者に売っていきたいと思っている。それが可能な品だろうからな」
「そうですわね。これだけ素晴らしいドレスですもの。他家の貴族もきっと欲しがるでしょう。私も直ぐに欲しいですし、次の夜会までには、間に合わせたいですわね」
「お母様も欲しいというのは解りますわ。私もハインリッヒがこれは良いものだと仰っていなければ、知らなかったものですもの。他家の貴族家よりも先に行けるという事は、素晴らしいと思いますわ」
「ええ、誰もが製品を欲しがるでしょうけれど、難易度を考えれば、直ぐには無理だと考えるでしょうね。それとも、無謀な突撃をするのかしら?」
「冒険者の死亡率が上がるな。それは、良い事ではない。が、我が領内での冒険者の数は、増えて行っている。他家が没落していく分には構わないだろう。逃げる冒険者の受け皿にならなくてはならんな」
「そもそも、あの粘り気をどうにかする方法を知らなければ、ヴェノムスパイダーの糸とは解りませんけれども。まさかといったところでしょうし、冒険者に無謀な突撃はさせないのでは?」
「それもそうか。そもそも、ヴェノムスパイダーの糸だという事が解らんか。ラウレーリンの婿になったハインリッヒはよくも知っていたものだな。まあ、今更の事ではあるが」
「ええ、ポーションの事でさえ、色々とありましたからね。発想力に優れているというのは、大きな美点ではあります。これからも仲良くしていくのですよ?」
「勿論ですわ。アルローゼンを領都と見まがう所にまで押し上げる予定ですもの。この発展は、止めることを知らないですわよ? 領都を抜く日も近いですわね」
「流石にそれは阻止させてもらおう。ポーションのお陰で、冒険者が活性化し、冒険爵が数々誕生しているのは、領都も同じだ。まだまだ負ける気は無いぞ」
「ええ、でも私は、追いつけると思っておりますわ。知っていますか? アルローゼンでは、兵士がグランドドラゴンの討伐を果たしたのですよ? 兵士の質も上げていっているところですの」
「なんと。兵士がグランドドラゴンの討伐をなしたと言うのか。それほどまでに練度を上げてきているのか。これは、領都も負けてはおれんな」
「ふふふ、良いですわね。親子でこうしている分には、とても健全ですわ。最近は、本当に夜会がつまらなくなってしまいましたもの。派閥が強くなり過ぎましたわね」
「何。これからまだまだやれることは多くあるぞ。ハースベック王国での地位を確立させていくには、まだまだやれることが沢山ある。その為には、ラウレーリンにも動いて貰わねばな」
「ええ、お母様には申し訳ないですけれど、まだまだ動きますわよ。今の内に派閥を強くしておかなければいけませんもの。じっとはしていられませんわ」
うむ。こういう会話には、入っていけねえ。所々で俺の名前が出ていたけど、こっちに話が飛んでこないか、ひやひやしたぜ。肝が潰れる。重圧が酷いな。
何にしても、盛り上がっている。今後の事も決めていかないといけないしな。動き出すのには、どれくらいの猶予があるんだろうか。もう直ぐって感じなんだよな。
俺に出来ることをするだけなんだけどな。ポーションを作る事位しか、出来ることが無いんだよ。それで、とりあえずは良いとしてだな。今後の身の振り方よな。