冒険爵の誕生
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祭りが無事に開催されて、買い食いの真っ最中だ。この町には食べ物屋も多いからな。冒険者が食って酒を飲む場所が多いんだ。そういう所が外で店をやっているんだよな。
酒もまあまあの出来だろう。酒を作る職業があるのかは知らないが、まあまあの出来だな。昔と酒の味は変わっているが、これはこれで嫌いじゃない。昔の酒は葡萄酒だったからなあ。
これは何で作られているんだろう。苦みが少なく、飲み心地も悪くない。舌に纏わりつく様な感じがするが、悪いものじゃないな。中々に良い酒だよ。
あー、確職するなら、酒を作れる職業がいいなあ。色んな物で酒を作って飲み比べをしてみたい。色々な物で酒を作ってみたいな。何で酒を作るのが一番美味いんだろうか。
どの神様が来てくれるのか解らないが、酒造りをする為の職業を頼むぞ。金ならあるからな。酒道楽も悪くはないと思う訳だ。飲み足りないから飲むんだよ。良いねえ。夢が広がるねえ。
色んな食べ物、いろんな酒。祭りはこうでなきゃ楽しくない。祭りをしたことが無いと言うのも、もやっていたからな。年に1回の楽しみが無かったんだから、仕方がないよな。
叙爵の為のお祭りだという事は解っている。叙爵をするに当たっては、侯爵様が直々に、書類を渡してくれるらしいぞ。それは、中央広場で行われるんだそうだ。舞台も作っていたな。
忙しい侯爵様が時間を作って来てくれるんだから、有難い話なこって。領地内で冒険爵が増えると、何か良いことがあるんだろうか。良いことがあるんだろうなあ。
そうでなきゃ、書類を渡してはい終了となるに違いない。直々に会いに来たりすることは無いだろう。何か、領地内に良いことがあるのかもしれない。何の得になるんだろうか。
まあ冒険者が強くなるのは良いことだよな。グランドドラゴンを討伐出来るんだから、そこそこに強い冒険者であることは確定なんだから。猛者ねえ。昔は超級で止まっていたんだけどな。猛者になると、どうなるんだろうか。猛者しか行けない狩場があるんだろうか。
引っ越しされても、別に構わんよな。冒険者が減るって言っても、8人だけなんだからな。むしろ増えるだろう。叙爵の話が広まれば、俺も俺もと増えてくるに違いない。
冒険者が増えることは良いことではある。町の容量が溢れなければだけど。まあその辺は上手くやるだろう。でも、あの長官なんだよな。上手くやれるのかねえ。あれから一向に話が来ないし。
そう、来ないんだよ。来ると思ったんだけどな。頭を下げに来ると思ったんだよ。2か月分の儲けなら出しても良いと思っているんだけどな。頭を下げてくれたらの話だけどさ。
上から目線で言ってきた場合は、抜け穴を探すからな。なんとかして、抜け穴を探す。それか、盛大に巻き込むかだな。商業ギルドなんかは、巻き込まれたら困るだろうけど。
そこまでの力は無いと見ている。商業ギルドには勝てないだろうな。所詮は行政長官である。武力も無ければ、権力もそこまで持っていないだろうからな。
侯爵様には、報告がいっていると思うけども。いっていないとおかしいよな。黙っていたら首が飛ぶぞ？ どうするんだろうね。今回、侯爵様が来た訳だけど、報告、してるのかね。
権力者には言っておかないといけないことだろうからな。色々と言ったけど、覚えているんだろうな。どうだろうなあ。あの行政長官じゃあ駄目な気がするんだけど。俺の見込み違いなのかねえ。
おっと、そうしている内に、叙爵式の準備が整ったみたいな感じだな。舞台に人が上がり始めた。あれが、侯爵様かねえ。纏っている雰囲気が違うな。そこだけ別の世界みたいだ。
あれが、この地を治める貴族様か。悪い感じはしないな。醜く肥え太っている訳でもないし、鍛えられた体つきをしている。多少は下っ腹が出てきているが、そこは歳だからな。
50と少しって所だろうな。白髪が増えてきましたって感じだ。あえて染めていないのか。紫の髪をしているから、多少は白髪が目立つな。威風は凄まじいものがあるが。
初老と感じさせない佇まいが評価できる所だな。いい感じの威圧感を纏えている。貴族様は、多少は恐れられる程度で良いんだよな。権力ってそう言うもんだし。
「これより叙爵式を始める。此度はグランドドラゴンを討伐せしめた8人を新たな貴族として迎えることとする。冒険爵の爵位を授ける。8人は上に上がって来なさい」
わあーーーーーーーーーーーーー
一代限りになるのか、それとも、世襲するのかと言うのがあるんだが、基本的には冒険爵には世襲は無い。一代限りの爵位だ。世襲が出来るのは騎士爵からとなる。
貴族としての責務を全うし、冒険爵から騎士爵に昇爵することもあるそうなんだが、それは、冒険爵を得るよりも稀な事らしい。貴族を増やし過ぎるのもどうかと思う訳だが、貴族家は、取りつぶされることもままあるらしいんだよな。
このマクファウスト侯爵様は、そこそこに有能な貴族様らしいんだよな。冒険者ギルドと商業ギルドの評価なんだけど。特段、役職を貰っている訳では無いらしいが、地方の貴族としては大きいとのことだ。地方だったんだな。この辺は。
「この度は、グランドドラゴンを討伐せしめ、猛者の等級へと登り詰めた冒険者に、冒険爵を叙爵する。おめでとう。これからも良く励むように」
わあーーーーーーーーーーーーー
8人とも、同じような事を言われて、叙爵式は終了した。まあ、祭りは夜まで続くんだけどな。明日には残すなよ。仕事があるんだからな。特に冒険者諸君、飲み過ぎるなよ。
