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お題シリーズ4

信じられないクズ

作者: リィズ・ブランディシュカ



 信じられない事に、クズがいた。


 信じられない場所に、クズがいた。


 まさかこんな場所に、あんな信じられないクズがいるなんて思わなかった。


 だって、人の事より自分の命を優先するなんて。ありえない。


 俺達、そういう事やっちゃだめでしょ。


 いつだって、人の事を考えて生活していなくちゃいけないのに。


 この組織に入るとき、そう言われたじゃないか。


 ここにいるものは、みんなそう言われてる。


 それに実際に、そうあるのが普通の事なのに。


 なのに「死にたくない!」とかみっともない事を言って、逃げ出した。


 あの人は、とんでもないクズだ。


 でも、結果的にあの人が見捨てた人が助かって良かった。


 他の人が担当して、助けたから。


 良かった、ほんとうに。


 あのクズ、あんまり大した事がない腕をしていたから、あいつが担当していたら助かる命も助からなかったかもしれない。


 しかしどうしよう。


 信じられないほどのクズでも、ここの技術はあまり外に出してはいけないものだ。


 どうにか連れ戻さないとな。


 この医術組織に。


 はぁ、余計な手間をかけさせないでよ。






 俺は逃げた。


 逃げ続けた。


 なんで、みんなあんな目を向けてくるんだ。


 たった一度、自分の命を優先したくらいで。


 そりゃ、人を助けたいと思って、あの組織に入ったさ。


 医者になりたい、誰かの病気や傷を治したいって。


 でも、まさかあんな事が行われているだなんて思わないだろ。


 自分の命の力を使って魔術を使うなんて。


 そんなの嫌だ。


 そんな事したらすぐに死んでしまう。


 家族や友人ならともかく。


 何も知らない人間に、赤の他人なんかに、俺の命をさしだせるわけない。


 だから、俺は逃げる続けるんだ。


 俺をクズだといってくる、あんなおかしい場所にはいられないから。



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