表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四神七竜物語<序章序文>  作者: 凪藤丙丸
1/1

ある日の記録

神話であり御伽噺

その記録の一部


再生開始


記録開始

-----


この話を記録するにあたり、私はこの目で見た真実だけを記録していることをカルカノンに誓う。

私は…少なくとも、今ここにいる私自身は真実を、真実だけをここに残そうと思う。

あの禍の激流に耐え後年にこの記録を残せる可能性があるのは、ここしかないと思ったからだ。

いささか私は動揺している。

この記録を推敲している時間もないことを先に謝らせてほしい。それほどまでにあの禍は凄まじいものであったと察してもらえたら幸いだ。

結論から残す。すべてはあの門を開いたことが原因だ。

世界中があの男の甘言に疑いの目を向けず、心酔しきっていた。私も含めて。


-----

(ノイズにより判別不能)

-----


…門を開いたのは、文字通り「新世界」を求めたからだ。今思えば、新世界を求めていたのはあの男だけだったのかもしれない。あの男の望みを我々は「我々全員の共通の望みであると思い込まされていた」のかもしれない。いの一番に禍に巻き込まれたあの男がどこまでを考えていたのかはもう判らないが、もしかしたらそれすらもあの男の望みだったのかもしれない。


あの門、あれはあの男が見つけ出したものだ。決して我々が作り出したものではない。あれは「地下」から見つかった。…そうだ、あの男が調べろと言った場所から発掘されたのだ。

何故疑問に思わなかったのだ…?何故誰も、少しも疑問を持たなかった…?

…いや、今更考えても仕方がないか。

あの男は消える前、「あれ」が開け放たれた門から溢れ出ている所を見ながらこう言っていた「素敵だ、地獄門が開いた」と。

溢れ出たあれらは人々を、動物を、ありとあらゆるものを貪っていった。広がっていった。

私と一部の者は間一髪でここに逃げ延びた。

地獄門とは?

あれが地獄なのか?

あれが地の底の亡者共なのか?

くだらない!そんなわけがない!あれはあの男が作り出した新種の大量破壊兵器か何かなのだろう。そうに違いない。

そう思わなければ…私の研究は一体なんのために?


-----

(ノイズにより判別不能)

-----


…地上から通信があった。未だ生きている研究施設があったのか…

空の底が開いたと、言っていた。

歌声…?が聴こえると。

禍に飲み込まれていった筈の、あの男が笑っていた。


この記録は無駄かもしれない。たぶん無駄に終わるだろう。

ここもそろそろあれらの中に沈むそうだ。皆の諦めた声が聞こえる。

あの男…名前は「クラウス・フロント」

厭味ったらしい引き攣った笑顔の男だ。

もしもこの記録を見ることができた者は、どうかこの名を名乗る者に出会うことがあったら

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

(検閲)

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

私の名は「クレイ・アリプレイア」

最後に、青空が見たかった


O.D12257/12/12

記録終了



北方大陸北部遺跡群より出土した古代の記録機械から再生

中央統制局にて保管処理済み


以上











後の記録が再生可能になるまで

しばし待つ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ