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家電転移~永久名誉店員になった俺は家電の能力(チカラ)で異世界を救う~  作者: 宮地拓海


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19話 ファラウェイ・スマート入手作戦 ―3―

「みなさん! 女神はいつでもみなさんを見守っています!」


 行商人のところへ戻ると、アミューがカメラに向かって怪しい布教演説を行っていた。

 ……何やってんの、あの女神(ご本人)様?


「今みなさんがご覧になっているのは、女神の遺産の一つ『ファミリー撮っちゃお』です。このように、女神は不思議な力を数多く有し、みなさんの生活と平和を日々祈っているのです」


『守っている』じゃなく『祈っている』ってのが嘘じゃなくて好感持てるな。

 まぁ、「いや、守れよ」って言われりゃそれまでなんだが。


「ですが最近、女神への信仰が薄らいできています。そんなことでは、女神はみなさんを守りきれません。手遅れになってからでは遅いのです」


 不安を煽って信者を獲得するとか……悪徳宗教かよ。


「ですから、どこかで女神の力を感じ、『あ、女神様ちょっといいかも?』と思われた際は、どうか素直に心を開いて、『女神様いい感じ~』ないし、『テンションぶちアゲ~』と念じてみてください。あなたの信仰が、この世界を救う一助となると、わたしは断言します」


 ホント、お前への信仰って簡単でいいなぁ。

『テンションぶちアゲ~』で納得してくれる神様って、異世界中探してもお前くらいなんじゃねぇの。


 けどまぁ、謙虚な演説だったな。

 もし良かったら信じてください――そんな内容だ。


「信じないと、地獄に落としますYO☆」

「よし、そこはカットしようか」


 最後にとんでもないものをぶち込んできやがったな、この残念女神。


「アキタカさん!? いつからそこに!?」

「お前が残念なことを言い始めた時からだ」

「え、ずっとってこと?」

「残念じゃないことを言っていた記憶がない」

「酷いですよ、マーサさんもキティさんも!?」


 今カメラの前に立っていたのはアミュー一人で、マーサとキティはカルロの隣で録画中の画面を覗き込んでいた。


「なんなんだよ、今の宗教演説は」

「あの、実は……カルロさんが『ファミリー撮っちゃお』が女神の遺産であるとなかなか信じてくださらなかったので……」

「アミューが全部しゃべったのよ。自分が女神であることも」


 またか……


「そして、行商人カルロに指差して笑われていた」


 ……またか。


「けれど、懸命なる説得の結果、『本物なら国中の人に言葉を贈るべきネ! そうすれば、信仰もす~っぐに集まるネ!』と言われ、『なるほど、それはいいアイデアですね!』と」

「うん、遊ばれてたんだな、要するに」

「さすがアキタカね」

「鋭い」

「ふぇえ!? わたし、遊ばれてたんですか!?」


 本人だけが気付いていなかったようだ。

 ……こんな胡散臭い動画を流したところで、誰が信じてくれるんだよ。


「大丈夫ネ。今の動画、この馬車でずぅぅぅーーーーっっっっっと流し続けるネ。信者ざっくざくネ☆」

「そ、それはそれで、なんだか晒し者にされているような気がしてきました!?」


 気がするじゃなくて、確実に晒し者だろうよ。

 まぁもしかしたら、この国のどこかにアミューと同レベルの残念な娘がいて、「なるほど、そうだったんだー」と素直に信仰してくれるかもしれないけどな。どっちにしろ少数だろう。


「んふふ~ん☆ これで旅がちょこ~っちだけ楽しくなるネ」


 カルロ自身はお気に召したようだけどな、アミューの演説が。


「アタシ、アミュー女神様のファンになったネ。これからもどんどんオモシロ……頑張ってネ!」

「なに言いかけたんですか、今!? 面白いハプニング的なこと望んでませんか!?」

「アミュー女神様は、普通にしているだけで面白いネ☆」

「褒められた気が一切しませんけども!?」


 そりゃそうだろう。

 一切褒めていないのだから。


「とにかく、アタシは大変満足したネ。だ・か・ら~」


 によによと笑って、カルロが『ファラウェイ・スマート』を差し出してくる。


「これ、贈呈するネ!」

「いいのか? まだ全然撮れてないんじゃないのか?」


 俺がMPを完全回復するまでそこそこの時間は要したといえど、全部の商品の宣伝を撮影し終わるほどには時間が経ってはいないはずだ。


「う~ん……六本目あたりからマンネリというか、ワンパターンになってきて飽きちゃったネ」


 飽きたんかい!?

 いや、でもまぁ、しょうがないよな。


 やってみれば分かるけど、簡単そうに見えてかなり難しいんだよなアドリブでしゃべるのって。

 しかも、商品を売り込むためのセリフって限られてくるからさぁ。

 あぁいうのには、ベテランの技が必要なのだ。


 アミューのようなヘビーユーザーであっても、あの残念な体たらくなのだ。

 マーサやキティに期待する方が酷というものだろう。


「大切に使ってネ」

「おう。カルロもな」

「もちろんネ! アタシはこれで、世界一の行商人になるネ!」


 ちょこっと交渉に障害はあったものの、なんとか女神の遺産――『ファラウェイ・スマート』を入手出来た。

『ファミリー撮っちゃお』も残したままで、な。

 大勝利と言っていい収穫だろう。


 頑張った連中にねぎらいの言葉でもかけてやろうかとしたところ――


「じゃあ、アミュー女神様のいいブラ……『例の商品』の値段も、これでチャラでいいネ」

「ふぁああ!? それは今言っちゃダメなヤツですよー!?」

「「「お前のいいブラジャーの値段も含まれとったんかい!?」」」


 俺とマーサとキティが揃って、普段使うことのないような口調でツッコミを入れてしまった。

 ……あの女神の演説は、ブラジャーのためだったと知ったら…………信仰なんか集まらないだろうなぁ、たぶん。







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