2話 異世界のジョーシキ、ヒジョーシキ ―2―
【ステータスを確認しますか?】
その声に、俺は【はい】と応える。
【じゃあ、どうぞ】
「前にも見たわ、この流れ!」
くっそ。
そうなりそうな気がしたから、前回【YES】って応えたところを【はい】に変えたのに。結果一緒かよ!
「あ、あの、アキタカさん? 急にどうされたんですか?」
「いや、脳内に聞こえる声が変なこと言うからさ」
「え……脳内に、声が…………? ア、アアァァァア、アキタカさん……死亡のショックで……」
「いや、お前が与えた力なんじゃないのか、この天の声的な能力!?」
「あぁ、システムボイスのことでしたか……ほっ」
「俺的には『システムボイス』が聞こえるってこと自体が異常事態なんだけどな。頑張って慣れるよ」
そして、ますますゲームの世界に足を踏み込んでいっている気がしてならない。
「それで、システムボイスが言うには、ステータスを確認出来るらしいんだが?」
「はい。出来ますよ」
「もうほとんどゲームじゃねぇか……。やっぱりアレか? 『ステータスオープン』とか言うとウィンドウが現れるのか?」
「いえ。このステータス石版の上に乗って数秒経つと石版に文字が現れるんです」
「なんかアナログ!?」
そんなデカいアイテムが必要なのか!?
「仕方ないですよ。ゲームじゃないんですから」
「あのさ、八割くらいゲームっぽくて、微妙に面倒くさい感じで残りの二割が現実的なんだよね、この世界? ごめんね、イラッてする」
ステータスを見るためには、この体重計くらいの大きさと重さがある石版を持ち歩かなければいけないのか……この調子じゃ、異空間にいくらでもアイテムをしまっておけるアイテムボックスとかもなさそうだ。
で、この石版に乗って数秒待つって……それもう体重計じゃん。
「とりあえず乗ってください」
「土足でいいのか?」
「体脂肪を計りたい時は素足で」
「体重計なの!?」
「ステータス石版ですよ」
あぁ、もう!
深く考えるのはやめよう。
考えるのをやめて、ステータス石版へ乗る。
五秒ほど経った時『ぷにょ~ん』という奇妙な音が鳴った。
「『ピピッ』とかいう電子音がよかった……」
「電化製品ではありませんので」
魔道具とかいうアイテムらしいのだが……音の調整くらい出来るように進化させろよ。
そして、石版を持ち上げてみると、確かに文字が浮かび上がっていた。
『体重:62キロ』
「体重計じゃねぇか!?」
「あぁ、待ってください。別のページ開いちゃってます、それ。1ページ目を見てください」
言われたとおりに石版表面をスライドさせる。操作の感覚はタブレットPCのようだ。
新たに表示された画面には俺のステータスがきちんと表示されていた。
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アキタカ・ホンジョウ
27歳 男
職業:女神の使者
レベル:1
HP:26/34
MP:2/12
力 :16
体力:25
魔力:20
敏捷:10
幸運:10
スキル:【女神魔法】【ツッコミ】
称号 :【永久名誉店員】
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おぉっ!?
本当にステータスだ!?
体力が高いのは立ち仕事を続けていたおかげか? 力が低いのが気になるが。
あと、HPが減っているのと……スキルの【ツッコミ】が非常に気になる。
「スキルの詳細って見られないのか?」
「スキルをタッチすると見られますよ」
「ゲームじゃん!?」という言葉を飲み込んで、俺は【女神魔法】をタッチする。
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女神魔法:『女神の加護』消費MP:10(使用制限あり 残数/0回)
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なるほど。これもレベルが上がると使える魔法が増えていくのかねぇ。
……で、気になる【ツッコミ】をタッチ……と。
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ツッコミ:HPと引き替えに相手のボケに面白い感じの言葉を返すことが出来る
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怖っ!?
え、なに!? HP減るの!?
それでこんなに減ってるの!?
じゃあ、無計画にツッコミ続けると俺、死ぬの!?
「宿に泊まるとHPとMPは全回復しますよ」
「ゲームか!?」という言葉を、死に物狂いで飲み込んだ。
こいつ……わざと俺の命を削りに来てやがるのか!? アミュー、恐ろしい娘!
「とにかく、レベルアップは必須だと思うんです」
「あぁ、そうだな」
ツッコミで死にたくはないからな。
レベルを上げてHPをめっちゃ増やさなければ。
「で、レベルアップのためには、やっぱり魔獣とかを倒さなきゃいけないのか?」
「いえ。アキタカさんはわたしの使者ですので、わたしの力が増せばそれに伴ってレベルが上がります」
「つまり……」
「わたしへの信仰が高まれば、アキタカさんのレベルも自然と上がっていきます」
俺とアミューは、完全に運命共同体――ってわけか。
結局、俺はアミューの望むとおり、この世界の人間を救って、女神への信仰心を高めていくしかないようだ。




