17話 目覚める本能 ―3―
「とりあえず、ステータスの確認をしてみますか?」
すちゃっ! と、ステータス石版を構えるアミュー。
そうだな。このレベルアップでステータスがどこまで戻るかも見てみたいし。
ステータス石版に乗りしばし待つ。…………『ぷにょ~ん』
そして表示されたその数値は――
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アキタカ・ホンジョウ
27歳 男
職業:女神の使者
レベル:6
HP:72/72
MP:54/54
力 :28
体力:22
魔力:43
敏捷:30
幸運:14
スキル:【女神魔法】【ツッコミ】【ふしぎなおどり】【女神の騎士】
称号 :【永久名誉店員】【ふにゃ筋】【餌付けの達人】【敏腕係員】
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女神魔法:『女神の加護』消費MP:10(使用制限あり 残数/1回)
:『女神の加護(バッテリー用)』消費MP:10(使用制限あり 残数/1回)
:『女神の装具』消費MP:20
:『女神の分裂』消費MP:50
:『女神の増殖』消費MP:55
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また何か知らない称号が増えてるし!?
そしてMPの数値が嫌がらせとしか思えない!
あと1! あと1あれば『女神の増殖』が使えるというのに!
「すごいですね、アキタカさん。ステータスの上がり方がこれまでよりぐっと伸びてますよ!」
「確かに、今までは4とか5ずつだったのに、今回は二桁を越えてるのが多いな。体力も上がってるし」
下降の一途をたどっていた体力がここにきて上昇した。
MPの上昇率も大きい。
「一度上がったところまでは上がりやすくなってるのかな?」
「パンツのゴムみたいに、一度伸びたらすぐにだる~んってなっちゃうってことですか?」
「やめてくれる? 人のステータスをパンツのゴムに例えるの……」
誰のステータスが「だる~ん」か。
「ウチの患者さんに聞いたんだけどさ」
ここでマーサが別の解釈を寄越してくる。
「体力を酷使すると、その反動で体力は大きく増えるって言ってたのよ。だから、全ステータスが半減した反動で一気に伸びたのかもしれないわよ」
反動、か。それはあり得るかもしれない。
筋肉だって、酷使すればその分大きく膨れ上がるというし。
死にかけて復活すれば爆発的に能力が上昇する。そんな話も聞いたことがある。……アニメでだけど。
「もしくは……」
そして、キティが第三の可能性を指摘する。
「アキタカは、苛められれば苛められるほどその真価を発揮する派……」
「そんな派閥に入った記憶はねぇよ!」
「……うわぁ……」
「ないから勝手にドン引かないでくれるか、マーサ!?」
「えっ!? アキタカさん、ドMだったんですか!?」
「だからないって言ってるよね!? 『いやっふぉ~い! 死にかけひゃっほぉ~い!』とか、微塵も感じさせたことないよね!?」
「でも、アキタカ……残念ながら、数字がそれを証明しているから…………残念だけれど」
「残念なのはお前だ! いや、お前らだ!」
「でもまぁ、あれよね。キティの言ってる話も、あたしが聞いた『酷使するとパワーアップする』って兵士の話も、大きい括りで見ればドM要素満載だから、どっちも似たようなものよね」
「全然違うよ!? 医者ならもっと科学的根拠を持って話して!」
「でもでもまぁまぁ、アキタカさんなら……あり得なくもなくは……」
「ねぇっつってんだろ!? ねぇしか言ってねぇ!」
お前らは、どうしても俺をドMに仕立て上げたいのか?
酷使したらその分ステータスは上昇する!
これで決定!
異論は認めない!
いいね!
「いつの日か、アキタカさんのステータスに【ドM男爵】の称号が加わることが、あるかもしれませんね」
ねぇよ!
つか、男爵ってなんだよ。また微妙に「っぽい」名称を持ってきやがって。
「称号と言えば、新しく増えたこの称号はなんなんでしょう?」
アミューがさっさと【敏腕係員】をクリックして説明を表示させる。
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【敏腕係員】:無秩序な集団に対し、一定の権限を行使することが出来る。
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……なんだ?
村人を整列させたから発現したスキルなのだろうか。
あ、そういえば。
俺が怒鳴った時、村人が全員一瞬動きを止めて、それから俺の指示に従って整列したっけな……もしかして、これの能力なのか、アレ?
だとすると、『無秩序な集団に対し、一定の権限を行使する』ってのが理解出来るな。
「並べ」って言ったから並んだわけだ。
……これ、イドバシ時代に欲しかったなぁ。
「まぁ、またしてもしょーもないスキルですね」
「おい、アミュー! 『またしても』ってなんだよ!?」
と、反論してみたのだが……アミューがステータス石板上の【ふにゃ筋】という文字を指差していたので口を閉じた。
あれはダメだ。口論に持ち込んで勝てる代物じゃない。
問答無用でしょーもないスキルだわ、あれ。
けどまぁ、スキルの方は使えるのが多いから……あ、【ふしぎなおどり】はダメだな。
結構あるな、しょーもないの。
「ところでアキタカさん。混乱も収まりましたし、わたしたちも行商人さんのお店を見に行きませんか?」
「あぁ、そうだな」
ヴァンガード村早朝の乱(血眼のお客様VS整列と秩序を重んじる係員)が終息したこともあり、俺たちも店を見せてもらうことにした。
さて、どんなアイテムがあるのか……店員をやっていた者として少なからず興味がある。とくと見せてもらおうじゃないか。
俺たちは四人プラス一匹で連れ立ち、行商人の馬車へと向かった。




