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家電転移~永久名誉店員になった俺は家電の能力(チカラ)で異世界を救う~  作者: 宮地拓海


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16話 仲間に加わった、仲間に加わった ―4―

「それはそうとアキタカさん」


 さっきまで手と口周りがテカテカして袖口が汚れていたはずのアミューが、綺麗さっぱりした汚れ一つない顔で俺を呼ぶ。

 ……お前、どさくさに紛れて『女神の清浄』使ったろ? 袖口までシミ一つない綺麗さじゃねぇか。


「明日ここに、北の商人がやって来るそうなんですよ」

「北の商人?」

「なんでも、ここよりずっと北の方にある街からやって来る行商人みたいで、ヴァンガード村にも定期的に訪れているんだそうですよ」

「それって、村長たちが食料の買い付けに行ったって街か?」

「そこではない。北の街はもっと大きな歴史ある街」


 キティが心持ちキラキラした目で話に入ってくる。

 行商人の到着を期待しているようだ。


「世にも珍しいアイテムをたくさん持ってやって来る。半年に一度のお楽しみ」

「遠くの街の特産物とか、見てるだけで楽しいものね」


 マーサも覚えがあるのか、肯定的な意見を寄越してくる。


「北の海では美味しい海産物が獲れるっていうし、干物でもあれば買おうかしら」

「センセイ……オッサンくさい」

「だっ、誰がオッサンよ!? 貝紐とかが好きなだけよ!」


 うん。

 貝紐はそこそこオッサンくさいアイテムだな。もれなくビールが連想される。


「折角ですので、それを見てから旅立ちませんか?」

「そうだな。もしかしたら、俺たちの旅に役立つ物があるかもしれないし」

「貝紐って、保存も利くんだよ? 結構買い込んでも安心だと思う」

「私は、出先で使う毛布が欲しい。家のはもう古いから」

「ん?」

「え?」

「へ?」

「……え?」


 俺たち三人が目を丸くすると、キティも負けじと丸くする。


「……毛布がもう古い――というダジャレ、ではない」

「いや、そんなとこじゃなくてだな……」


 俺らがそんなもんに食いつくと思ってんのか。

 言われて初めて気付いたわ、そのダジャレ。


「キティ……ついてくる気、なのか?」

「…………え?」

「いや、ヴァンガード村はもう救われたし、神獣も見つかったから、お前らは村に戻るんだろ?」


 俺たちはヴァンガード村を救うためにここに留まっていた。

 キティには、神獣探しで協力してもらったが、それも達成出来た。

 つまり。


「キティは、もう俺たちに付き合わなくてもいいんだぞ」


 魔王の使者なんて危険なヤツが現れた今、キティを危険に巻き込むわけにはいかない。

 キティはまだ十四歳、未成年だからな。


「ぽんちゃんと一緒に、ヴァンガード村に戻って――」

「ぅにゃっ!?」


 今度は足下から素っ頓狂な声が聞こえてきた。

 えぇ……お前も来る気だったのか、ぽんちゃん?

 お前は神獣の森とヴァンガード村を守らなきゃだろう?


「うにゃっ! うにゃにょ~ん、にゃにゃっ、にょん!」

「ア、アキタカさん、ぽんちゃんが謎の言語を!?」

「あぁ、意味は分からんが、とにかく凄まじい気迫だな……!」


 頭をぶんぶん振り回し、うにゃうにゃ吠えるぽんちゃん。

 いや、なんとなく言わんとすることは分かるんだが……でもさぁ。


「ぽんちゃんは言っている。『ヘイユー。オイラがいないとMPの回復はどうするんだい? 減る度に眠るのかい? それとも、マブいナオンちゃんとご休憩としけ込むのかい?』――と」

「キティ……翻訳のつもりかもしれんが、後半のセリフはどこから湧いて出た発想だ?」

「パパが、よくそういう言葉を使っている」


 あのオッサン……

 マブいナオンちゃんって……

 しけ込むって……


「けどな。折角神獣が見つかったんだぞ。ぽんちゃんを連れて行っちまったら、また神獣が不在になるじゃねぇか」

「平気。今までいなくてもなんとかなっていたから」

「にゃぅっ!? …………くぅ~ん……」


 いらない子発言に、そこはかとないショックを受けたらしいぽんちゃんがうな垂れる。

 うな垂れるなら村に留まって神獣の必要性を訴えかけとけよ。


「が、がぅ!」

「ぽんちゃんは言っている。『いらない子でいいから一緒に行きたい』と」

「がう!」

「あ、認めちゃうんだ『いらない子』」


 そんなに一緒に来たいのか?

 そりゃまぁ、ぽんちゃんがいてくれるとすげぇ助かるけども。MPとか、俺の心の安寧とか。


「そしてぽんちゃんはこうも言っている。『キティと一緒でなければ、テコでもここを動かない』と」

「ふにゃっ!? にゃぅ、にゃう!」

「違うってよ」

「言ってい……るっ!」

「ひゃふっ!? …………が、がぅ」


 うわっ、ひでぇ。

 ぽんちゃんを脅迫しやがった。

 つか、地面に足「ずーん!」させた結果、カカトがちょっとめり込んでんじゃねぇか。踏み固められたカッチカチの土なのに。


「ぽんちゃんはともかく、あんたはダメなんじゃないの?」


 少し距離を取り、マーサが冷静な意見を口にする。


「あなたはまだ未成年なんだから。親御さんが許可しないでしょう? アキタカにしたって、あなたの命までは責任持てないだろうし」

「そ、そうですよ、キティさん。きっとお父さんのジローさんも反対されますよ」

「アミュー、ジョージだ、ジョージ。勝手に日本人にするな」


 お前は興味がないものにはとことん無関心だな。

 なんで自信満々で人の名前間違えられるんだよ。


「平気。ジローは私が説得する」

「ジョージだっつってんだろ!? お前は間違えるなよ、実の娘!」

「あのね、キティ……冒険って、『行きたい、連れてって』って言ったからって、『はいそうですか』って簡単に連れて行けるものじゃないのよ。わがまま言わないで」

「それをお前が言うのか、マーサ!? 自分のしたこともう忘れちゃった!? 結構強引だったよぉ!?」


 あぁ、もう。

 俺のHPがガンガン減っていってる!

 こいつら全員と旅したら、俺三日目くらいに死ぬんじゃないかな?



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