表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家電転移~永久名誉店員になった俺は家電の能力(チカラ)で異世界を救う~  作者: 宮地拓海


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/114

16話 仲間に加わった、仲間に加わった ―1―

「じゃあ、これから改めてよろしくね!」


 マーサが腕をしゅぴっと伸ばし、元気に挨拶してくる。

 心持ち、こちらの元気を吸い取る笑顔だな……押しつけがましいというか…………いや、言わないけどさ。


「まぁ、追い返す方が面倒くさいことになりそうなので、一緒にいるのはいいんですが」


 おい、女神(毒)。

 また毒のブレスが口から漏れ出してるぞ。


「でも、ニャーミックスの件はなんとかしないとダメですよね」


 随分と気に入ってしまったようで、マーサはニャーミックスを持ち出してきていた。

 四日四晩不眠不休で薬の作り置きを作ってきたと言うが……そんなもん、いつかは底が尽きてしまう。

 ニャーミックスは診療所に置いておかなければいけない物だ。


「とりあえず、返しに行こうぜ」

「え、でもさ、これがないと薬作れないよ? あたし、ナースたちみたいに筋肉ないし」

「…………ナースさんを一人派遣していただくというわけには?」

「アミュー…………」

「かっ、顔が怖いです、マーサさん!? そしてさりげにその顔を見せないようにアキタカさんに背を向けているところがしたたかです!」


 アミューが半泣きになっている。……どんな顔してんだよ、マーサ。


「っていうか、本体だけ持ち出しても使えないだろう?」


 このニャーミックス用のコンセントは、診療所の調合室に設置してきた。

 いくらニャーミックスが充電式とはいえ、そう何日もバッテリーが持つわけがない。精々数時間がいいところだろう。


「え? 一週間くらい外で使ってるけど、全然平気よ?」

「嘘だろ!?」


 そんなバカなと、ニャーミックスのバッテリー残量を確認すると――緑ランプ点灯。バッテリー十分の表示だった。黄色が『そろそろなくなる』で、赤が『要充電』なのだが……一週間経っても緑…………女神コンボ、マジですげぇな。


「もうね、あたしこれ無しじゃ生きていける気がしないのよね」

「あんま依存すんなよ」

「なによ! アキタカがくれたんでしょう!?」


 うにゃーうにゃーうにゃーうにゃー

 うにゃーうにゃーうにゃーうにゃー

 うにゃーうにゃーうにゃーうにゃー

 うにゃーうにゃーうにゃーうにゃー


 だから、肉球でほっぺたをこねるな!

 ……ったく。

 結局、ニャーミックスはどっちにも必要ってことか。


「分かった。じゃあ、増やすか」


 と、念のためにアミューに確認を取っておく。


「そうですね。ニャーミックスは多くある方が人助けに役立つでしょうし」

「へ? 増やせるの?」

「あぁ。新しい女神魔法を覚えたんだよ」

「そうなんです! 奇妙な歌と不思議な踊りでアイテムを増やす魔法なんです!」

「そっちは使わねぇよ!」


 何がなんでも『女神の増殖』で増やしてやる!

 一個増えたらすぐ止めてMPも節約してな!


「……あっ!」


 そこで俺は思い出した。

 システムボイスの言葉を。



【受諾――。能力の半分を対価に新しいスキル『女神の騎士』を入手します】



 たしかそう言っていた。

 能力の半分……一体、どうなっているんだろうか?

 というか、【女神の騎士】ってのはどんなスキルなんだ?


「アミュー。ステータス石版を出してくれないか?」

「へ? あぁ、そうですね。MPの残りを見ないと、また倒れちゃいますもんね」


 いや、それもあるんだが……


 アミューの出したステータス石版に、緊張しながら、乗る。

 数秒待って、『ぷにょ~ん』という奇妙な音と共にステータス石版に表示されたのは、ある意味予想通りで、結構ショックな数字だった。



******


 アキタカ・ホンジョウ

 27歳 男 

 職業:女神の使者

 レベル:5


 HP:18/40

 MP:52/34

 力 :15

 体力:10

 魔力:27

 敏捷:11

 幸運:8


 スキル:【女神魔法】【ツッコミ】【ふしぎなおどり】【女神の騎士】

 称号 :【永久名誉店員】【ふにゃ筋】【餌付けの達人】


******


 女神魔法:『女神の加護』消費MP:10(使用制限あり 残数/0回)

       :『女神の加護(バッテリー用)』消費MP:10(使用制限あり 残数/0回)

       :『女神の装具』消費MP:20

       :『女神の分裂』消費MP:50

       :『女神の増殖』消費MP:55


******



 ぅあ……弱ぇ…………


「ほにょ!? な、なんでアキタカさんのステータス、こんなに減ってるんですか!?」

「ちょっと、アミュー……驚いたのは分かるけど、変な声出さないでよね」

「ふへぃ!? わたし、変な声なんて出してないですよ!?」

「いや、今めっちゃ出てたから!」

「もにゅん!?」

「そこまで行くとさすがにわざとでしょう、あんた!?」


 あぁ。マーサがいてくれると俺のHPの減少抑えられるかも……ツッコミ的な意味で。

 ……もうすでにかなり減ってるけどな。


「新しいスキルを獲得する代価、らしいんだが」

「新しいスキル? ……あっ!? 本当ですね、なんか増えてます!」


 アミューが【女神の騎士】を見つけ、そこをタップする。

 そうするとスキルの説明が表示される。



******


【女神の騎士】:女神の身が危機にさらされた時、その危機の大きさによって数倍から数十倍にまでステータスを上昇させる。ただし、【女神の騎士】は自動発動となり、任意での発動は出来ない。


******



 お……おぉう。

 なんというか…………

『アミューを助けるためにパワーアップして、その身を呈して守ってみせるぜ』的なスキルで…………ちょっと、恥ずかしいな。


 確かに俺は願った。

 あの時――自分の死を直感したあの瞬間――どんな対価でもくれてやるから、アミューの涙を止める力を俺に寄越せと。

 ……だからこそ、余計に恥ずかしい。

 テンションマックスの時の発言を、素面に戻った時に見せつけられているようで…………むゎぁあああっ! 恥ずい!


「アキタカさん……これって……」

「あ~……いや、ほら……あれだ、うん」


 じっとこちらを見つめるアミューに、ついつい視線が逃げる。


「魔王の使者がとんでもなく強かったからな。こっちも、何かしら対抗策が欲しかったというか……ほら、俺女神の使者だから」

「アキタカさん……そのためにステータスを…………」


 泣きそうな顔をして、アミューが唇を噛む。

 泣きながら謝ったりしそうな雰囲気だ。「わたしのせいで、すみません」と。

 けれど、その口が開かれた時に出てきた言葉は、謝罪ではなく――


「ありがとうございます、アキタカさん」


 ――アミューらしい、感謝の言葉だった。


「わたしのためにステータスを減らして……『女神の増殖』ではなく、『女神の分裂』しか使えないMP量に」

「なぬっ!?」


 ぅわあああ、マジだ!?

 MPが52しかない!

『女神の増殖』MP55使うのに!


 つか、MPの残量がおかしい!?

 MAX超えてんじゃん!


「おそらく、最大MPが半分になる前のMPがそのまま残っているんですね」

「そんなことあり得るのか?」

「アキタカさん…………『表面張力』――って、知ってます?」

「いや、たぶんそれじゃ説明つかない現象だと思うぞ、これは」


 物っ凄いドヤ顔のとこ悪いんだけどさ。

 MPの表面張力って……


 けれど、もしアミューの言うとおりだとすると、HPの残りが妙に少ないことにも納得出来る。

 ステータスが半分になった時、俺のHPはほとんど残ってなかっただろうし、そのあとでサスーンポーションによって回復したのであれば、最大HPまでしか回復せず、そこまで派手にツッコミをしていないにもかかわらず現在HPの残りが18しかないのも頷ける。


「ってことは、今MPを使っちまうと、レベルが上がるまで『女神の分裂』も『女神の増殖』も使えなくなるわけか」

「それは、少し怖いですね……」


 一度使えるようになった能力を封じられるというのはとても恐ろしいことだ。

 もしまた、今回『サンバ』を増やしたように複数の家電が必要になった時に悔んだりするかもしれない。

 レベルは5のままだ。レベルも一緒に半分になっていてくれれば幾分か楽だったかもしれない。

 レベルは、高くなるほどに上がりにくくなるものだからな。


「違う町へ行き、信仰を集める必要がありそうですね」

「そうだな。……困ってる人を求めるってのは間違ってんのかもしれないが……大量に困ってる人がいてくれればいいな」

「そうですね。なんかいい感じで困っている、信仰に興味がなかったけれど助けてくれるなら信じちゃうっていう素直な人たちがいっぱいいてくれることを願いましょう!」

「ねぇ……なんか、あんたたちってさぁ、胡散臭い新興宗教の勧誘員みたいよね」

「そ、そんなことないですよ!?」

「いや、そんなこともなくもなくは……」

「小声で否定を否定しないでください、キティさん!? ちょっと傷付きます!」


 アミューにマーサにキティ。

 三人揃うと姦しいっていうのは本当だな。

 なんて思っていると――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ