1話 女神の遺産と女神魔法 ―1―
光のドアが開かれる。
その先に、光の道が続いている。
その道を歩きながら、今後の行動について話を聞く。
「まずは、とある国の王様に会ってもらいます。その国は、力こそすべてという国風で、国王はその身一つでドラゴンや魔獣をばったばったと薙ぎ倒してきた歴戦の勇士なんです。怒らせると怖いので、気を付けてくださいね」
「歴戦の勇士……って!? 魔獣!? ドラゴンとかいるの!?」
「はい。剣と魔法を駆使して、人族と魔族と魔獣が縄張り争いしているような世界です」
家電があるような現代社会じゃないのか!?
「大丈夫です。家電もありますから」
何が大丈夫なのかまったく分からないのだが……
「話は大司教を通して付けてありますので、いきなり攻撃されたりすることはありません」
「安全……なんだな?」
「はい。それに、わたしもいますし」
まぁ、女神がいれば下手なことは出来ないか……
「あ、でも。わたしが女神だということは内緒にしてくださいね。いろいろ厄介なことになりますので」
極秘降臨ってわけか。
まぁ、女神の力を悪用しようってヤツに狙われても煩わしいもんな。
「分かった。じゃあ、俺たちの関係は?」
「主人と従者にしましょう」
と、自分→俺の順で指を差して言う。
「分かった。俺たちは主と従者だ」
と、俺→アミューの順で指差して告げる。
「はい! ……え!? わたしが従者ですか!?」
「その方が隠しやすいと思うぞ」
「むむむ……確かに……」
なんとか理由をつけて納得したらしいアミュー。
異世界では俺の従者として振る舞ってくれるらしい。
「では、行きましょう」
アミューに先導されて、俺は光の道を抜ける。
光の先にあったのは、とても豪華……とは呼べない建物で、一応は礼拝堂のようである。……のだが。
「どこの片田舎に出たんだ?」
「なっ!? し、失敬ですよ。これでもこの国で二番目に大きな教会ですのに!」
これで二番目!?
「……あんまり、信仰されてないんだな」
「うぅ……気にしていることをはっきりと…………」
どうやら、アミューはあまり自分の世界の人間に信仰されていないらしい。
大司教とか言ってたけど、全員が役職持ってる程度の少人数なんじゃないのか、信者?
「とりあえず、我が女神教はわたしたちの味方ですので、安心して接してください」
そう言うアミューの言葉通り、教会の人間は俺にも最大限の敬意を払ってくれた。
ただし、教会関係者以外にアミューのことは秘密。それは絶対守ってくれと念を押された。
それから教会の人間に連れられて国王のもとへと向かう。
てっきり、華やかな王都にでも案内されるのかと思いきや、石造りの強固な砦のような場所へ連れてこられた。
「こんなところに国王がいるのか?」
「はい。少し特殊な事情を持った国なんです……とにかく、会ってみてください」
アミューに言われて砦の門へ行き、そこにいた兵士に謁見の間へと案内してもらう。
大きな扉をくぐり謁見の間へ入ると、三段くらい高くなった場所にある玉座にサイボーグかと言いたくなるようなガタイのいい大きな男が座っていた。
立てばおそらく2メートルを越えるであろう身長。全身を守る強靱な鎧のような鍛え上げられた筋肉。
そして、幾千もの死闘を繰り広げてきた者だけが得られる威厳と風格。
目の前に鎮座する男は、紛れもなく歴戦の勇士であり、国王だった。
「よく来たな、女神の使者よ」
女神の使者というのは俺のことらしい。
この世界を救う、女神の使者だと。
が、そんなことより何よりも気になるのは…………
国王陛下、マッサージチェアに座ってらっしゃる!?




