第十四話 シーズンイン
やや雲があるものの快晴と言って差し支えない天気と寒い時期でも緑を残す針葉樹、そして一部に茶褐色が残るものの視界の半分以上を占める白い光景。気温は恐らく一桁台であろうが、白い世界においてはむしろ高い温度である。それでも一般的には底冷えがしてもおかしくない程の寒さではあるのだが、まだ東の高くない位置にある太陽がそんな光景を鮮やかに映し出し、そこにいる人々の笑顔をより鮮やかに引き立てることによりそんな寒さを感じ忘れさせてくれる。
十二月のとある週末、天候に恵まれた一面の銀世界を訪れた人々に惜しみなく晒しているのは新潟県にあるかむらスキー場である。群馬県と新潟県の県境よりもやや北に位置するこのスキー場の営業開始はこのエリアでは一番早く、十一月末頃から待ちきれない雪山愛好家を招き入れる。このかむらスキー場は広大なエリアと高い標高で本格的な冬を前にしているとは思えない程の雪質と積雪を誇っている。その豊富な積雪により、オープン当初から大きなパークエリアやコブ斜面、また幅の広い緩急がついたバーンなど、ハイシーズンと比較しても遜色がない。そのため基礎やモーグル、パークなどの愛好者などが集まるゲレンデとなっていた。
じゅんはそんなかむらスキー場をゴンドラの中から眺めていた。徐々に見えてくるゲレンデの時期外れの白さと広大な規模、そこに集まる人の多さに圧倒され、溜息と共に感想を漏らす。
「エリー、見てよー!十二月になったばかりなのに凄い雪だねー!」
「本当ですね。私もこの時期にゲレンデに来るのは初めてですから圧倒されてしまいますよ」
じゅんに呼びかけられたエリも平静を装いながらも素直に感想を答える。
「ねー!凄いねー!びっくりだよ!」
「分かったから少しは落ち着いてください。ゴンドラが揺れているではありませんか!?」
あまりにもはしゃぐじゅんを窘めるエリだが、効き目はほとんどない。そんな二人をやれやれと言った様子で見守るセミロングの女性が口を開く。
「ちょっとは落ち着きなよ、じゅん。ゲレンデは逃げないよ」
「でもさ、春美ちゃん。まだ十二月なのにスキーが出来るなんて思っても見なかったからさ。昨日だって興奮して寝れなかったんだよ」
興奮するじゅんは春美の言葉によりますますその興奮を加速させていく。そこにもう一人の女性、ショートカットの女性がじゅんを諭す。
「じゅん、これ以上騒ぐなら今日はパーク禁止」
「そんなぁー、葉流ちゃーん・・・」
葉流の言葉に思わず情けない言葉を出すじゅん。しかし追撃を緩めない葉流からじろっと音が聞こえてきそうな目つきで容赦のない言葉が飛ばす。
「・・・何か文句でも?」
「わ、分かった!静かにするからそれだけは勘弁して!」
「約束できる?」
「うん!」
葉流の一言でようやくゴンドラ内に静寂が戻る。しかし言葉こそ発さないものの、そわそわと言う擬音が見えそうな程に目を輝かせてゲレンデを見つめ続けるじゅん。そんなじゅんの様子を見て、春美、葉流、エリの三人は視線をあわせると再びやれやれと言ったように肩を竦めるのだった。
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ゴンドラに乗っているのはじゅん、エリ、春美、葉流の四人である。元々春美とゲレンデに行くことに決まったいたところで、今回のメンバー以外にも晴子やゆき、バイトの先輩であるしずく、そしてレイにも声を掛けたのだが。
「ごめんね。その日は親戚のおじさんの家に行くのー」
「その日は大事な用事があるからごめんなさい」
「嬉しいけどもその日は予定があるんだ。すまないな」
「・・・誘ってくれてありがと。でもやっぱりごめんね」
と、それぞれ断られてしまった。因みに上からゆき、晴子、しずく、レイの断り文句である。そんな中、エリと葉流の二人は。
「行きます!ぜひスキーボードでゲレンデを滑ってみたいんです!」
「・・・お手並み拝見」
と誘いに乗ってくれて、異色の面子ではあるがこのメンバーでのゲレンデ行きが決定しのだった。
早いところでは十月末にはオープンするゲレンデがある中、滑るのを待ちきれないじゅんは春美とのメールで再三ゲレンデへ行きたい旨を伝えていた。しかしいくら早くからオープンしているとは言え、そのスキー場のほとんどは人口降雪機などによる人口雪で半ば無理矢理オープンしているところが大半である。そのためそう言った早い時期から営業を開始しているスキー場は滑走するためのコースを維持するのが精一杯となり、そのコースですら通常営業時の半分程度の幅しかない。パークを滑りたいじゅんにとってはそれではとても物足りなく、そんな説明を春美から受けて仕方なく待ち続けていたのだ。
このかむらスキー場は前述の通り、スキー場の中でも比較的早い時期から営業開始するのだが、特筆すべきは営業開始時から天然雪なのである。これは山深い場所と高い標高と言う立地条件によるものなのだが、そのため営業開始と共にパークも同時にオープンするのである。
そのことを知っていた春美はこのゲレンデがオープンするのを待って、ようやくゲレンデ行きを決めたのだ。
◇◆◇◆◇◆
「やっと着いたね!先に行くよー!」
長いゴンドラ移動から開放されたじゅんは飛び出すようにゴンドラを降り、駆け足でゲレンデに向かって走っていた。じゅんのウェアは昨シーズンと同じく白いウェアと黒いパンツ、頭には白を基調とした柄の入ったニット帽タイプのビーニーにゴーグルを引っ掛けている。腰にはお気に入りのパンダの小物入れが走り出すじゅんの動きに合わせて忙しそうに揺れていた。
ゴンドラステーションから屋外に飛び出したじゅんは思わずその場に佇んでしまう。ゴンドラから眺めていた光景はどこか遠い別世界のように感じていたのだが、改めてその場に立ち、ここが待ち焦がれていた銀世界であることを実感すると突然知らない世界に連れて来られたかのように何とも不思議な気分になっていた。
「・・・ここがかむらスキー場か」
「ちょっと待ってくださいよ、じゅん。スキーブーツのまま走ったら滑って危な・・・」
後ろから早足で追いかけるエリ。やや光沢がある濃いカーキ色のウェアとアームストラップでぶら下がっているウェアと同系色のミトンタイプのグローブが元々スノーボードをやっていたと言う面影が残る。頭には明るめのパープルニットにじゅんと同じくゴーグルを引っ掛けている。ウェアの色合いに対して明るいニットが嫌味なく引き立ち、エリの大人びた容姿をより一層引き立てていた。
目の前でじゅんが立ち止まり、ようやく追いついたその背中に向かって声を掛けるのだが、じゅんが足を止めた場所まで来て同じように目に飛び込んできた風景を見て思わず言葉を止めてしまう。
「来たんだね・・・」
「そうですね・・・」
「おっきいね・・・」
「そうですね・・・」
「広いね・・・」
「そうですね・・・」
「・・・エリ、さっきから『そうですね』しか言ってないよ?」
「そうですね・・・、あっ・・・、ホントですね」
広大な銀世界に心を奪われていたのも束の間、二人は他愛もないやり取りをして顔を見合わせてくすくすと笑いあっていた。そんな二人の後ろから春美と葉流が四人分の板を抱えて歩いてきた。
春美と葉流のウェアは先シーズンと同じくスタジアムジャンパー風のウェアに薄い水色のだぶだぶ目のウェアである。ただ先シーズンと異なるのは、今回はしっかりと頭にヘルメットを装着している。二人ともグレーのつば付きヘルメットを被り、ヘルメットにはゴーグルが引っ掛けられていた。春美はヘルメットの後ろから伸びる髪で女性だと人目で分かるが、葉流はショートカットなので髪は全てヘルメット内に収まり、だぶだぶ目のウェアのせいで女性特有のラインも分かりづらく、遠目から見ると少年のようにも見える。しかし全体的に先が細く少年にしては小柄な点でようやく女性と認識出来るが、恐らくエリと並べばどちらが年上に見えるかは言わずもがなであろう。
春美はゲレンデに感動する二人のすぐ後ろに立つと、自分のスキーボードのビンディングに指を引っ掛け背中に回す。抱えていたじゅんのスキーボードは反対の手で地面に立て、道行くか弱い女性に絡む柄の悪い不良のようにじゅんに声を掛ける。
「おーおー、二人とも随分と楽しそうだねー。こっちはお蔭様で大荷物だよ」
興奮の余り駆け出したじゅんとそのじゅんを慌てて追いかけていったエリはスキーボードを持っていくのを忘れていたのだ。
「へっへっへ・・・、ようやく買えたって言うこのスキボがどうなってもいいのかなー・・・」
そう意地悪く笑うと立てていたスキーボードを蹴る真似をする。今までの感動なぞどこへやらと言わんばかりに飛んできたじゅんは慌てて春美が立てているスキーボードにすがるように取り付き、必死になって春美の蛮行からスキーボードを守っている。
「私の大事なスキボがー!」
「そんな大事なものを忘れるヤツはどこのどいつだ?」
すがってきたじゅんにスキーボードを預けると、空いた手でじゅんの頭にチョップをお見舞いする。
「ごめんなさーい!」
「分かればよろしい」
ようやく解放されたじゅんは改めてスキーボードを受け取ると、先日購入したばかりの自分のスキーボードをうっとりと見つめていた。
じゅんは春から始めていたバイトで貯めたお金で今回のスキーの直前に自分のものとなるスキーボードを購入したのだった。長さは九十九センチ、樹脂製の非開放式ビンディングに足に巻きつけるタイプのリーシュコードを装着した一般的なスキーボードである。本当は別に欲しいタイプがあったのだが、予算の関係でとりあえず中古品のこれを購入したのだが、それでも初めての自分のスキーボードである。愛着がないわけがない。暫く一緒にゲレンデで苦楽を共にする相棒であることを改めて認識すると、ようやくゲレンデに来れた感動と相俟って思わずゲレンデに向かって駆け出してしまったのである。
エリも同じタイプのスキーボードを購入しており、エリ自身も気持ちが高ぶっているのを自覚していたのだが、じゅんを嗜めることにより自分自身を抑えていたのだ。実は先ほどゴンドラからじゅんを追いかけたのも、早くゲレンデに立ちたいと言う気持ちをじゅんを追いかけると言う良い口実でカモフラージュしたもので、結局エリも表面に出さないだけで充分に興奮していたのだ。
葉流は春美と違い静かにエリにスキーボードを渡すが、エリの手がスキーボードに掛かると敢えて手を離さずにいた。その様子に気付いたエリが冷や汗を流しながら『あのー』と申し訳なさそうに葉流を見ると、葉流はちょっとだけ口元を動かしてエリに宣言する。
「二人とも、後でお仕置き」
横で葉流の宣言を聞いていたじゅんは、後で転倒しようものならいつも以上の雪飛沫の洗礼を受けるであろうことを想像する。そんな近い未来のに自分を想像しつつ、やや引きつった笑いを顔に浮かべるじゅんであったが、エリはその意味が分からない。それが幸せなことかどうかは後からエリ自身が身を持って体験することとなる。
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三十分後、四人はリフトを乗り継ぎ、現在営業している一番山頂のエリアに来ていた。ようやく始まるシーズンを楽しみに待ちわびていたじゅんにははち切れんばかりの笑顔が浮かんでいる。晴子と葉流はじゅん程ではないが、やはりシーズンが始まる喜びをやわらかい笑顔で示している。一方エリと言えば・・・。
今までスノーボーダーであったエリはウォータージャンプからスキーボードを始めたので、スキーボードでゲレンデで滑走するのは今日が初めてである。もちろんスキーボードは楽しみであり、スノーボードから転向したことに後悔はない。しかし、それと初めてのスキーボードの滑走に恐怖感がないと言えば嘘になる。顔に笑顔を浮かべているものの、その笑顔は強張ったものであり口数も少なくなっている。
その様子に気付いた同じく元スノーボーダーの春美がエリの背中をどんと叩きながら気合を入れる。
「大丈夫か!?顔が強張ってるぞ!」
「春美さん・・・、だ、大丈夫ですよ。スノーボードの時はこれくらの斜面は普通に滑っていましたからね。も、問題ないですよ」
エリが問題ないと言う斜面は確かに斜度としては緩やかであり、よほどの初心者でない限りは転倒することはないであろう。しかし今まで横向きで滑っていたスノーボーダーが縦に滑ると言うのは何とも言えない恐怖感がある。そのことを実体験として知っている春美は突然エリの肩に手を回し、顔と顔を近づける。
「ひゃ!な・・・!春美さん!?」
「まあまあ、落ち着きなって。まずは深呼吸して」
顔が近いため動きがかなり拘束されてしまっているが、言われたとおりそのままの体勢で深呼吸をする。すると無意識で全身に込めていた緊張が少し緩んだような気がした。
「よし!さぁ、いいかい?体勢が横と縦の違いはあるけども、重心の取り方はほとんど変わらないんだよ。ウォータージャンプのアプローチでは真っ直ぐ滑れただろ?それと同じだよ」
「は、はぁ・・・」
気のない返事をするエリに葉流とじゅんも近寄ってきてアドバイスをする。
「最初はしっかりハの字で減速しながら滑るといい。余計なスピードは恐怖心を生む」
「板が軽くて凄く動きやすいから大丈夫!私なんて最初から滑れたんだから。今までスノボやってたエリならきっとすぐにスキボも滑れるよ!」
「皆さん・・・」
三人が三様のアドバイスを投げかけてきたことに思わず胸が熱くなるエリ。そこを最後のとどめとばかりに春美が声をあげる。
「スノボと同じく顔だけはしっかり進行方向をむけとくんだよ。行きたい方向に顔と気持ちを持っていけば、スノボをやっていたなら感覚的にターンも出来るはずだからね」
「・・・はい!」
「もしそれでも転びそうになったら、逆らわず大人しく転ぶんだよ。手をつかないようにするのはスノボと同じだからね」
「分かりました!」
「よし!行けるね!?」
「大丈夫です!」
これらアドバイス、実は大きなきっかけになるようなことは大して含まれていない。その内容は元々エリ自身も分かっていたことである。それでも三人が優しく、そして熱く自分を元気付けてくれたこと、それが胸に響いたエリはそれだけで何とかなる気がして、春美の最後のアドバイス、そして呼びかけに自信を持って頷く事が出来ていた。
「本当に危なくなったら転ぶんだよ、分かった?」
ニヤニヤしながらアドバイスのようなものをくれるじゅんの笑顔が若干気になるのではあるが・・・。
◇◆◇◆◇◆
昼頃までは春美の指示で身体慣らしとしてひたすらフリーランを繰り返していた。パークが午前中はメンテナンスのため閉鎖していたせいでもあるのだが、いくらウォータージャンプでキッカーに慣れてきたとは言え、ゲレンデで滑ること自体が久しぶりであり、ましてじゅんに至っては実は滑走自体が片手で数える程度の経験しかない。まずは身体を慣れさせ、少しでも滑走の経験を積ませようという春美たちの意図には何の他意もない。
エリは結局滑走して最初のターンで転倒してしまった。スノーボードの感覚で速度に釣り合わない身体の倒し方をしたからである。転倒したエリに向かって蟻が菓子に群がるように一斉に駆け寄り、順番に大きな雪飛沫を浴びせる三人。その中でも一番派手で容赦ない雪飛沫を浴びせたのは今日一番興奮しているじゅんである。驚くエリに向かってわざとらしく『大丈夫だった?』などと声を掛けるじゅんの笑顔は本当に楽しそうであった。
ウインタースポーツの経験がない者であればこの仕打ちに怒ったり、或いは落ち込んだりするかもしれない。しかしじゅんは失念していたがエリのウインタースポーツ経験は実はじゅんよりも遥かに長い。家族ぐるみでスノーボードをしていた際にもこのような経験は多々積んでいた。いや積まされていた。
やられたような何とも言えない表情を浮かべながらも、内心ではこの満面の笑みを浮かべる元気スキーボード少女に密かに反撃を誓い、慣れないスキーボードの滑走を全力で習得しようと言う強い想いを胸に秘め、いつチャンスが訪れてもいいように全力で滑走するじゅんの後ろを必死についていくのであった。
奇しくも、この誓いがエリのスキーボード上達に大きく貢献しているのだが追いかける本人も、追いかけられるじゅんもそのことに気付いていない。二人の後を雪の感触を楽しみながらのんびり滑る春美と葉流はいつかのことを思い出すようにじゅんたちの滑りを眺め、懐かしそうにしていた。
「懐かしいねぇ。この前もあんな風に追いかけっこしてたね」
「じゅんの滑りは以前に比べて格段に安定している」
「あぁ、もしかしたらウォータージャンプのおかげかな?キッカーに特化しているから滑りの練習は出来ないと思ったけども、アプローチを滑走する時の体勢がそのまましっかりと活かされているみたいだね」
「以前のじゅんはあの追いかけっこで滑りが無意識に上達していった。エリも恐らくそう」
「しかもエリは元々スノボを長くやってたみたいだからね。すぐに慣れるよ」
春美と葉流が話している間にも追いかけっこを続けていた二人はであったが、そんな二人に目をやると、追いかけられてくるプレッシャーに負けたじゅんがちょっとしたギャップでバランスを崩して転倒してしまっていたところだった。それを待っていたかのように後ろから迫っていたエリが先ほどのじゅん以上の大きな雪飛沫をお見舞いする。想像以上の雪飛沫に思わず顔を伏せるじゅんであったが、気付けばじゅんは雪の塊のようになっていた。
ようやく意匠返しが出来たと満面の笑みを浮かべるエリにやられたと言わんばかりのジト目をエリに向けるじゅん。しかし決して険悪ではなく、むしろ楽しそうな雰囲気が漂うのは、やはりここが待ちに待ったゲレンデであるからであろう。
そんな楽しそうな様子を眺めながらいつの間にか滑走を止め、立ち止まってしまっていた葉流が春美に問いかける。
「午後から・・・、行く?」
「あぁ、そうだね」
「やっぱり気が進まない?」
「んー、そうだね。喜んで、と言ったら嘘になるけどもさ。やっぱり必要なことなんだよ」
「・・・きっと大丈夫。そのために私たちがいる」
「そうだね」
葉流はポツリと呟く。
「じゅんは幸せ者。心配してくれる人がこんなにいる」
二人は視線を合わせて微笑みあうと今まさに転倒したエリに向かって強烈な洗礼をお見舞いすべく猛烈な勢いで滑り出していった。それを見てぎょっとするエリは葉流が言っていた『お仕置き』の意味をようやく悟るのであった。
はしゃぐ四人の頭上には気持ちの良い青空。しかし山の向こうにはこれから起こるであろう何を暗示させる様な厚く垂れ込めた真っ白な雲が顔を覗かせていた。
お読み頂きましてありがとうございました。
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