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そだ☆シス  作者: Mie
園児編
75/744

66 異文化交流だー!

挿絵(By みてみん)





 転生した、ジャス君がぁ~。

 異世界の広場でぇ~。

 その国とは別のぉ、異国の文化にぃ~。

 出会っ……たぁ。


 というナレーションが脳内に流れてきそうな……というか実際に流れて来たんだが。

 そんな光景に「おぉー」と感嘆の声を漏らしている俺の鼻に、どこからともなくミルクっぽい匂いが流れて来て、思わず「ぽぅ~」という腹の音を鳴らしてしまう。

 ポゥ、って。 マイコーか俺は。


「……ぅ」

「おにぃ~?」


 思わずピクリとしてしまう俺。

 この人ゴミの中では聞こえてないかなーと思ったが、妹様には聞こえていたようで。 いやん。


「ふふふふ~。 せっかくだから、どこかの屋台で何かいただきましょうか~♪」


「はいっ、そうですねー!」

「北国の料理、楽しみですね」

「わーい! お腹すいてたんだぁー」



 小腹が空いていたのはみんなも同じだったみたいで、あっさりと決定。

 匂いを頼りに出店の並びに沿って歩きながら、どんどん広場の真ん中の方へ。

 中心部分らしい石造りの泉の周囲が広く開けられていて、たくさんの小さな簡易テーブルが並んでいた。 既に八割くらい埋まっていて、泉の石の所で座って食べている人も。


 人の流れを目で追ってみると、その先には十軒くらいの屋台が軒を連ねていた。

 屋台はどこも十人前後並んでいる。 飲み物だったり、クレープや串のような物を渡している所はさすがに回転が早いが、皿でもらっている所はやっぱり少し遅い。


 何より俺には斬新に映ったのが、受け取った木製の食器や串などを、食べ終わった人が店に返しているところだ。 屋台の横に回収係の人がいて、受け取ると同時に小銭を渡しているらしい。

 最初に食器込みで料金をもらって、回収時にその分を返して再利用しているんだろう。 とってもエコだ。


「じゃあ、マールちゃん、チャロちゃん。 何を買うかはお任せするから、六人分買ってきてもらえるかしら~。

 私はその間に場所を取っておくわね~」


「はい、奥様」

「はーい♪」


 二人はお金を受け取ると、軽く話し合ってから分担して買いに行った。

 そして、お袋と愉快なキッズたちはテーブルを探す。

 四人でキョロキョロと見回していると、四人掛けの丸テーブルが空いていて、更に隣のテーブルの人が食べ終わったようで席を立とうとしている。 これは逃せない!


「ママー、あそこ空くよー!」


「あら~♪ じゃあ行きましょう~。

 ……あの~、恐れ入ります~」


「エルネたん、あっちのせき取ろー」


「あ、うん!」


 小走りで、立ち上がる人達に一人で声をかけに行くお袋。

 キッズはその間にもう一つの席を確保だ。


『はい、なんでショッ!?』

『うわっ、チョー美人じゃね?』

『ふぉぉぉぉぉぉ、これはラッキーな予感ですかぁ!?』


 うーん。 ヤロー三人が、なんか色めき立っている……。

 ガラが悪いようには見えないけど、念のためエルネちゃんにテーブルを取っておいてもらって、俺達兄妹はお袋に後ろから近づいて、それぞれ両サイドから抱き付く。

 何も言わなくても、アイコンタクトだけで俺の腕から離れてくれるセーレたんに乾杯。


「ママー!」

「まま~♪」


「このお席を――あらあら~♪」


『え……あ、ああ~。 いいですよ、どうぞー』

『こ、子連れだったのか……』

『それじゃ仕方ないですよねー。 どぞどぞー』


「おーなーかーがーすーいーかー!」

「すいかぁ~!」


「はいは~い、もうちょっと待ってね~。 ……あ、ありがとうございます~♪」


 ダダをこねる振りをして、早々にお引き取り願う。

 演技がキモイのとネタが古いのは、この際目をつぶってほしい。


『い、いやいや! 気にしないでくださーい♪』

『うはーーーーーっ!!』

『ま、眩しいですっ!?』


 さんさんと輝く太陽さえかげって見えるようなお袋の笑顔に、メロメロになりながら退散していく男達。 イス倒すなー。

 そして、こっちに手を振りながら、後ろ歩きで去っていく。 おーい、危ないぞ――って、一人つまずいてコケた。


「ジャスちゃん、ありがとうね~」


「へへー」


 うん。 知らない人から見たら普通の態度だろうけど、普段の俺を知ってたら絶対わざとだって分かるよねー。

 もう今更なので気にしない、素直になでられておく。



「おまたせしましたー!」


 ちょうどいいタイミングで、チャロちゃんがやって来た。

 木のコップを六つ、両手でまとめて挟んでいる。 そのままテーブルに置く。


「ジャスさま、セーレさま、イスに座りましょうねー♪」


 微妙に高くて一人で座れないイス。 脇を抱えてもらい、えいやっとジャンプして、俺とセーレたんがそれぞれ席に着く。

 ……あれ? テーブルが高すぎるぞー。

 俺達の前にコップが置かれるが、目線はテーブルと同じくらい。 中身が見えず、浮いている両足をぷらぷらさせるしかない。


「チャロっ、これ手伝ってー!」


 すると、マールちゃんも到着。

 いろいろ買ってきたみたいで、両手の上と、ひじから手首までの間に二枚ずつ皿を乗せている。 プロのテクニックだよ!

 全部違う料理の皿をゆっくりと下ろしている間に、チャロちゃんが屋台へ走って行く。

 まだあるのか? と思っていたが、すぐ戻ってきた彼女の手には取り皿とフォーク。


「じゃあ、みんな座りましょう~」


 既にキッズは全員座っているんだが……と思っていると、お袋が俺を一旦イスから下ろして、再び抱えながら座って俺を膝の上へ。

 お、ちょうどいい高さになった!

 同様に、マールちゃんがセーレたんを膝に乗せて、俺の隣の席へ。


「おにぃ~♪」


「おー!」


 何故かはよく分からないけど、妹様が手を挙げてごあいさつしてくるので俺も応える。

 高さがいい感じになりました記念?


「エルネちゃーん! この、お皿持ってってー」


「……あっ、はーい!」


 その間に、チャロちゃんは向こうのテーブルの上で取り皿に料理を取り分けていた。

 エルネちゃんがそれを二枚受け取りに行き、俺達のテーブルへ。 それをもう一度。


「はーい、エルネちゃんはこっちの席ねー」


「うー……はーい」


 最後にチャロちゃんとエルネちゃんの分も取り分け、向こうのテーブルに着く。

 あっちのテーブル、皿がいっぱいで少し狭そうだな。


「では、いただきましょう~」


『はーい!』


 全員で返事する。 ちなみに、お祈りもしないし「いただきます」も言わない。

 その席のいちばん偉い人が声をかけて、それを合図に食べ始めるのがこっち流だ。

 テーブルに置かれた自分の取り皿にフォークを刺し、さっそく食べ始める。


 乗っけられているのは四品。

 クリームソースのかかったミートボールと、小さく切ったイモをふかしてハーブを散らしたもの、白くて小さいパン、そしてイチゴっぽい果物をスライスしたのが乗ったクッキーである。

 あと、コップの中は赤いジュースのようだ。 ベリー系?


「あむあむ……ふわぁ、おいしいですー♪」

「素朴な味ね~」

「パンのミルクの風味が強いですね……ふっくらしてます」

「んぐんぐっ。 このジュース、ハチミツ入ってるー♪」


 なかなか好評のようだ。 どれ。


「――はむ」


 うん、味付けはけっこうシンプルだな。 塩コショウとミルク、あとは素材の味を生かしてる。

 この国の料理も俺からすれば素朴だけど、これに比べると調味料使うよな。 特にハーブとか。

 あまりに普通だったから今まで気にしてなかったけど……この国の料理って、食材豊富だよな。

 肉・鳥・魚・野菜・果物・キノコ・木の実。 もちろん旬はあるけど、だいたい一通りある。

 そして嬉しいことに、虫を食べない! ……いや、知らん間に調理されて食ってる可能性も、ゼロじゃないけど。

 発酵食品やジャンみたいな調味料もあるし、非常に日本人好みだと思う。

 パッと思いつく範囲で、ないのは米とカレーくらいか?


「はおちー!」

「あうち~!」


 ジャンとか米とか、ちょっとアジアを思い出してつい中国語になってしまったが……セーレたん、それは違う。




 そうして異国風の料理に舌鼓を打ち、みんなで食器を返してから、広場の中央から再び小物を売っている屋台の通りへ。

 織物や木工細工、あとは動物の骨や金属製のアクセサリーが多いかな? 食品も少しはあるけど、干物系の保存食ばかりだ。

 小物はどれも細工が非常に細かく、職人の腕とこだわりが感じられる。 動物や草木、そして武器をモチーフにしたものが多いか。

 使節団は陸路で来てるらしいから、かさばる物や日持ちしない物を避けて、少しでも高く売れる細工物を増やしてるんじゃないかなーと思う。


「うっわー、チャロお姉ちゃん! コレすっごいキレイー♪」

「ふわぁ~……デザイン細かーい!」


『どうです? インダルフィア自慢の職人達が作った逸品ばかりですよ』


 黒いシートに所狭しと並べられた、アクセサリー。

 いろいろ商品を勧めているこの店の人は、見るからにこの国の人だけど……。

 確かインダルフィアって、ヘルヴィオール(このくに)に匹敵する北方の大国だったよな。

 春の使節祭で来るのがこのインダルフィアで、秋に来るのは南のヒミングレア。 これが、俗に言う「三大国家」だ。

 俺は心の中だけで勝手に「トライステイツ」って呼んでるけど……ちょっと、二年生っぽいネーミングかな?


「こういう髪飾りなんて、セーレちゃんにどうかしら~?」

「ひゃう♪」

「これは陶器……でしょうか。 とても綺麗な青色ですね」



「……」


 しかし、こうなってしまうと、女の人ってすごく時間がかかるんだよなぁ。

 俺と親父……いや。 俺しか男がいない日の方が多いから、もうこれはウチの宿命みたいなもんだと諦めるしかない。

 荷物持ちをやらされる心配がないだけ、マシだと思うことにしよう。


「キャーーー♪」

「キャーーー!」


「あらあら~、これも――」

「きゃあぅん♪」

「これも、セーレ様に似合いそうですね」



 ああー。

 まだ三歳とはいっても、やっぱりセーレたんも女の子だねぇ。

 目の醒めるような、青い星形の飾りがついた髪留め。 それを右側に付けている。


「おにぃ~♪」

「どうでしょうジャス様? セーレ様、とてもよく似合っていませんか?」


 おおっと、お呼びがかかったぜ。



「はーい♪ ……あ、それキレイだー!」


「うふふふふ♪ ほら、ジャスちゃんもほめてくれてるわよ~」


「ひゃぅ! にゃ、にゃははは~」


「セーレ様……ひょっとして、照れてます?」


「セーレたん、かわいいよー」


「きゃああ~~~っ♪」



 まあ、俺もそれなりに楽しいんだけどな!





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