202 どきどき、はらはら
まさかね、この歳になって赤ちゃんプレイ再び、なんて思いもよらなかった。 ……特にお袋。
たっぷり夕方までかけて、お袋とメイドちゃんズとセーレたんに代わる代わる抱きしめられてなでられて。 それはまだいいんだけど、はむはむちゅっちゅは止めていただきたかった。 特にお袋とセーレたん。
のどが乾けばコップが出てきて……くれればまだいい方で、時にはお口に含んで「んー♪」なんてされると非常に困る。 特にお袋と妹様。 しかもセーレたんは服にこぼしちゃったし。
着替えももちろん完全お任せで、濡れたのは上だけなのに下まで全部脱がされて着せられた。 特にお袋とチャロちゃん。
そしてトイレに行きたくなれば、二人がかりで抱き上げられてご案内。 中まで入ってこようとされたけど、それは触手をもってご退場願った。 特にお袋とマールちゃん。
夕飯は全員から順番にあーんされて、風呂に至ってはムリヤリ拉致られておムコに行けなくされました……。 特にチャロちゃん以外。
お袋もセーレたんも、必死で逃げようとする俺を寝技や関節技でねじ伏せることはないんじゃないかなぁ。
で、最後には帰ってきた親父を「たまにはリソ君と一緒に寝てあげて~」と一階に押し込……誘導して、二階の親父とお袋の寝室で酒池肉林の一歩手前にまで追い込まれた。
「はあっ、はあっ……ああん、もう。 ……はあっ。 たくましく、なっちゃって……はあっ♪」
何年かぶりに脱ぎ脱ぎを発動したお袋についにキレた俺は、メイドちゃんズやセーレたんもろとも徹底的にマッサージを施した。
しかも関節技のお礼として、ヨガとの合わせ技で。
「うふふふっ……本当に、大きくなったわね」
母親の顔で、俺のことを見つめるお袋。
これが下着姿ではなくて、また赤くなった顔に汗で髪がくっついていなければ、非常に感動的なシーンなのだが。
ちなみに、チャロちゃんとセーレたんは早々にクイーンサイズのベッドの中で夢の世界へと旅立ち、マールちゃんも先ほど高いところへ飛んでいった。
「……ジャスちゃん。 あまり、無理はしないでね」
「うん。 ありがとう」
だるそうに手を持ち上げて、俺の頭をなでる。 俺は素直にうなずいた。
どうもお袋は、セクシーすぎてそっち方面に行ってしまいがちなんだけど……本当のところは寂しくて、もっと甘えてほしかったのかもしれない。 昼間に言っていたように。
俺も顔から火が出るほど恥ずかしかったけど、結局はみんなにいっぱい甘えることができて、特にここ一年のプレッシャーやらストレスやらを発散できた。 自分でも気づいていなかったけど、意外と溜まっていたようだ。
セーレたんも俺の世話をしながら同時に世話をされる側にもなって、最後までくすぐったそうに笑いながら甘いひとときを楽しんでいた。
「さあ、私達もそろそろ寝ましょうか~」
「そうだね」
激しく動きすぎて、俺もけっこう疲れた。 ……その前に、お袋はパジャマを着ようね?
「うふふふ……い・や・よ♪」
「……」
ダメでした。
――そして翌日。 夢は終わらない。
夢であるように祈ったのだが。
「ふふっ、よしよし」
またもやリソ君の部屋で、今日は朝からソファーの上で抱っこされていた。
しかもアナさんに。
「昔は、こうして抱っこしてあげてたんだけどね……さすがに覚えてはいないわよね」
「ううん……なんとなく、懐かしい感じがする」
「あらそう? そう言ってもらえると嬉しいわね」
振り向くと、アナさんが俺の頭をなでながらふんわりとした笑顔を浮かべていた。 ……実際、俺は覚えているし、今も懐かしさも覚えている。
今背中に感じている大きなコレを飲んでいた頃。 その後も、自分で立って歩けるようになるまで。
俺と妹様は、アナさんにもよく抱っこされていたのだ。 バナナミルクのようなアナさんの香り……久しぶりに近くに感じて、ちょっとノスタルジックな気持ちになった。
「ああん、ママっ! 私にもご奉仕させてーっ!」
と言いつつ、隣に座っているエルネちゃんは更に隣のセーレたんを抱きしめてほっぺにすりすりしていた。
「エルネはいつもやってるでしょう? たまには私もさせなさいな」
「うー……けど、こっちもやめられないーっ」
マシュマロみたいなお姉さん的な柔らかさを持つお袋に対して、アナさんは引き締まっていて柔らかさもあって、まさにお母さん的な感じがする。 お袋とはまた違った安心感で、俺も肉体年齢相応に子供として甘えたくなってしまう。 ……今日くらいは、少し甘えてもいいかな?
エルネちゃんはいつものように俺に突撃したそうな表情……が、今日はやや弱い。 目線はこっちを向いているんだけど、自分のほっぺや手、その他全身で妹様のすべすべ感を堪能しているようだ。
どうよエルネちゃん、クセになるでしょ? ただでさえつやつやしてるのに、その上スライムエステを頻繁に受けている妹様のお肌は、触っていてたまらなく気持ちがいいのだ!
セーレたんもくすぐったそうにしてるけど、満更でもないご様子。 見ている俺にとっても、美少女二人が笑顔で抱き合っている姿は目の保養として素晴らしいものがあった。
なんだが……。
「……」
俺の目の前で、何も言わずじーっと俺とアナさんのことを見ている美幼女が一人。 今日はバナナクリップで、長い髪をポニーテールにしてくれている。
形のキレイな眉をひそめ、切なげに黒い瞳を潤ませて、けれども何を言うでもなく絨毯に座り込んで見上げてくる。
「えっと……エミーちゃん?」
俺が呼びかけると、ぱあっと一瞬だけ嬉しそうな表情を見せ、だがすぐに恥ずかしそうに目を伏せて視線を外す。
でもその時にわずかに浮かせた腰はそのままで、チラチラと俺の顔を見て目が合い、また目を逸らすのを繰り返している。 それにはアナさんも少し呆れ顔だ。
「もう、この子ったら……来たいなら来ればいいのに」
「ほら、エミーちゃんもこっちおいで?」
本当に恥ずかしがり屋さんになったなエミーちゃんは……。
俺が右の手のひらを向けて差し出すと、その手を見てからエミーちゃんは遠慮がちに聞いてきた。
「本当に……いいの? わたしよりも、ママやおねぇの方がよくない?」
「そんなことないよ。 ほら、おいで?」
くっついてるのがセーレたんだけの時は、わりと遠慮なく右側に寄り添うエミーちゃん。
だけどそれ以外の子が俺といると、必ずと言っていいほど一歩も二歩も退いて見ているだけなのだ。 そんな時の困ったような寂しそうな顔は、いつ見ても申し訳ないような気になってくる。
「……うん」
なおも呼びかけると、エミーちゃんはようやく腰を上げて俺のすぐ前に立った。
「ああーっ! エミー、いいなぁ……すりすり」
「ひゃあうん♪」
隣ではエルネちゃんが羨ましそうな声を上げるけど、セーレたんを抱きしめてすりすりするのを止める気配はない。
フッ、すっかり夢中ではありませんか? ブラウスの裾の下から手を入れて、直接お腹を触っちゃったりなんかして……そこのすべすべ感は極上なのだ。
ちょっぴり妖しく絡み合う美少女達に見られながら、エミーちゃんはアナさんの膝の上に座っている俺の――右側から抱きついてきた。
「……ジャスぅ♪」
「よしよし」
六歳になってかなり背も伸びてきた俺達だけど、ソファーに腰掛けているアナさんの膝の上となるとやや高さが足りない。 俺より少し背の高いエミーちゃんは、俺の鎖骨の下あたりに顔を埋める形になった。
逆にエミーちゃんが俺に甘えるような感じになっちゃったけど、これはこれで良しである。
俺は右手をエミーちゃんの背中に回して、左手で露出している耳の下から頬にかけてをなでてあげる。 するとこそばゆそうに身をよじって、漏れる声を俺の服で隠すようにして更に顔を埋めた。
「あら、エミーがそこまで甘えるなんて珍しいわねぇ」
俺の頭をなでながら、アナさんは同時にエミーちゃんの頭もそっとなでる。
そして。
「ああーっ!? うらやましいなぁー♪」
「はあんっ! やあん! ひう~っ」
エルネちゃん……さすがにセーレたんをソファーに押し倒して、ブラウスをめくり上げてお腹に頬ずりはやりすぎだと思うんだ。
俺もされたことはあっても、したことはないのに……。
俺は頭の中にある今夜の予定に一文を書き加えながら、甘え甘えられの午前のひとときを過ごしたのだった。
――アナさんの抜けた午後は、エルネお姉ちゃんの独壇場となったことは言うまでもない。




