↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そだ☆シス  作者: Mie
2013エイプリルフール番外編
150/744

番外編3 セーレ、悪の道をひた走る

 今回のお話は、 エイプリルフール的なネタです。

 本編とは関係ありません……たぶん。

挿絵(By みてみん)




 あ、あたいの名前はセレスティア。 家の中じゃあ、いい子のセーレたんで通っている人気者さ。

 だがしか~し! それはあくまで表の顔。 裏のあたいは、この家を恐怖のズンドコに陥れるアクマなのさっ!

 今日もこのあたいが、いっぱい悪いことをしてみんなを困らせてあげるんだからねっ。



 ――たとえ冬でも、あたいの朝は早い。

 あたいの悪の活動は、お空が明るくなり始める前から始まるのだ。 夜討ち朝駆けは奇襲の基本だって、おにぃが言ってたもんね♪

 あたいは眠い目を擦りながら、寒いのをガマンしていっしょうけんめい起きるのさ。


「ふわぁぁぁ~っ」


 隣にはあたいのおにぃが、すごくかっこい……こほん、まぬけなお顔で眠っている。 いい気味だ!

 あたいは、そのすてき……くない、おバカなお顔をじ~っと見てみる。


「……」


「くー」


「……」


「すー」


 ……はっ!? あ、あたい、いつの間にか見とれ……じゃない!

 えっと、えっと……よく眠っていやがるぜ! いい夢見ろよ! で、できれば、セーレの……♪


「ぶるんぶるん」


 い、いけない。 このままでは時間が過ぎるばかりだ。 さすがはおにぃ、その寝顔さえ凶器になるなんて……。

 あたいは隣のおにぃを起こさないように気をつけながら、ゆっくりとベッドを降りる。 あんたとの決着は後回しだ。

 朝はすっごく寒いんだから、首から下を冷やしてカゼを引かないように、ちゃんと毛布をかぶって待ってろよっ!



「しゃ、しゃむい……こわい……」


 魔導具のカイロでお手々をあっためながら、あたいは寒くて暗い廊下に出て、こっそり階段を下りる。

 キシキシって、ほんのちょっとだけ木の階段のきしむ音が聞こえる。 こ、怖くなんて、ないんだからねっ!

 これがウワサの『ウグイスバリィ』なのね……でも、あたいにかかれば、こんなトラップなんてへっちゃらだもん!


「ほっ」


 果てしなく長い道のりを経て、あたいはリビングにたどり着いた。 いつも明るくてあったかいこの部屋も、まさに火の消えたように暗くて冷たくなっている。


「……くすん」


 あたいだけを残して、みんながいなくなっちゃったのを想像したら、さび……な、なんでか分かんないけど、目から水が出そうになっちゃった。

 な、泣いてなんか、ないもん! ……お、お空がちょっとだけ明るくなってきてるから、急がないと。

 目的地はさらに奥のキッチン。 リビングのイスを引きずりながら行ってみると、コンロの上には大きなお鍋が置いてあった。 しめしめ。

 イスをコンロの前に置いて、よいしょと上って中をのぞき込む。 暗くて見えないので光の球を出すと、鍋の中に鳥さんのお肉が入っていてお水が黄色っぽくなっていた。


「えへへへへ~」


 きっと今日の朝ご飯は、鳥さんのおダシのきいたスープに違いない! 朝ご飯のメインディッシュの情報は、このあたいがいただいたぜ! 早く食べたいな~。

 情報を制する者は世界を制するって、おにぃも言ってたし……これで、今日のお当番のマールちゃんは完全にあたいに負けた。 あとは、おいしくいただくだけだ。


「うんしょ」


 イスをまた引きずって、あたいはその足でキッチンの隅へ。

 そこの壁は赤いレンガになっていて、足元にはまっ黒で四角い穴が空いている。 暖炉だ。


「ふふふふふ~」


 あたいはすかさず暖炉の前にイスを置くと、また上って暖炉に魔力を入れるところに手をつける。 そして、あたいの魔力を入れ始めた。

 暖炉はいっぱい魔力を使うって聞いてたけど、あたいの魔力だったら全然へーきだもん♪ ちょっとだけ疲れるけど。


「できたぁ」


 下の四角い穴から、赤い光が漏れてきているのを確認する。 しばらくしたら、このキッチンと、ママとリソ君の居るお部屋と、今日はいないけどパパとママの寝ているお部屋と、それからセーレとおにぃのお部屋があったかくなるハズ。

 これで、チャロちゃんの朝一番のお仕事がなくなったぜ! せっかく早く起きたのにすることがなくて『サンモンの得』じゃなくなっちゃうのだ。 もう一回寝ちゃえ~!

 ああ……あたいって、なんて悪い子なんだろう♪ 悪すぎて怖いっ。


「……あっ」


 おおっと、お空がまたちょっと明るくなってる。 早くお部屋に戻らないと。

 あたいはイスをリビングに戻して、そ~っと二階のお部屋に戻った。



「ぅぅん……」


「おにぃ、よく寝てるの~」


 こっそりベッドに上がると、おにぃはまだよく寝ていた。 あたいがどんなことをしてたかなんて、知りもしないで。

 ……そしてあたいは、最後の仕上げに入る。


「くー」


「……」


 のんきに寝ているお、おにぃのお顔。 ま、ま、まぬけ過ぎて、おムネがどきどきする……。

 こんなお顔……チャロちゃんにも、マールちゃんにも、ママにだって、見せてあげないんだから。


「すー」


「おにぃ……」


 あたいはおにぃのお顔に近づいて、その寝顔をあたいだけのモノにした。




**********



 ――何か、温かいものが唇に触れたような気がして、俺の意識が暗い底からゆっくりと浮かび上がってくる。

 なんか、ついさっきまで変な夢を見ていたような気がするんだが……思い出せない。 ま、いっか。

 肌に感じる空気に刺すような鋭さはなく、かすかに暖かい。 最近の朝はすっかり冷え込んでいたのに、珍しいな。


「んん……」


 まぶたに感じる光はごくわずか。 重さに逆らって目を開けると、ぼやけた視界に笑顔いっぱいのセーレたんの顔が映った。

 先に起きてるなんて、珍しいな。


「あっ♪ おはよう、おにぃ!」


「うん、おはよ」


 俺が起きたのに気づくと、その笑顔が更にあふれ出した。 毛布から手を出してほっぺを触ってみると、赤みがかっている割にはちょっと冷たい。

 いつから俺の顔を見てたんだろう? ……というか、俺の寝顔なんか見てて楽しいか?


「えへへへ~、ひゃあん♪」


「ほれほれー、ほっぺ冷たいぞ~」


 もう片手も出して、両手でほっぺを擦りまくる。 ちょっと面白い顔になってるが、擦っているとだんだん温かくなってきた。


「んみゃふわむあう~」


「あはは」


「ふにゅう~」


「……ほら、寒いからもうちょっと中に入りな」


「うんっ」


 面白い顔と心地良い柔らかさを堪能してから手を離すと、毛布を開けて妹様を中に入れる。 お腹にカイロを入れていたとはいえ、その身体はすっかり冷たくなっていた。

 つーかカイロまで用意して、いつから起きてたんだか……。


「こらセーレちゃん、すっごい冷たくなってるぞ~」


「ふぁああぁぁぁあぁ~」


 毛布に包んで、更に腕や背中などを擦って全身を温めてやる。


「また風邪を引いたらどうするんだ……気をつけるんだよ?」


「うん」


「よしよし」


「えへ~」



 しばらくじゃれて遊んでいると、ノックの音がしてマールちゃんが入ってきた。


「おはようございます――あら、お二人とも起きてらっしゃったんですね……」


「うん、おはよー」


「おはよ~なの♪」


 何故か、少し残念そうな顔をしているマールちゃん。

 それとは対照的に、セーレたんは終始ご機嫌だった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。