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そだ☆シス  作者: Mie
乳児編
12/744

10 第三者接近遭遇

挿絵(By みてみん)





 春はあけぼの。


 今日も今日とて手足の運動。 そして同時に発声練習。

 うむ……まるで、アイドルの卵のようではないですか。

 全国の高校生プロデューサーさん、ここにイイコがいますぜ。

 おひとつ、いかがですかい?



 ……それにしても、俺は生まれてどれくらい経ったんだろうね?

 ほとんど寝てるから分からん。


 あと、トレーニングの効果って本当にあるのだろうか?


 隣の妹様と比べて、まあ確かに動きや声の出し方は多少違うような気はする……。

 俺にハッキリとした意識があるせいもあるだろうが。

 妹様が転生チートなのかどうかはまだ分からないが、妹を教え導ける兄になる為には、妹に負けないようにリードし続けなければいけないのだ。

 追い抜かれてしまったらダメ兄貴になる。




『もうっ! お兄ちゃんったら、仕方ないんだからぁ……』



『そ、そんなんじゃあ…私、いつまで経ってもお嫁に行けないじゃない……♪』



『……ち、違うもんっ!?


 私、こう見えてけっこうモテるんだからねっ!!』



『お兄ちゃんさえしっかりしてくれれば、すぐにでも結婚できちゃうんだからっ!!!』



『だ、だから……ね、お兄ちゃん。』





『ずっと、そのままのお兄ちゃんでいてね…………。』





 ――――ぐはああぁぁぁっっっっ!!!!!!



 ヤ、ヤバイ。 妹ヤバイよ。 まじでヤバイよ。

 しかもツンデレとか、マジヤバイ。

 萌えっぷりが酷い、もう酷いなんてもんじゃない。 超酷い。


『それもアリじゃね!?』とか、一瞬本気で思ったぞ……。



 ――だ、だが、それではダメだ。

 妹、一生結婚しなくなりそうそうだし。

 妹を本当に幸せにするという意味では―― これはこれで幸せそうだが―― 違うと思う。

 妹の足枷になるような兄貴ではダメなのだ!


 ――ま、これは第二希望という事にしよー♪


 と、俺が相変わらずアホな妄想大スペクタクルを繰り広げていたら――――



 コンコン。



 馴染みのないノックの叩き方に、ふと目をドアの方にやってみる。




「おはよーーございまーーーーす……」


 すると、何故かウィスパーボイスで、一人の青年がドアを開け覗き込んできた。




 ……懐かしの寝起きドッキリか?




*********



 今日も夜勤明けで遅くなってしまった……。


 時間は昼夜を問わず、また規律は厳しい。

 任務は常に困難を極める。

 しかし、とても名誉ある仕事なのだ。

 誇りにこそ思えど、不満なんぞ有る筈もない。


 だが……矢張り、愛しい我が子らになかなか会えないのは寂しいものだ……。




*********



 ドアの隙間から覗く目と、俺の目が合う。

 目を見開き硬直する青年と俺の視線が交わる時、男達の物語が――。



「……ぉ」


「ぉ?」



「……ぉぉぉ」


「ぉぉぉ?」



「ぉおおおおおオオオオオオオオーーーーーーーーーっ!!!??」


 ビクッ!「おおぉ!?」




「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


「……ぅぉお!!??」

 びくっ!「ふぇ…………!」



 な、なんだ!? 変身か? 変身でもするのか!?

 つーか俺達『お』しか言ってねぇ! なんだこの会話!?


 しかも急に叫ぶんじゃない!!

 妹がビックリして起きちゃったではないか! つーか涙目!?


 更にドアを蹴破らん勢いで飛び込んで来るっ!?

 しかも動きがスムーズだ!! 無駄がない!


 慣れてるのかっ?

 どこかの連邦捜査官なのかっ!!??




「おおお……会いたかったぞぉ!! 二人ともーーーーーーっ!!」


 ――――がしっ!!


「ぉああああああーーーー!?!?!?」

「ぅやっ!? ……ふぇぇえええぇえぇえええ~~~~~~~~~~~ん!!!」


 内心で怒濤のツッコミを入れながら大混乱する中、妹と一緒に捕獲、抱き上げられてブンブン振り回される俺。

 とうとう泣き始めた妹様。



「……なっ!? だ、旦那様っ!!? どどどどうされたんですかっ!?!?」

「うわっ! ……旦那さま、ゴランシンですかー?」

「あら、あなた~? お帰りなさ~い♪」


 騒ぎを聞きつけ、駆け込んできたメイドちゃんズ&お袋。

 俺達を抱え上げて、ふしぎな踊りを踊る男。

 それを見て慌てふためくメイドちゃんズ。

 のほほんと見つめているお袋。



 ――何だ、このカオス。


 これが、親父との三度目の邂逅(かいこう)であった。




 ……結局混乱はなかなか収まらず、その日も親父の名前は聞けなかったとさ。





 追伸。

 親父はその後、出勤してきた乳母(アナ)さんに。


『いい年齢(トシ)した大の大人が、何朝っぱらから大騒ぎしてんの!!

 近所迷惑でしょうがっ!!』


 ――と、正座で説教されていた。


 親父ェ~……。




 おしまい。





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[一言] 主人公かなりキモい・・・
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