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彼の上機嫌




ちょーっとムカツクことはあったけど、行って良かった!

っていうか来てくれて良かった!



っていうか今が幸せ!

車通勤で良かった・・・!




立地が駅から5分と良いこともあり、來海には駐車場がない。

会社に車を止めたままだった俺は、店を出てすぐに別れた。

江藤さんから「送って行ってほしい」ってオーラをびしばし頂いたけど。

まぁそれをスルーして会社に戻ろうとしたら、なんと!

日辻さん、ジムの日のみ、スクーターで通勤しているらしい。

だからいっつもパンツスーツなのかな。スカート穿いてるの、見たことない。・・・脚綺麗そう。


江藤さんと山下さんは電車、刑部は徒歩で方向違いということで、俺と日辻さん、2人きり。

あーもー、マジで死ねる。

カミサマ、ありがとう!

俺無宗教だけど!



「日辻さん、來海には良く行くの?」


「そうですね、美味しいし、駅近いし便利なんでよく行きますよ」


「へぇ。俺もよく行くけど、会ったことないよね」


「あたし大体サークル帰りなんで・・・火曜と金曜の割と遅めしかいかないです」


「あぁ、なるほど。俺あんまり遅くには行かないなぁ。サークルって、スポーツ?」


「はい。男女混合のバレーボールで。刑部も入ってるんですよ」


「へぇ、意外」


「あたしがですか?刑部がですか?」


「刑部。・・・インドアっぽいっていうか」


「あーそうですね。でもアイツ、かなり運動神経良いですよ」


「それこそ意外だ」


10人中10人が意外っていうと思う。


「意外といえば、日辻さんと刑部が仲が良いのもだけどね」


「そうですか?」


「何か対極っていうか・・・アウトドアとインドアっていうか」


「あぁ・・・それよく言われますけど、あたし結構インドアです」


「そうなの?」


「活字中毒でネット中毒なんで」


「え・・・」


「あ、引きました?別に引いてもらって全然構いませんけどね」


それ言外に俺になんてどう思われても良いって言ってる?

っていうか俺もネット中毒だし、引かないけど。


「吃驚しただけだよ。俺もかなりネット中毒だし」


「そうなんですか?」


えー何か不審そう。

合せてるだけだろ、って顔に書いてるし!

俺は確かに八方美人なとこあるけどさ。


「うん、ブログつけてるし、小説読んだり、動画見たり」


事実だ。

俺ネット中毒基ニ○厨だし。


「へぇ、それこそ意外」


って、笑った!

日辻さんに笑い掛けられたのって初じゃね?

アガッた。

俺今運全部使い切ったわ。



「どんな小説読むんですか?」


「言ってもわかんないかもなー有名処だと2●時09分の地図とか、白○城とか・・・」


「ぶはっ」


「え?」


「す、すいません・・・両方分かります、っていうかファンタジー好きなんですか?」


「あ、両方知ってるんだ?うん、恋愛込みのファンタジーが好きかな。本は全然読まないんだけど」


「あたしは恋愛は別に要らないけど、ファンタジーが好きなんです。面白い小説あったら教えてください」


「いいよ。どういうファンタジーが好きなの?」


趣味が合うって好感度上がったんじゃね?

一応マニアックすぎないサイト名出してみたんだけど。

あんまりマニアック過ぎると引かれちゃうかもしんないしね。


会社に着くまでの10分間は至福だった。

帰り際も笑ってくれたし、この分なら義理チョコもらえるかも。




浮かれて家に帰って、ノートを起動する。

日課のブログを書き込むためだ。

今日分のブログを書き込んで、前日分のコメントに返信する。

ブログには、自作の弁当や夕飯、レシピなどをうpしている。

そう、料理が好きで得意なのだ。

大学時代の彼女に「女として立つ瀬がない」と振られた過去を持つ。

それ以来、彼女はいない。


しかもその上カーテンやテーブルクロスは自作である。

ミシンを使って何かを作ることや編み物も好きなのだ。

が、これは流石に家族以外誰も知らない俺の秘密。


その後ストーカー紛い事件が数件あり、予防策として半同棲の彼女がいるということにしたのだ。

この見るからに女の趣味って感じの部屋だと、どう考えてもそう誤解される。

俺はその誤解に便乗しただけだ。

それにそういう設定じゃないと、友達を部屋に上げられない。

これはちょっと不便なのだ。明らかに怪しいっていうか。



そしてもう一つ。

俺の小説の趣味は、恋愛込みのファンタジーではない。

それも好きだけど、一番好きなのは恋愛小説なのである。

それこそ自分で書いてみるくらいには。




絶対に言えない俺の秘密。

日辻さんに対する思いの丈を込めた恋愛小説だなんて。

俺マジキモイ。


投稿型小説サイトの方は、コメントや感想はほとんどない。

週末になると必ずコメントや感想をくれるのは”晴羊”さんくらいだ。

小説サイトからブログに飛んだ人で、小説サイトには週末、ブログにはほぼ毎日携帯からコメントをくれる。

底辺の俺に感想くれるとかマジ神だよな。



コメント返して、書き掛けの小説を修正する。

あー、今日は日辻さんと話せたし気分アガって進みそうだな。




これを機に日辻さんと仲良くなれっかなー。




珈琲淹れてによによ上機嫌、キーボードをたたく。

まずは明日、話しかけるぞー!



















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