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彼女のホワイトデー





今日はゆういさんと駅前で待ち合わせ。

実は2人でごはんというのは初めてで、ちょっと緊張する。

ジムの後と言われてたけど、ジムは休んだ。

昨日初めて、教えてもらったアドレスにメールして、時間と場所を決めて、デートみたいだと1人で浮かれた。思春期か!


バッグの中にはクッキーの入った袋がある。

味見した限りでは普通の味だ。

ゆういさんのチョコはすごく美味しくて、すごく手間暇かけてたのに、あたしのクッキーは・・・。

いや考えたらだめだ。そもそもゆういさんに敵うわけないし!


「日辻さん!」


「あ・・・お疲れ様です」


仕事帰りなのでスーツ姿だ。

別にスーツフェチじゃないけど、格好良い。

今日は安くて量が多く美味しいと噂のフレンチの店に行くことになっている。


「じゃあ行こうか」


「はい」


駅裏の方に並んで歩き始める。

本当にデートみたいだ。


「あー!貫田さん!!」


デート、みたいだったんだけど・・・。


「俺今すごく嫌な予感が・・・」


「ははは・・・」


苦笑いでしか返せない。

振り返ると笑顔のゆりなちゃんと苦笑いの山下さん。


「・・・お疲れ様です」


「日辻さんと2人で何してるんですかぁ?」


「「・・・・・・」」








結局4人でフレンチのお店へ。

コースではなくアラカルトで注文することにし、各々好きな前菜とメインを選んだ。

このお店ではアラカルトで注文すると、パンがサービスでついて来る。

貫田さんオススメのワインも注文した。


「ふふふ、社外でばったりだなんて、奇遇ですねー」


ゆりなちゃんは嬉しそう。かわいいなぁ。


「ハハハ、ホントニネー」


目が空ろです、ゆういさん。


「それにしても最近2人、仲良いわね?」


「そうだね。刑部通して何となくね」


「でも、いいの?彼女は」


「ああ、うん・・・・・・振られたから大丈夫」


「「「え!?」」」


予期せず2人とハモってしまった。

ゆういさんは何で、振られただなんて言い出したんだろう。

そんなこと言ったらゆりなちゃんが食いつくに決まってるのに。

もしかして・・・ゆりなちゃんに靡く気になったのか!?


「いつ振られたの?」


「もう一ヶ月くらい前かなぁ。好きな人出来たってさ」


「一ヶ月・・・でも時々お弁当持って来てるわよね?」


「あぁ、あれは自作。俺料理得意だし」


その発言に吃驚する。

趣味を隠したくて彼女がいるって公言してるのかと思ってたのに。


「へぇ。いいわね、男で料理上手だなんてポイント高い。ま、貫田くんならすぐ次出来るでしょうけど」


「はいはーい!私、立候補します!貫田さん、新しい彼女に私、どうですか?」


うわあ、ゆりなちゃん積極的。

あたしだったら即刻OKだすな、かわいいから。


「ははははは、遠慮しておくよ。社内の江藤さんファンに殺されたくないし」


「えー!そんなのいませんよぉ!」


いますいます。今ここに。

ゆういさんとゆりなちゃんが付き合い始めたら・・・どうだろう。

祝福出来るかな。

いや出来ないな。

いくらゆりなちゃんが好みでかわいくても、ゆういさんの彼女になってほしくない。

ゆりなちゃんだけじゃなくて、誰も。

あたしが彼女になりたいと思う。


「いるよーかなり。俺が知ってるだけでも10人以上」


「えー!」


それからゆりなちゃんのファンの話になり、他の人気のある社員の話にシフトしていく。

女の子は噂話が好きだ。

ゆりなちゃんと山下さん、社内情報パない。

この分だとゆういさんがフリーなこと、明日にでも全社員知ってるんじゃないだろうか。


「別れたんなら今週末、飲みに行きましょうよぉ」


いつの間にか話が戻った!


「勿論2人で!」


「誤解されそうだからそれはちょっと遠慮したいかなぁ」


「え~!じゃあ山ちゃんと3人!!」


「山下さん途中で抜けそうだしなぁ」


「え~・・・じゃあ、誰か男の人連れて来て下さい。2対2で飲みに行きましょ」


あたしもいるのに除外して話が進められていく。

そういう話はあたしがいない時にやってください・・・。

というかゆりなちゃん的にあたしライバル認定されてるんじゃないだろうか。


「あ、あたしちょっとお手洗い行ってきます」


フレンチで中座は微妙だけど、ここは格式高い感じではないし、さっきから結構行ってる人いるから大丈夫だろう。





席に戻るとゆりなちゃんと山下さんにガン見された。

何?トイレいっちゃ駄目だった?


「どうかした?」


「日辻さんは彼氏作らないの?」


「は・・・作らないんじゃなくて出来ないっていうか」


何その突然な振り。

ゆりなちゃんみたく可愛かったらすぐ出来るんだろうけどなー。

あたしは過去彼氏2人だし、告白された数だって2桁行かないんだぞ。

ゆりなちゃんは余裕で2桁だろう。


「ふぅん。ね、貫田さんはどうなの?」


「は?」


本人の前で聞くのかそれを。

山下さんはゆりなちゃんの味方だろうし、お勧めしてるって意味じゃないよね。

告白されたら付き合うか付き合わないかっていう意味だよね?

アリかナシかっていう。


「山下さん、何聞いてるの。日辻さん困ってるよ」


「、そうだよ!日辻さんはそういうの苦手だもんね!」


何?何か変なんだけど・・・。

っていうかそういうのって何だ。


「ま、そろそろでましょうか。明日も仕事だし」


山下さんのその一言でお開きとなった。

駅で山下さんとゆりなちゃんと別れる。


「最後の何だったんですか?」


「あーあれねー。っと、まだ9時半だし、うち寄ってかない?」


丁度分かれ道だ。

クッキーも渡してないし、お邪魔することになった。


「楽しみだなぁ」


あ、やばい、かわいい。

こんな風に笑いかけられると勘違いしそうだ。

足元をみて、火照る顔を隠す。

万が一見られてもこの暗さなら大丈夫だろうけど。












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