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彼女のピンチ




目が覚めると、裸で、貫田さんに抱きしめられていた。

硬直していると、いつの間にか貫田さんも目が覚めたらしい。


「お・・・おはよう・・・?」


アルコールが抜けて、理性が戻ったんだろう。

あたしも戻った。


何てこった!


あたしはつい、渾身の右ストレートを放ち、逃げ出した。







昨日の夜の記憶はほとんどあると思う。

詳細までは思い出せないが、触れられて、拒まなくて、むしろ受け入れたというか最終的には強請ったような感じだった気がする。


ヤってしまった・・・!

ヤバイ、どうしよう、由宇衣さんに顔向け出来ない!

せっかくチョコまでくれたというのに、あたしは何という裏切りを!



心臓痛い。お腹痛い。ストレスキタ。



とりあえず家に帰ろう。さっさと帰ろう。

足早に家に向かう。

そして早くシャワーを浴びよう。

感触とか匂いとか匂いとかいろいろヤバイ。




ダッシュで家に帰り、シャワーを浴びて落ち着いた。

落ち着いたがしかしどうしよう。

どうしようもなにもどうしようもないのだが。



あたしと貫田さんはお互い連絡先を知らない。

とりあえず月曜日謝罪して、忘れてもらおう。

馬鹿正直に由宇衣さんに言わないだろうし。言ってしまえばほぼ破局ルート。

浮気だもんね、完全に。

心の伴わない体の浮気はオッケーって人も稀にいるが、早々いるもんではない。


「あああああ」


顔合わせ辛い。っていうか顔!顔!

顔が大丈夫じゃない、最悪折れてるかもしれない。鼻とか。

良くても口の中は切れてるだろう。


もうヤダ。

貫田さんの馬鹿!

いくら酔ってたとはいえ何で色気のいの字もないあたしに手を出すか!



「はぁ・・・」



一日不貞寝。







「おはようございます」


うう、緊張する。


貫田さんの頬にはガーゼが貼られていた。

鼻は無傷のようで安心した。


「お、はよう」


ぎこちない挨拶。

あたしが悪いんだけど。 


「申し訳ありませんでした。全部忘れてください。その、頬の怪我は・・・痛いですよね、ごめんなさい。医療費出すので請求書をまわしていただければ・・・」


「いや、俺が悪いんだから謝らないで。本当にごめん」


申し訳そうにしてくれている貫田さんに何故かきゅんきゅんする。

反省しろ、あたし!!



「とりあえずなかったことにしましょう。それが一番良いと思うし」


「・・・わかった」


しっかしこれって何なの。

殿の呪か?

既成事実ってヤツ。


なかったことにしてくれるようなので、一安心だ。

あたしも忘れれば良いだけだ。

由宇衣さんにはすごく申し訳ないことをしてしまったけど、どうやって償えば良いかもわからない。

というか償えるようなことでもないよね?

きっとあたしが貫田さんに近付かないのが一番良いのだ。




「椿、貫田さん殴った?」


「・・・・・・殴りました」


若に嘘はつけない。

ついてもすぐにばれる。


「へぇ・・・何かされたワケ?」


「黙秘」


「ハイハイ、されたのね」


そうですよねー、わかりますよねー。


「面白い展開になりそう?」


「ならないね」


かなり面白くない展開だ。


「なんだ」


「残念だったね」


殿が帰ったのも、若が帰ったのも、恐らく作戦のうちだったんだろう。

あたしの恋を応援おもしろくするための。


「詳しく説明希望。今日家行くわ」


「えー・・・」


家に来るのは良いが、説明は遠慮したい。


「逃げられると思うなよ」


デスヨネ。



あたしはとりあえず、ジムでストレス解消することに決めた。





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