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彼の敵



投稿小説サイトで最近お気に入りの小説だとか、書籍化の話だとか。

ニ○動の歌い手は誰が好きとか、ボカロ曲のどれが良いとか。

まぁ要するにその手の話ばかりってことだ。


この3人だとそれが普通、あとは会社の話が大半を占める。

特に日辻さん、江藤さんをベタ褒め。っていうかベタ惚れ?


日辻さんの好みのタイプは、佐藤玉○だとか小倉優○だとか・・・何か納得。

因みに男のタイプを聞くと鼻で笑われた。

刑部曰く、前の彼氏はスポーツマンっぽい、男らしい感じのヤツだったらしい。

”自由すぎる”って理由で振るなんてあんまり男らしく感じないけどな。


俺なら日辻さんの自由なところも好きだけど!

っていうか趣味が同じだから隠されることもないけどな。


「山下さんとゆりなちゃんが仲が良いのがちょっと不思議」


「それは俺も思った。何で山下さん、江藤に付き合ってられんの?ありえねぇ」


「同じ部署で同期だとそれなりに仲良くなると思うけど」


2課で江藤さんと同期なのは山下さんだけだ。

1年先輩に日辻さんと刑部、1年後輩にもう一人女子がいるだけで、2課の事務は年が近いのは限られている。


「山下さんが大人なんだろうなー」


事実山下さんは俺と同じ28歳だ。

江藤さんがちょっと何かやらかしても大人な対応をするんだろう。

刑部だったら絶対爆発してるよな。

日辻さんならベタベタに甘やかしてそう。

俺は逃げる。


「そういえばもうすぐバレンタインじゃん」


「あ、そういえば」


「若、今年もよろしくね」


「よろしくって何?」


「あ、貫田さんも是非、義理チョコください。本命チョコは自分で食べるのが鉄則ですが」


あぁそういうことか。

お裾分けってことだな。


「でも由宇衣さんからの本命チョコは是非!というかあたしに本命チョコくれれば良いと思う!」


「阿呆か」


刑部が突っ込んで、日辻さんが悔しそうな顔をする。


「・・・言ってみようか?」


「え?」


「欲しいって言ってたって。たぶんくれるよ」


「本当に!?いいんですか!?」


うわぁ、すっげテンションの上がりよう。

勿論です、オッケーです、どうせ作るの俺ですから。


「いいよ。毎年作ってるからたぶん大丈夫」


「うわあぁ!ヤバい!死ねる!!」


本気で嬉しそうな日辻さん。

由宇衣が俺って知ったら、どうするだろう。

激怒しそうだよな、主に性別の部分で。


最近はそうでもないけど、たぶん日辻さん、俺のことあんまり好きじゃなかったっぽいしな。

由宇衣のことで好感度が上がったんだろうけど・・・。

これでいずれ正体がばれたり、別れたことになったりしたらどうなるんだろう。

やっばいな、俺殺されるんじゃないかな。



「あれ、メールだ」


「何?」


「兄貴。酒とつまみ持ってこいだと。・・・ちょっと行って来る」


日辻さんがじゃがりこと缶チューハイを持って立ち上がる。

この至近距離でメールでやり取りするのか・・・。


「いってらっしゃい」


「まぁ、適当に飲んでて、すぐ戻るし」







日辻さんが部屋を出てから、もう10分は経っているような気がする。

志村さんに捕まってんのかな。


「椿戻ってこないなー」


この間にちょっとトイレに行っておこう。

日辻さんがいるときは出来るだけ一緒にいたいし!


「刑部、ちょっとトイレ借りたいんだけど・・・」


「階段過ぎて右手ですよ」


「行って来る」


部屋に戻る途中、階段の辺りで志村さんと日辻さんの声が聞こえてきた。

つい咄嗟に隠れてしまう。

志村さんが上に立ち、見下ろす形になっているので、もしかしたら志村さんからは見えたかもしれない。日辻さんはこちらに気付いてないだろう。


志村さんが、わらった。


「椿チャン、貫田クンのこと、好きなの?」


「・・・まさか、ありえないでしょ。ないない」


俺が居ることを知って、聞いた。

俺が聞いていることを分かっていて、わらった。


頭に血が昇る。

志村さんは日辻さんのことが好きなのか。

それとも俺のことが気に食わないのか。

両方かもしれない。



とにかく志村さんは、俺が日辻さんに好意を持っていることに、気付いてる。






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