表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/29

彼女の家






「日辻家オタハウスへようこそ」


あたしは貫田さんへ向かってそう言った。

だって本当にそう呼ばれてるんだよ、主に若に。


日辻家オタハウス、玄関入ってすぐ正面、階段がある。

その階段からしてすでにマンガ文庫が並んでいる。

各部屋に入り切らず、家中の到る所に本が並ぶ。


「こんなとこまで・・・」


階段、トイレ、廊下にまで本棚が設置されている。


「で、ここあたしの部屋なんですけど」


ドアを開ける床から天井まで一面の本棚。


「噂の壁一面の漫画・・・」


「全部屋こんなですからねー。全部母のなんですけど貸出ノート設置してあるんで、読みたいのあったら持って帰れますよ」


「貸出ノートって」


「多すぎて管理出来なくなるんで昔からやってるんですよ、ノート」


あたしは生れてこの方マンガを買ったことがない。

買わなくても母が買うから必要ないし。


兄の部屋に殿を連れていく。

あれ、まだ帰って来てない?


「殿どうする?」


「帰って来るまで飲んでよーよ」


「じゃあ一階したに行きましょうか」


一階の宴会用和室に案内する。

居間は父と母がアニメ鑑賞してるから使えない。


宴会用和室はその名の通り宴会用だ。

炬燵の他にはテレビとDVDプレイヤー、小さな冷蔵庫・食器棚が置いてある。

後はリキュールや焼酎・ブランデーなどのアルコールの瓶が並ぶ。


「炭酸と水とレモンは冷蔵庫にあるんで、何でも好きなものどうぞ。セルフです」


容量が小さいので、ジュースや牛乳は台所の冷蔵庫にある。

殿用に牛乳だけを持ってくる。

カルアミルクを作り、殿に渡す。

あたしもカルアミルクにしよう。

若と貫田さんはハイボール。


「宴会用の部屋なんてあるんだね」


「母が宴会好きなんですよ」


あの人たちは友達・・・なのか?オフとか同人とか言ってるから仕事仲間なのか何なのか。

居間でやられると絡まれるので専用の部屋を作ったというわけだ。

だってあの人たち性質悪い。







「貫田クンの彼女って、どんなコー?」


「えー・・・と、割と家庭的な・・・」


由宇衣さんの話になったので、つい割って入る。

殿はネット小説は読まないので由宇衣さんのことを知らない。


「料理すっごく上手でね、カーテンとかテーブルクロスとか自作しちゃうような女の子らしい人なの!」


「へぇ、いいねー。どれくらい付き合ってんのー?」


「大学の時からなんで長いですよ」


「へぇ~・・・結婚しないの?」


「あーまだしないですねぇ」


勿体ない!しないならあたしにくれ!

由宇衣さんを嫁にください!!


「貫田さん、結婚しないなら由宇衣さんをあたしの嫁に!」


「阿呆」


若に突っ込まれた。

地味に痛いんだけど。


殿に2杯めのカルアを作って、自分の分はメロンソーダにする。

それにしても兄貴遅い。

いつもなら遅くても終電で帰って来るんだけどなぁ。

殿もいるんだし、メールしてみよう。



「殿、兄貴今帰ってきてるって。会社の人に送ってもらってるみたい」


「ありがとー」


兄貴帰ってきたらどうしよう。

流石に兄貴の部屋に5人はなぁ。

3人でこのまま飲むか。

押入れに寝具はある。

酔い潰れても毛布掛けてれば大丈夫だし。






兄貴が帰って来て、殿は兄貴の部屋に。

今2人でゲームを作っているらしく、それに夢中になっているのだ。

因みに兄貴はゲーム会社勤務である。


「日辻さんってお兄さんが一人?」


「いやあと姉がいますよ。仕事で外国に」


外国。うん、外国。


「へぇ、何の仕事なの?」


「菓子職人兼実業家みたいな感じですね」


「すごいね。語学にも強そう」


「いやぁ、語学は苦手なんじゃないかなー・・・。むしろあたしの方が英語得意だし」


「そういえば日辻さん英語ペラペラだっけ」


ペラペラというほどではないが、一応国際学部卒である。


「専攻してましたからね。貫田さん大学どこでしたっけ?」


「俺は○大の経済」


「由宇衣さんも経済なんですか?」


「まぁ、うん」



貫田さん苦笑い。

つい由宇衣さんの話にしてしまうのは許してほしい。

だってファンなんです。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ