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彼の衝撃





炬燵ですよすよと眠る、二人の女性。


日辻さんがにこやかにマシンガントークを繰り広げ、あっという間に二人を潰してしまった。

気のせいじゃ、ないよな?



「お見事」


ぱちぱちと拍手をする刑部。

お前も酔ってない?


「それで、貫田さん」


「な、何?」


にこやかだった表情が一転、無表情になる。

何、俺今から説教タイム?



「貫田さんの彼女って・・・由宇衣さん、ですよね?」




「・・・え”?」



日辻さん、今、何て、言った?

落ち着け、落ち着け俺!

半同棲の彼女設定って、こうなった時のためでもあるだろ!?


「貫田さんのお弁当、ブログで見ました」


「あ~・・・」


そういうことか。

あの日、一緒に弁当食った日。

確かにブログを見れば気付くだろう。

しっかし、すげー偶然。


「由宇衣さんが、彼女、なんですよね?」


「まぁ・・・」


設定上、事実だ。

言い逃れは出来ない。



「やっぱり!あたし由宇衣さんのファンなんです!!」


日辻さんのテンション、いきなり上がった。


「お前ストレートにいったなぁ」


「うっさい!・・・あのあの、由宇衣さんの話、聞かせてください!!」


目がキラッキラしてる。

何この食いつきよう。

嬉しいんだか嬉しくないんだかまったくわからないんだけど。


せがまれて、由宇衣の話をする。

もちろん一部は嘘になるけど、出来るだけ嘘は付かず、事実か濁すかで話をする。


あーすげー嬉しそう。

かわいい。

けど内容が俺の彼女(設定上)のことってどうよ?

完全にそういう対象じゃないよね。

むしろ完全に外された?


俺死んだわ。








日辻さんにベッドを譲り、刑部はソファ、俺は炬燵で雑魚寝して、朝。


日辻さんが朝食を作ってくれた。


炊き立ての白米、お味噌汁、金平牛蒡、玉子焼き、きゅうりの浅漬け。

二日酔いの二人には梅粥である。


幸せ・・・こいつらいなかったらもっと幸せなんだけどな!


「おいしい」


「あたしは由宇衣さんの作ったごはんが食べたいですけどね」


作れるものなら作りたかったさ!

でも作るとおかしいし。

いや、俺も料理好きなんだって言えば良いのか?

でもそれだと由宇衣のごはんではないよなぁ。


「ブログいつから見てるの?」


「ん~・・・1年前くらい・・・ですかね?最初は小説から入ったんですけど」


「は!?」


「え?何ですか?」


「小説も読んでんの?」


「はい、何か問題でも?あ、そっか。恥ずかしいですよね。たぶんモデルになってるんだろうし」


えぇ、恥ずかしいですとも!

モデルになってるのはあなたですけどね!


「刑部も読んでますよ。ブログは見てないと思いますけど」


「刑部まで!?」


生き恥だ!

絶対にばれないようにしないと・・・!


「まぁいまさらなんで、諦めてください」


「あああああ」


日辻さんはふっと笑って、洗物の続きにかかる。

こうしているとなんか新婚さんみたくね?とちょっとアガる俺。キモイ。



「あぁ、でも凄い偶然ですよね」


確かに。

凄い数の小説があってブログがあって、俺のファンっていうだけでも凄くて、それがこんな身近にいてバレるってのも凄くて。


「あーもー運命なんじゃないかなぁ」


俺もそう思う。

だけど・・・。


「由宇衣さんを、あたしに下さい」


ですよね、俺じゃなくて、由宇衣だよね!



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