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「今日新曲がリリースされたんだよ。
ふふ、初めてだよ、恋愛の歌を書いたの。
勿論可愛い可愛い杏子の事を想って書いたんだけどね。
運命的な出会いから、結ばれるべくして結ばれた二人の幸せなストーリー。
ネットでは俺に彼女が出来たんじゃないか?って騒ぐ人もいるんだけどね、まだ暫くは杏子の事は秘密にしようと思うんだ。
きっとこれがきっかけでカメラを構えた人が俺の周りをウロチョロすることになるだろうから、杏子はまだ家から出ないでね。
……って言っても俺が居なけりゃ外に出れないんだけど。」
黄汰は一人ペラペラと話す。
「暫くは夜のお散歩も我慢だね。
この鎖は俺達の運命の赤い糸のようなものだけど、人に見られると勘違いされそうだし。
それに、こんなに可愛い杏子が写真に収められるなんて許せないよね。
俺以外の男がいつでも好きな時に杏子を見れるなんて、おかしいよね?」
杏子は何も言えないまま静かに黄汰の話を聞いていた。
「……本当に可愛いね。大好きだよ。ずっと一緒に居ようね。」
ベッドの上で杏子の髪を撫でながら、黄汰は愛おしそうに見つめる。
「どうしてそんなに可愛いの?」
杏子が答えられないでいると、それさえも嬉しそうにする黄汰。
「俺からの問いかけに答えようと頭を巡らせてくれるだけで嬉しいし愛おしいよ。
……はあ、明日も朝から仕事に行かなきゃならない。
本当は一秒だって離れたくは無いし、出来ることなら杏子を連れて行きたい位なんだけど、こんなに可愛くて魅力的な杏子を他の男の視界に映らせるのも嫌なんだよね。
ねえ、杏子。」
杏子が黄汰の目を見ると、堪らなく愛おしいと言わんばかりに黄汰はぎゅっと杏子を抱きしめ囁いた。
「これから死ぬまで、杏子の瞳に映る男は俺だけ。
俺以外の男を映すならその綺麗な瞳はくり抜いて、特別に作ったケースにしまっておこう。
ねえ、杏子。可愛い杏子。
良い子だから、ずっとずっと俺だけを見ていてね。」




