第40話 事件現場に居合わせるだけで仲間確定
火事が鎮火し、救い出された子どもも泣きながら母親に抱きついている。
村人たちは勇者パーティに深々と頭を下げていた。
「勇者様、本当にありがとうございます!」
「あなた方がいなければ……!」
その光景を遠巻きに眺めながら、俺はひとり頷いていた。
(よし、今回も俺は何もしてない。見事な傍観者プレイ達成!)
――と、内心でガッツポーズした瞬間。
「……で?」
涼しい声が俺を現実に引き戻した。
振り返れば、勇者カイルと仲間たちが揃って俺を見ている。
昨日から一緒に行動している六人の視線は、妙に鋭い。
「……あ、あの、なにか?」
「なにか、ではないだろう」
フェリスが冷静に言い放つ。
「昨日はゴブリン、今日は火事。いずれも事件が起きた瞬間、あなたは現場にいた」
「いやいや! 偶然! ほんとに偶然!」
「でも……」
セリーナが胸に手を当て、少し不安そうに俺を見る。
「昨日からご一緒していますけど……やっぱり不思議なんです。どうしていつも事件の近くに……」
「わ、わからんよ! 俺だって知りたい!」
リンが大きな声で笑った。
「やっぱりお兄さん、面白い! この調子なら次の村でも何か起きそう!」
「……次も?」
俺の声が裏返る。
「ええ」
シャロが淡々と矢を収めながら言う。
「放っておけばまた“偶然”事件に居合わせるでしょう。だから――」
「だから?」
勇者カイルが大剣を軽く担ぎ直し、言い放った。
「結論だ。悠真、君はこのまま我々と行動を共にする。監視対象として、な」
「お、おい待て! 俺は一人旅を満喫する予定で……!」
「昨日からもう一緒にいるだろう?」
アリシアがさらりと突きつける。
「…………」
気づけば六人の輪の中に俺は完全に囲まれていた。
ここで「いやです」と言ったら、絶対もっと怪しまれる。
「……ご一緒させていただきます」
「決断早いな!」リンが爆笑する。
こうして俺は――昨日から続く「勇者パーティ同行」という流れを、正式に受け入れるしかなかった。
(……脇役のはずが、監視付き旅路。これ、詰んでない?)




